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UVER SOUL   作者: パパス
2/4

質疑応答

「ハハハハハッ!!

びっくりしたでしょう?」


「まさかモルンさんとナギルさんが人の姿になれるとは・・・

正直びっくりしましたよ・・・」


「僕も最初はびっくりしましたね。

二人に聞いてもよくわからないって言われますし

というか、動物はこの世界ではみな人間の姿になれます。

なぜ人の姿になれるのかはわかりません。

でも、彼女達が喋れる理由はわかります。

それついてはこれから説明するので着いてきてください。」


秀明さんに続いて俺達は村を歩き始めた。

相変わらず賑やかな村だ。

俺は歩きながら村の様子を見てそう思った。


「どこに向かってるんですか?」 


「私達のリーダーの所です。」


「リーダー?」


「海夢もきっと気に入るさ!

なんせ私達のリーダーは女だからな!」


「惚れんなよ

リサは俺にいつもドングリをくれるんだ。

だから大好きなんだ」


モルンさんはうれしそうにピョンピョン俺の肩で跳び跳ねていた。

女性がリーダーなのか

俺はリーダーがどんな人なのか想像しながら秀明さんの後をついていった。


「着きましたよ。

ここがリーダーの家です。」


リーダーの家は平屋ではなく、かなり大きな木造2階建ての立派な御屋敷だ。

俺達は秀明さんの後に続いて屋敷に入った。

ナギルさんは人間の姿になっていた。

相変わらずかわいらしい。


屋敷に入ると、かわいらしいメイドさんが出迎えてくれて、俺達をリーダーの元へと案内してくれた。

広い廊下をまっすぐ歩いていく。

部屋が沢山あってびっくりした。


「リサ様

お客様をお連れいたしました。」


どうぞ~


ガチャッ


扉を開くと、ヨーロッパの宮殿のような雰囲気の部屋が目に飛び込んできた。

高級そうな10人以上座れそうな長テーブルや部屋の周りに置いてある高級そうな家具

そして、長テーブルの一番奥に座っているリーダーと思わしき人はやはり黒いスーツを着ており、年は20歳くらいで、金髪のストレートヘアが似合うメガネをかけた美女だった。


「適当に座って!」

俺達は椅子に座った。  

    

「あなたが海夢さんね!!

私はリサ・メールトリです。

一応この村のリーダーって感じかな

よろしくね!!」

リサさんはニコリと優しい笑顔で挨拶してくれた。


「俺は山下海夢です!

よろしくお願いします。」

俺も自分ができる最高の爽やかな笑顔でリサさんに挨拶した。


「テメェ、リサに色目使ってんじゃね~!!」


ガブリッ


「ギャアーーーーーー!!!!」

モルンさんが俺の肩に噛みついた。


「こらモルン!!

海夢さんが痛がってるじゃない!」


「ヘヘッ

すまんすまん!!」


「ごめんね海夢さん!

後できつく叱っておくから」


「いえいえ、俺は大丈夫ですから」


俺は慌ててリサさんに言った。


「なぁリサ、そろそろ海夢君の質疑応答を始めないか?」


ナギルさんがリサさんに提案した。


「そうだったわ!!

ごめんね海夢さん

私に答えられる範囲でなら何でも答えるからどんどん聞いて」


俺は昨日からずっと聞きたかった質問を最初にすることにした。


「それじゃあ聞きます。

俺は死んでるんですか?」


なんとなく自分でもこの質問の答えには予想はついていた。

だけど、認めたくはなかった。


「・・・残念ながらあなたは下界で命を落としました。」


「・・・やっぱりか」


わかってたけど、やっぱりショックだった。


「残念ながら・・・」


リサさんは少し俯いて悲しげな表情をうかべた。


「なんかすみません

死の宣告とかリサさんに言わせちゃって

本当はなんとなくわかってたけど、やっぱり誰かにちゃんと言ってほしくて・・・」


俺はみっともないから我慢しなきゃって思った。

けどさ、

やっぱり事実でも死を受け入れるのは辛いや

そう思ったら涙が止まらなかった。

ついでに鼻水も。


「泣いたっていいんだ。

君はずっと我慢してたんだろ?

おもいっきり泣いてしまいなよ。

少しは楽になるから」


ナギルさんは優しく微笑んでハンカチを貸してくれた。 

俺は涙と鼻水でナギルさんのハンカチを汚すのが嫌だったので、手に持ったままひたすら泣いた。 

ナギルさんは、イライラした顔をして俺からハンカチを奪い取り、優しく俺の涙を拭いて、鼻水をかませてそれから嫌な顔一つせずにポケットにいれてくれた。

俺は惚れた。

モルンさんはマジきったねーなお前!と言って笑っていた。


「ナギルさんありがとうございました。

モルンさんは最低だ!

おかげで涙が止まりました。」


ナギルさんは何も言わずにただ黙って前をみていた。

その表情は当然のことをしたまでだ!と言っているようだったので俺は次の質問をすることにした。


「中断させてしまってすみませんでした。

次の質問します。

ここは天国なんですか?

それとも地獄?」


う~ん

リサさんは少し考えてから再び口を開いた。


「ここは天国でも地獄でもないの。

簡単に言うと、天国に行くための試練の場所よ。」


「試練?」


「そう。

試練、それについて説明するわ!

ちょっと長くなるわよ?」

「お願いします。」


「ティアナ!

みんなにお茶をお出しして。」


はい!かしこまりました!

さっきのメイドさんが奥の部屋に消えていった。


「下界・・・

私達が生前いた世界のことを下界って呼んでるの。

そして、この世界にはあなた達も知っていると思うけど、神様という創造主が存在しているの。

下界を含むこの世界やすべての生物などはすべて神様が創造したの。」


「下界・・・

神様・・・

なんかちょっと信じられないな」


「そうよね、私も最初はなんか変な感じだったけど、もうなれちゃった。

それでね、下界で死んだ者はすべてこの魂の選別所、私達が今存在している世界、エデンで選別されて、天界と魔界のどちらに行くかを神様が決めていたの。

天界は下界の言葉で言うと天国かな、魔界は地獄だと思って。」


「へ~、じゃあここはまだ天国じゃあないんだ。」

ティアナさんがお茶を配ってくれた。


「下界は魂の質を決める大切な修行場所で、私達の魂は生物という入れ物に魂を宿して生まれてくる。そして、人間を含む全ての生物は死に向かって生きていっているの。

普通に私達が下界で生活しているつもりであっても、それは魂にとっては大事な修行の次期であったの。

そして、下界の生物は生命を終えると、基本的に神様が一つ一つの魂を良い魂、悪い魂の2種類に選別して、良い成長を遂げた魂は天界に、悪い方に成長した魂は魔界に選別されていたの。」


「じゃあ、俺はまだ23年しか生きていなかったけど、良い魂と判断されたってことですか?

でも、それならなぜみなさんは天界に行っていないんですか?

その話の通りなら、今頃はみなさんは天界に行っているはずでは?

もしかして、選別に時間がかかるとか?」


リサさんは一口お茶をすすりながら、再び口を開いた。


「神様がね、ある日突然、天界、魔界の選別を止めたの。

そして、新たに選別のルールを決めた。

天界と魔界を廃止して、極楽浄土というすべての魂の安息の場所を新たに作ったの。」


「えっ・・・?

じゃあ今まで天界や魔界に住んでいた魂達はどこへ行ったんですか?

みんな極楽浄土へ行ったんですか?」


テーブルに座っている全員の顔を見回してみた。

全員固い表情をしていた。


「神様が天界と魔界を廃止して、それまで選別された魂をすべてこのエデンに戻した。

そして、新たな選別のルールを作った・・・」


「ルール?」


俺はリサさんが次に発した言葉に驚きを隠せなかった。 


「魔物達と戦争すること」


「魔物・・・?

戦争・・・?」


「そう。

神様は邪悪な魂を持った異形の生物、魔物という存在を創り、極楽浄土に行きたければ魔物と戦い、己の魂を鍛え、より強靭な魂に成長させるために私達は魔物と戦争させられているの。」


「じゃあ、俺がここへ来る前に襲ってきたあの鬼のような生物は魔物?

あんな恐ろしい奴等との戦争に俺も参加させられるんですか?」


「そうよ。

あなたが遭遇した魔物は餓鬼(ガキ)という魔物ね。

魔物の中でもかなり弱い部類にはいるわね。」


俺は餓鬼に襲われた時の光景が鮮明に蘇ってきて身震いしそうになった。

あの時ナギルさん達が来てくれたから俺は今こうして生きている。しかし、今度は自らあの恐ろしい魔物と命懸けの戦いをしなければならない。


「怖いわよね?

けど、私達はどうすることもできない。

このいつ終わるのかもわからない戦いをもうずっと繰り返しているの。

そして、たくさんの人が死んでいった・・・」


リサさんは下を向いて悲痛な表情を浮かべていた。


「でも、魔物に対抗するための力は海夢君も持っています。」


秀明さんがリサさんのかわりに続けた。

「力・・・?」


俺は秀明さんの方をみた。


「私達はこの世界でも一応下界にいた時の肉体を持っています。

なので、下界にいた時とあまり変わりはないんですが、この世界では下界では出来なかった魂の力も使えます。

この魂の力をソウルと呼んでいます。

私達は生身の体では魔物に対抗できません。

しかし、このソウルを駆使すれば魔物達とも戦えます。」


「ソウル・・・?

俺にもソウル?が使えるんですか?」


「はい。

使えます。しかも海夢君はソウルをすでに使っています。」


えっ・・・?

俺は一体いつソウルを使っていたんだ?

まったくわからない。


「海夢君、君はなんでナギルさんとモルンさんと話せるんですか?」


あっ!!

確かにそうだ


「君は無意識にソウルを使いナギルさんとモルンさんと会話をしていたんです。

ソウルを使うということは基本的には無意識に近い。

しかし、戦闘用のソウルはまぁ、慣れるために訓練が必要ですが

次の戦争までは少し時間があるので、基本的な戦闘のソウルの使い方は後でナギルさんに教えてもらってください。

ナギルさんは強いし、教え方もうまいですからね。」


秀明さんはナギルさんに微笑みかけた。

ナギルさんは親指を立ててOKの合図をした。


「あっ、そうだ!

海夢さんに渡すものがあったんだった!」


リサさんは何やらスマホのような機械をいじり、タブレット端末のような機械をテーブルにおいた。

ボンッ!!

という音をたててタブレット端末の中から急にスマホのような機械とタブレット端末のような機械が出てきた。

ちなみに両方色は青色だ。


「はい!

どうぞ!!」


リサさんからスマホのような機械とタブレットのような機械を受け取った。


「神様が発明して、私達エデンの住人全員に配られたの、その小さい方はGSP(ゴッドスマートフォン)通話機能の他にいろいろな機能があるから後でゆっくりいじってみて!

私達の連絡先はもう入れておいたから。

ちなみに、相手のフルネームがわかれば相手とどこにいてもGSP で連絡できるわ。

そしてその長方形のは、コンパクト転送装置兼倉庫よ!

名前はGT(ゴッドタブレット)

これがあればいつでもどこでも物を収納できて、いつでも取り出せる。

後でいろいろ試してみて!」


「へ~!

すごい便利ですね!

下界にもスマホっていうGSPに似た機械があるんで後で使ってみますね。

GTは全く機能が下界と違うんで、びっくりしたな~!」


「あっ!

そうそう!

さっきの試練の話に戻るけど、その前にGSPのホーム画面に、ステータスっていう項目があると思うんだけど、ちょっと開いてみて。」


「え~っと・・・

ステータス・・・

あった!

これだな。」


俺はステータスのアプリを起動させた。


ーーーーーーーーーーー

 山下海夢 ランク:F


ソウル 396/396


ーーーーーーーーーーー


「山下海夢、ランクF

ソウル396/396って書いてあります。」


俺はGSPをみんなに見えるようにテーブルの上に置いた。


「お前なかなか新人のくせにソウルの総量が多いな~!」


とモルンさん。


「お~!

それは、鍛えがいがありそうだ!」


とナギルさん。 


「ソウルは生命力であり、戦闘力でもある。ソウルの総量は多ければ多いほど戦闘が有利になりますよ!」


と秀明さん。


「そして、ランク。

このランクをSSにあげることが私達の試練であり、極楽浄土に行くための条件よ。

ランクをあげる方法は、戦争の活躍に応じて、神様が私達の魂にランクをつけてくれるの。

だから、海夢さんは初めのうちは戦争に慣れることね。

ちなみに、ランクSSまであげることができた魂は数える程しかいないわ。」


リサさんの捕捉説明を聞いて、不安になった。

本当に俺は極楽浄土に行けるのだろうか・・・

そもそも、戦争に行って生きて帰って来れるのか・・・

俺はこれからのことを考えるとため息が出た。


「安心しなよ!

私が海夢君を鍛えてやるんだから、君を絶対に死なせない!!」

ナギルさんが俺の様子に見兼ねてか、声をかけてくれた。

ちょっと元気が出た。


「とりあえず、明日から海夢さんはナギルに戦闘の基礎を教えてもらってね。

何か相談があったらいつでも連絡してね。」


俺達はその後、しばらくリサさんの屋敷で談笑した後に昼食をご馳走になり、帰宅した。


家に帰って時刻を確認すると、今は14時16分になろうとしているところだった。

急にGSPが振動した。

どうやらモルンさんからの着信らしい。


ピッー


『もしもし、海夢です!』


『お~!

海夢ー!!

俺俺!!

今日の19時にお前の歓迎会することになったからさ、リサが後でお前ん家に向かえに行くから!

ん~じゃあ~な~!』


ピッー


19時か・・・

俺は時間を確認して、寝室に行き、約束の時間まで少し眠ることにした。

便利なことにGSPはアラーム機能もついていた。


なんかあんまり死んだっていう実感が湧かないな・・・






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