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UVER SOUL   作者: パパス
1/4

ここはどこ? あなた方はだれ?

ここは・・・どこだ?

さっきまでバスに乗ってたはずなのに・・・

俺は目を覚ますと見知らぬ森の中に倒れていた。

とりあえず歩いて人を探して、誰かに現在の状況を聞きたかった。

何故自分はこんな森の中に倒れていたのか、もしかしてバスが事故ってしまったのではないのか

スマホをいじってみたが電源が入らない。

仕方ないので、いろいろ現在の状況を考えながらとりあえず適当に歩いてみることにした。


今何時ごろなんだろうか?


いろいろなことを考えながら歩いた。

どれくらい歩いたのだろう

少し疲れたから太い切り株を見つけてそこに腰掛けて休んだ

歩いているときはわからなかったが、どうやらこの辺りに水辺があるらしい

水が流れる自然の綺麗な音が疲れた体に染み入る。

ちょっと探してみようか

のど渇いたし


水辺は簡単に見つかった。

すごく綺麗な川で水が冷たくて渇いた喉を潤したくなった

両手いっぱいに水をすくい口にいれて飲む。

数回繰り返し渇いた喉を潤した。

とてもおいしい水だった。


空を見上げると日が暮れ始めてきたようだ。

まずい

早くこの森から出ないと

一人でどこの森かもわからないこの森で野宿するには危険すぎる。


その時だった。

遠くからホラ貝を吹きならすようなボーッという大きな音が聞こえてきた。

人がいる?

どこかわからない謎の森の中で急に聞こえてきた謎の音

普通なら怪しんで絶対に音が聞こえてきた所には行かないが、状況が状況なので、慎重に音が聞こえてきた所に向かい歩き始めた。


まさか戦国時代にでもタイムスリップしたとか?

いやいや、それはない

そんなバカげたことが起こるはずが・・・

えっ・・・!?

うそっ・・・!?

なんだ・・・あいつ・・・!?

俺はその場で氷ついたように固まって動けなくなった。

ヤツと俺とはちょうど距離にして100メートルくらいあるだろうか

前方には上半身裸で右手で石オノのような物をもったヤツが笛のようなものを吹いていた。

伸長は180センチくらいかな。

体格は細く見える。

しかし驚いたのはなんといってもヤツの肌の色とヤツの額だ。

肌は赤茶色で額には角のようなものが一本ある。 

まるで絵本とかで見た鬼のような姿だ。


人間じゃ・・・ない・・・!?


ガタガタと震える足を両手でギュッと押さえつけ、震えを止めようと必死に押さえつけた。

目の前の光景が信じられない。


動けっ!! 動け!! 足っ!!


とにかくここから離れなければ

それもヤツに見つからないように慎重にだ


ゆっくり、ゆっくりと後ろに少しずつ後退していく。

大丈夫だ

まだヤツは俺に気づいていない

このままゆっくりここから立ち去らねば


トンッ


最初木かと思った。

背中が何かに触れたから

それもゴツゴツした固い感触だったから木だと思った。

木だったらどんなによかっただろうか

ゆっくり俺は後ろを振り返った。

ヤツがいた。

もう一匹いたのかよ・・・

ヤツが石オノのような物を振り上げて俺に向かって今まさに振り落とそうとしている。


あっ!

俺死んだ!


スパンッ!!


俺の体が真っ二つになった


いや・・・違う


真っ二つになったのはヤツの方だった。


「大丈夫かい?クソガキ君?」


ヤツを真っ二つにして俺を助けてくれたヤツもどうやら人間じゃないらしい。


俺の目の前にいたそいつは体長3メートルはありそうな白い大蛇だった。


おしっこをチビりそうになっていた。


まったく今の現状に頭がついていくことができず茫然と立ち尽くすことしか出来なかった。

なんで蛇が喋ってるんだ??


「お~い!!モルン!!秀明ーー!!

新人いたぞーー!!」


大蛇が大声で誰かを呼んだ。


「クソガキ君!そこにいろよ

今あのうるさい鬼を仕留めてくるから」


俺にそう声をかけて大蛇はあっという間にヤツのもとへと行きヤツの首をしっぽで吹き飛ばしていた。


「いや~ビックリしただろ?

この世界のこと知らない新人君達はほとんど死ぬからね。

私に見つけてもらってよかったなクソガキ君!」

大蛇は笑いながらしっぽを地面にぺしぺしと叩いていた。


お~い!!ナギルー!!


声が聞こえた。

俺は声が聞こえた方を振り向いた。


「探しましたよ!!

よかった殺されてなくて」


黒いスーツ姿の見た目は20代前半くらいの背の高いモデルのような整った顔の青年が少年のような無邪気な笑顔で俺に笑いながら駆け寄ってきて言った。


「ほんとほんと

あとでナギルに礼を言っとけよ!!」

そう言ったのはスーツの男の肩に乗っている体長約20センチくらいかな?

かわいらしいリスが誇らしげな顔をしている。


「あいつ援軍呼んだみたいだったけど?」

と大蛇が訪ねた。


「あ~、4匹こっちに向かってたからここ来る前に仕留めておいたぜ」

とリスがさらっと言った。


「あのっ!!

ここはいったいどこなんですか?

俺はなんでこんな所にいるんですか?

あなた方は誰ですか?

さっきのヤツは?

なんで動物がしゃべってるんですか?」


俺は溜まりに溜まった疑問を吐き出した。

黒いスーツのイケメンが優しく微笑み、後でゆっくり質問に答えるから、自分達を信じてついてきてくれと言って、一人と2匹はまた歩き出した。

俺は後に続いた。


「そういえばクソガキ君

君の名前は?

まだ聞いてなかったから教えて」

大蛇が思い出したように俺に尋ねてきた。


山下海夢(やましたかいむ)です。

さっきは危ない所助けていただいてありがとうございました。」


俺は彼らに頭を下げた。


「ハハハッ!!礼儀正しいヤツだね君は!

私はナギル・ボア・クルールだ!

よろしく!」


「僕は高見秀明(たかみひであき)です。

初めまして!」

秀明さんは俺の方を見てそう言った。


「俺はモルン・カエサゴだ!

先輩と呼べ!!

よろしくな!!」


モルンさんは俺の肩に飛び乗って来るなり、どこに隠してあったのか、ドングリのような木の実らしきものを食べはじめた。


聞きたいことは山ほどあるけどそれは後でゆっくり聞こう。


しばらく歩いていると森の出口らしい場所に着いた。

それから、草原のような広大な土地を15分くらい歩いていると、

北の方に小さな村らしき集落が見えてきた。

安心したのか、俺は今更になって疲れを感じてきた。


あ~・・・

このまま無事に家に帰れますように。


海夢達はゆっくりと村らしき集落に向けて歩を進めた。


ようやく村に到着した。

小さな村のようだけど、すごく活気があるように感じた。

日がすっかり沈んで辺りは暗いのに、この村は村人の賑やかな話し声や笑い声、誰かが歌っているであろう陽気な音楽が聞こえていてさっきまで歩き疲れてくたくただったけど、とても楽しい気分にさせてくれる。

村の中は屋台のような店や居酒屋のような看板を掲げてある店

木造の平屋の民家が多く建ち並んでいるようだ。

小さな村だけどいろんな店や施設があるようだ。


あんな森のすぐ近くにこんな村があったなんて

でもここの人達はさっきの怪物に襲われたりはしないのだろうか?

あれっ?

待てよ

なんかこういう村ゲームとかでみたことあるぞ

ていうか日本にこんな村なんか無いぞ

そもそも動物は喋らないし

鬼みたいな怪物だっていない

まさか異世界にでも迷いこんだのか?


「なかなかいい村でしょ?」

秀明さんが聞いてきた。


「そうですね、夜なのにこの村は活気があるし

俺は結構こういう雰囲気の村好きですよ。」


「それなら良かった。

この村はカルデラ村。

村人は君をいれてちょうど50人の小さな村さ!

今日はもう遅いから質問は明日から受け付けるよ!

とりあえず今日は疲れただろうから夕食を食べて早めに休むといいよ!

君の家に案内するからついてきて」


ん?

俺をいれて?

君の家?


「どういうことで・・・」


「質問は明日」


「・・・はい」


「ハハハハハッ!!コイツやっぱおもしれ~な~!!!」


「だろっ!!私は海夢君好きだ!!

からかいがいがある!」 


モルンさんとナギルさんは楽しそうに笑いあいながら俺と秀明さんにしっぽと小さな手を振って恐らく食堂と思われる場所に楽しそうに入っていった。

どうやら俺は動物にモテるらしい。


「着いたよ。

ここが君の家。」

さっきの食堂からまっすぐ歩いて2~3分くらいで俺の家?に着いた。

わりと広そうな木造の平屋の家だった。

中に入ると部屋は3部屋あり、リビングと寝室、それから和室があった。


「とりあえず適当に何か作るからそこ座って待ってなよ。」


あっ!はい!!

俺はテーブルのイスに腰掛けて秀明の手料理を待つことになった。

何故か緊張しているぞ

彼女か!!


「お待たせ!

じゃあ僕はこれで帰るよ!

また明日の朝10時くらいに迎えに来るから!

朝食の分も作っておいたから!

今日はゆっくり休みなよ!

それじゃあおやすみ~!」


おやすみ~

爽やかな笑顔を俺にふりまいて秀明さんは帰っていった。

俺は壁にかけてある時計に気づいて時刻を確認した。

20時11分

今日めっちゃ歩いたんだな~俺

思えば朝からずっと歩きっぱなしだったから昼飯は食べてなかったんだ

めっちゃお腹すいた

俺は秀明さんが作ってくれた料理を食べてみることにした。

見た目はチャーハンのようだった。

ご飯を炒めて玉子や肉や小さく切った野菜等が入っており、香ばしい匂いが食欲を引き立てる。


パクっ

一口食べてみた


・・・・・


う・・・


・・・・うっ


うま~~い!!!


俺は無我夢中でチャーハンのような料理を食べた。

口に広がる旨味は今まで食べたどの料理でも味わったことのないような味だった。 

中に入っていた肉がジューシーで、歯ごたえがあるがすごく柔らかい。

油っぽいような見た目に見えるが実は意外とさっぱりしていてご飯がサラサラ喉に入っていくので何杯でもおかわりできそうだ。


俺は料理を食べ終わると、洗面所らしき場所を見つけたので歯ブラシがあるか探してみた。

あった!

俺は未使用の歯ブラシを袋から出して歯を磨いた。


しかし今日はいろいろなことがあったな~

母ちゃんとかおやじは何してんのかな~

捜索願いとか出してたらどうしよう

いろいろな疑問がありすぎてソワソワしたが、なるべくポジティブシンキングでいこう

よし!!

明日はこの疑問のすべてをぶちまけるんだ!!

家に帰る手段はそれから考えよう

俺は寝室に行き布団が押し入れにしまってあったので床にすいて布団に入ると今日1日の疲れが睡魔を呼んできたようであっという間に眠りに着いた。



~翌日~


俺は目が覚めると洗面所で顔を洗い、昨日秀明さんが作ってくれたチャーハンっぽい料理を食べて、歯を磨いた。 

洗面所の脇にはトイレと風呂がついてあったので、俺は風呂場でシャワーを浴びてきた。

これで準備完了だ!!

時計を見るともうじき10時をむかえる。


ガチャッ!!

玄関のドアが開いた。

そして誰かの足音がリビングに向かってくる。


誰だろ?

秀明さんかな?


「よ~海夢~!!

昨日はよく眠れたかーー!?」


現れたのはものすごい筋骨粒々の屈強なプロレスラーのような体格の男がパツパツの黒いスーツを窮屈そうに着こなして、笑顔で手をあげながら無断で侵入してきた。


「だ・・・誰だあんた!!??

も・・・もしかして

ご・・・強盗!!??」


俺は目の前に現れた屈強な男を見るなり腰を抜かした。

そして屈強な男に続いてもう一人リビングに入ってきた。


「フッフッフ・・・

いかにも!

私達は強盗の一味だ!

命が欲しければ命乞いをしろ!!」


屈強な男と同じ黒のスーツに身を包み、白くて腰くらいまで伸びた長い髪をなびかせたまるで人形のような美しさの女性が、ニコニコしながら俺を見下ろして言った。


か・・・

かわいすぎる!!!!


俺は現れた強盗団の女性に思わず魅とれてしまった。

女性の顔はとても小さく目は奥二重でも瞳が大きく澄んだ目をしたまだ20代前半くらいの美女だ。


とりあえず俺は命乞いをしてみることにした。


「命だけはー!

命だけは助けてください!!

この通りです!」


俺は胸を張りながら親指で自分の大胸筋をツンツンした。


「どの通りだよっ!!」


バチコーン!!!


屈強な男のツッコミという名の殺人チョップを大胸筋に受けて俺は後方に勢いよく吹き飛んでいった。


「アハハハハハッ!!

サイッコーーー!!!

やっぱおもしろいな~海夢君は~!」

 

女性は笑いすぎて出た涙を拭いながら聞いたことのあるようなセリフを言った。


「あれっ?

なんか昨日も聞いたことあるような・・・?

えっ!!??

まさか・・・

ナギル・・・さん・・・!?」

俺はヨロヨロと弱った体をゆっくり起こしながら女性のファイナルアンサーを待った。


「やっと気づいたな~

そう!

私だ!!

ナギル・ボア・クルールだ!!」

女性は言い終わると同時に3メートルはありそうな白い大蛇の姿になっていた。


「じゃあ・・・

この屈強な男はもしかして!!」


「お前鈍感だな~

強盗なんかいね~っての!!

そうだ!!

もう気づいたろ!?

俺はモルン!!

モルン・カエサゴ様だ!!」

そう言い終わると、屈強な男はいつの間にか、目の前から消えており、代わりに俺の肩にモルンが乗っていて、またドングリのような木の実を食べていた。







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