タイムスリップ
俺がいる……。なんでだ?
寝癖だらけのもう1人の俺はパジャマを脱いで、着替えはじめた。
見えてないのか??
「あ、あのー……。」
恐る恐る聞いてみると、制服に着替えたもう1人の俺が振り返った。
「……っと、誰っすか?不審者?警察呼びますよ?」
ヤバイヤバイ、やっぱり見えてるんだ。でもなんで母さんには気づかれなかったんだ?
「いや、違う違う!!!俺は不審者なんかじゃない!お前だよ!お前!サシマカイキ!!」
ああ、何を言ってるんだ。こんなこと言っても信じてくれる訳がない!これじゃホントの不審者じゃないか!てか、なんで俺こんな所にいるんだ?俺も信じられないよ。、冷や汗ばかり出る。
「……っと、よく分かんないんっすけど、親父の会社の後輩さんですよね?酔ってるんだったら、お水あげますから帰ってください。」
意外な答えだった。そう言われてみれば、親父はよく自分の会社の後輩を家に連れて帰ってきた。
お金がない後輩に、母さんは呆れながらもその人のために夕飯を作っていたっけ。
その後に家で酒を飲んで、俺のまぁまぁ広い部屋に泊まらせてやったこともあった。
「そ、そうそう!君のお父さんの後輩!」
「お水飲みますか?」
「あ、いいよいいよ!俺はもう帰るよ。」
もう1人の俺はそうですかと言って部屋を出ていった。良かった、警察に呼ばれなくて。
でも、今帰るにしても1階に行ったらヤバイな。
どうしようか。そもそも帰る場所なんてあるのか?俺はなんで過去に来てしまったんだ?
一体どうやって来たんだ、これは夢なのか?
いや、夢じゃない。これは9年前の世界だ。
顔をつねっても、殴っても、どんなに叩いてもびくともしない。
きっと今は朝の7時頃。もう1人の俺は学校に行くんだ。とにかくここにいたらまずい、窓から飛び降りねぇと!!!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そう思ってからもう15分過ぎてている。
ベランダに出たはいいけど、窓から飛び降りるなんてできる気がしねぇ!
でもそろそろ家から出ないと、母さんが布団をたたみにこの部屋にくる。もうやるしかない。
「……神様、、。俺を助けてッ!!!」
ストっ。
「……ん?あれ?」
どうやら屋根の上に降りたみたいだ。
屋根の下まで行けばもう地面はすぐそこにある。
大きな怪我はしなずに済みそうだ。良かった。
……って待てよ!俺、靴履いてない。