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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・騎士団でお仕事編
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交渉…からのブラコンVSシスコン

合言葉はどうしてこうなった!?

 お城の謁見の間は妙な緊張に包まれていました。こちらのメンバーは私・ディルク・両親・兄・アーク・元暗殺者3人です。

 すでに人払い済みなので、目に見える範囲では陛下と両殿下のみに見えます。護衛が…3人ぐらいかな。あと部屋の隅で聖獣様が寝転んでいます。


「さて、今回は珍しくロザリンド嬢から用件とのことだが…」


 王様から話を切り出してきた。私を遮り、父が発言した。


「うむ。そこの3人はウルファネアの諜報員で暗殺ギルドの暗殺者だったのだ。助命を願いたい」


 しん、と静まり返る室内。









 身も蓋も無いぃぃ!








「バカ主!お前は毎度毎度毎度…フォローする俺の身にもなってみろ!モノには順序とか、遠回しとか、オブラートとか!とにかく簡潔明瞭ならいいってモンでもないんだよ!!」


 アークがほぼ言いたい事を言ったので、特に言うことがない私。

 驚いたようだがクスクス笑いながら腹黒い殿下が話しかけてきた。


「父上には助命嘆願。では、僕達には何を望むんだい?ロザリンド」


「…カーティスはアルフィージ殿下。アデイルとヒューはアルディン殿下の近衛騎士にして欲しいのです」


「別にいいぞ」


 超アッサリと決定するアルディン殿下。


「えええええ…理由を聞いても?」


「ロザリンドが認めるだけの騎士なんだろう?」


「有能さについては間違いなく、太鼓判を押します。アデイルは頭がいいですし、ヒューは社交や情報収集に長けています。逆にカーティスは戦闘特化で超直感もちです」


「それなら逆でもいいのでは?」


「いいえ。これが両殿下をサポートできる采配だと思っています」


「わかった。よろしくな、アデイルにヒュー」


「あ、あの…アルディン殿下、こういうのってよく考えた方がいいですよ?」


「んー?ロザリンドは頭がいい。それに俺の友達だから、信用ならない奴を俺にあてがったりしない。それでは理由にならないか?」


「…負けました」


「え?何にだ?」


 殿下のピュアさにですよ。驚きの白さにですよ。


「これは確かに、オレ達のほうが良さそうだな」


「よろしくな」


 苦笑する双子にアルディン殿下は握手した。


「うん、よろしくな!」


 アルディン殿下は2人を気に入ったらしく、絶対俺の近衛にすると決めたらしい。


「アルディンはこれでいいんだよ。逆に交渉ごとは僕の領分だ。可愛いげのない妹で大変だね、ルー」


 確かに私はアルディン殿下に比べたら可愛いげ無いな。別に腹も立たなかったが…


「うちの妹は世界一可愛い!!」


「は?」


 兄?どうした兄?


「そうです、ロザリンドは可愛いですよ!」


「うむ、うちの娘は世界一…いや、もはや奇跡的に可愛い!」


「今の発言は許せませんね」


 どうしよう。兄、ディルク、両親が激おこです!いや、可愛くないよ!そこどうでもいいよ!カーティスどうするかの話してよ!!


「いや、うちのアルディンの方が可愛い!アルディンは美味しいお菓子が出ると、半分残して僕にくれるんだぞ!」


「それは確かに可愛い」


 納得する私。


「兄上!?」


 涙目なアルディン殿下。恥ずかしいのか顔が赤い。可愛い。


「くっ…ロザリンドだって、僕の好物を作るとニヤニヤしながら今日は頑張りましたって褒めて褒めてとねだりに来るんだぞ!しかも僕のおやつの好みをしっかり把握してても、初めて作るやつは不安そうに僕の反応をうかがうんだ!」


 ばれてた!超恥ずかしい!!


「兄様やめて!」


「くっなかなかやるな!しかしうちのアルディンには敵わない!アルディンはなぁ、お気に入りのくまさんが無いと寝れないのだ!」


「兄上!?それは内緒だったはずでは!?」


 それ、確かに可愛い。くまさんか…大きいぬいぐるみなのかな?


「しかも、怖い夢を見たら一緒に寝てくれって言いに来るんだ!」


「それは可愛い」


「ロザリンド!?」


 普通に可愛いよ。うん。腹黒い殿下、本当に弟が好きなんだね。


「うちのロザリンドだって!怖い夢みたらこっそり布団にもぐりこんで、朝早くこっそり出ていくんだぞ!しかも朝、ばれてないか挙動不審になるんだからな!」


「「それは可愛い」」


「ばれてたぁぁ!!兄様!ばらさないで!」


 しかも両殿下が見事なシンクロ!ディルクと両親はなんか悶えてるし、陛下は困惑してるし、聖獣様とアークと元暗殺者は爆笑してるし!


「まだまだ!アルディンはこの間、僕に兄上みたいな立派な人になりたいって言ってきたんだぞ。無理だなって言ったら涙目で超可愛かった!」


「確かに可愛いけどいじめるな!」


「そのあとフォローしたらちゃんと喜んでたぞ!」


「兄上!!もうやめて!!」 


 アルディン殿下泣き出す手前だよ。いや、何この羞恥プレイ。兄の争いで弟と妹に確実にダメージが来るんだけど。


「ならば、これでどうだ!ロザリンドは僕の誕生日プレゼントに必死でハンカチに刺繍をして、50枚もハンカチを血まみれにしたんだ!手がボロボロになりながらも僕のために作ったんだぞ!」


「なんで知ってるの!?」


「あー、ごめんなさい…ロザリンドちゃんの頑張りを教えたくて…」


「かあさまぁぁぁぁ!?」


 刺繍下手くそなのがばれるじゃないか!頑張って、頑張って、頑張って…やっと納得の1枚が51枚目だったんだよ!


「くっならば…」


「「いい加減にしてください!!」」


「兄上、酷いです」


 本気で泣き出すアルディン殿下。


「それ以上言ったら、いくら兄様でも…嫌いにはなりませんが、しばらく口ききませんから!」


「あ、アルディン悪かった!」


 腹黒い殿下は必死にアルディン殿下を慰める。


「ごめんよ、ロザリンド」


「…まさか、いつもアルフィージ殿下とこの話してます?」


「…大体いつもしてる」


「こらぁぁぁ!?なんてことをしてくれるんですか!どうりでたまに妙なことをアルフィージ殿下が知ってるわけですよ!妹自慢禁止です!」


「…ロザリンド」


 兄が珍しくしゅんとした。う…だ、騙されない!


「た、たまににしてください」


「うん。ロザリンドは可愛いなぁ」


 ご機嫌な兄にナデナデされる。ま、まだ怒ってますよ!ナデナデぐらいでごまかされ…ごまかされ…ない!


「あ、あうぅ…と、とにかく!カーティスを引き取ってください、アルフィージ殿下!」


「どうしようかなぁ」


「アルディン殿下、明日学校でおやつあげますから加勢してください」


「…ぷりんがいい。兄上の分も」


「仕方ないですね。了解しました」


「兄上、カーティスを近衛にするならさっきのは許します。しないなら、1週間口をききません」


「…仕方ないね」


「え、いいの?」


「アルディンが1週間口をきいてくれないなんて耐えられない」


 アルディン殿下はアルフィージ殿下の弱点なんだなぁ…覚えておこう。


「え、俺プリンと引き換えに近衛になるの!?」


「なんというわらしべ長者」


「わら…?」


 確かに微妙過ぎるな。仕方ない。


「アルフィージ殿下、おまけに私の改良版通信魔具のレシピあげます」


「…貰うけど、いいのかい?」


「一応無茶を聞いてもらった自覚はあります」


 アルフィージ殿下は腹黒い笑みを浮かべた。


「1番いいものはもう貰ってるけどね。遠慮なくこれも貰っておくよ」


「はい?」


 いいものなんてあげた覚えがないので、首を傾げた。


「君からの信頼だよ。君は僕達が困れば見捨てられない。君にとって僕達は大切な友人達を預けられる程の存在だという事実が1番いいものだよ」


「…それは否定しません」


「彼らは僕達の庇護下に入る。いいですね、父上」


「…かまわん」


「あ、バカ貴族一掃のご褒美、カーティス達の戸籍にしてください」


「…わかった」


「え?いいの?」


「カーティスも協力したし、いいの。カーティス、これつけて。肌身離さずだよ」


 渡せなかった全異常無効耳飾りを渡した。


「うん」


 青い耳飾りが揺れる。やっと渡せた。


「そういえば、暗殺ギルドの追っ手とかは?」


 アルフィージ殿下が聞いてきた。


「あー、多分来ないよ。俺1人でやろうと思えば潰せるから。向こうも無駄なことしないよ。一応潰しとく?」


「いや、今はいいや。アデイルやヒューを害するようならお願いするよ」


「りょーかい」


 この2人もいいコンビっぽいね。さて、メインは無事終了。これから事後処理ですよ。


「ディルク、カーティス、アデイル、ヒューはこれから騎士団でお仕事ですよ。ひたすら残りの諜報員捕獲です!」


「うん」


「へーい」


「「了解」」


 ディルク、カーティス、双子が返事をする。まだまだ事後処理が大変そうだけど、とりあえず騎士団の内通者探しは一段落ついたのでした。

とりあえず、騎士団編はこれで一段落。


カーティス視点を入れてから学校ネタの予定です。

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