表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・騎士団でお仕事編
88/729

ディルクと傷と胸

安定のいちゃいちゃが続きます。

 優しく髪を撫でられている。まどろみの中、暖かい手に擦り寄る。気持ちいい。


「ん…もっと」


 撫でてほしい。手は私の意思を理解したのか、優しく撫でるのを再開する。大好きな匂いがする。太ももがくすぐったい。


「ん…くすぐったい」


「え…ちょっ、ダメ!見える!尻尾外すから捲らないで!」


「…ふにゃ?」


 焦ったディルクの声で目が醒めた。私の現状を確認する。

 あぐらをかいたディルクの膝にお姫様抱っこ的に抱かれている私。そして、意識を失う前の状況を思いだし、慌ててディルクの膝から逃げようと試みたが…ロザリアさん!邪魔しな…え?面白がらないでぇぇ!恥ずか死ぬ!恥ずか死ぬから!!いくら弱ってたとはいえ号泣からの寝落ちですよ!?ディルクの顔が見れません!


「ロザリンド、おはよう。ごめんね、起こして…その、寝ぼけるロザリンドが可愛くて尻尾がつい…」


「尻尾…」


 太ももをくすぐってたのは尻尾でしたか。寝ぼけてスカート捲って外そうとしたから、見えるは下着のことでしたか。


「…ディルクは私の寝顔を観察してたんですか?」


「うん」


「すいません、立て直したい。恥ずか死ぬ。人は恥ずかしさで死ねる生き物だったようです。爆発します。あれです。寄るな触るな弾けて飛ぶぞ」


「よく解らないけど落ち着いて!」


 逃げようともがく私を捕獲するディルク。力では敵わず、あっさり捕獲されました。むしろ密着して確実に状況は悪化しました。


「はなしてぇぇ!恥ずか死ぬ!恥ずか死ぬから!むしろ落ち着けない!泣きますよ!」


「泣いちゃうの?俺がロザリンドを抱きしめたいんだ…駄目?」


 至近距離で、首を傾げるディルク。更に駄目?とかあざと可愛い!

 少しショボンとした表情が不憫可愛い!

 しかし言葉とは裏腹に私を捕獲する手は力強くて男らしい。


「ディルクの卑怯者」


 ディルクの首にしがみつき、顔が見えないようにした。


「ふふ…痛っ」


 腹いせに首筋へキスマークをつけてやりました。ぺろり、と痕を舐める。


「…ディルク、寒くないの?」


 ディルクはまだ上半身裸でした。


「ロザリンドがしがみついてたから着れなかったし、俺が離したくなかったし…ロザリンドが暖かいから大丈夫だよ。それに寒ければ獣化すればいいだけだ」


 ディルクの両手に触れる。暖かい。冷えてないのは本当のようだ。手、大きいなぁ。ごつごつしてて、皮は固い。剣を使う人の手だ。


「…落ち着いた?」


「いえ。全く落ち着けない。いきなり泣き出してすいません」


 ディルクの顔を見ずに告げる。今間違いなく顔が真っ赤だ。頬が熱くて、お見せできない。ディルクはそんな私の態度を気にしていないのか、尻尾がご機嫌な時の揺れかたをしている。


「…何が嬉しいの?」


「ロザリンドに甘えてもらえたから。我慢しないで、隠さないで辛いって泣いてくれたから。俺、ロザリンドの隣に立てるようになりたい…少しは近づけたのかな」


 こつん、と彼の額に自分の額を軽くぶつけた。彼の笑顔は優しい。


「きっと、ディルクが思う以上に私は…貴方を頼ってる。私はとっくにディルクが隣にいると思ってた」


「えへへ」


 彼は上機嫌で私にキスをする。嬉しいらしく尻尾も揺れている。気恥ずかしいのでディルクから視線を外すと、自分の両手に血がついているのに気がついた。


「え?」


 記憶をたどり、縋りついた時に引っ掻いたことを思い出す。


「ディルク、ごめん!背中の傷痛いよね!?今すぐ治すから!」


 焦る私にディルクは困った表情をした。


「背中…治したくないな」


「ディルクに被虐嗜好があったなんて知りませんでした」


「違うから!大した傷じゃないし、ロザリンドが甘えてくれた証拠だから、自然に治るまででも残しときたいだけ!」


「…よし、治す」


「ええ!?」


「私が甘えた証拠なんて隠滅してやる!跡形もなく消してくれるわぁぁ!」


「ちょっと!こら!だから消さないでったら!」


 ディルクは慌てて、私が魔法を発動出来ないようにくすぐりだした。


「ひゃははは!やめ…あはははは!」


 以前魔法は集中がキモなので、集中させなければ使えないという話を覚えていたようです。解放されたものの、ディルクに退く気はない模様。


「うー」


 涙目で睨みつけるが、ディルクはニコニコしている。正面から行っても返り討ちにあう気配しかしないので、搦手で行くことにしました。


「そういえば、この間身体測定がありまして」


「うん?」


「胸が少し成長しました」


「そんな報告いらないから!内緒にしといて!そこは隠して!いつも思うけど、ロザリンドは恥ずかしがる所がだいぶおかしいから!!」


 ディルクは顔を真っ赤にして言った。


「そうですか?わざとな時もあります。あと、堂々とした方が恥ずかしくないです」


「俺で遊ばない!そしてもっと恥じらってください!!」


「胸が成長したのはマッサージのおかげだと思うのです。してくれたら傷は消しません。どうかな?」


 ディルクはしばらく考えて、返事をした。


「わかった」


「へ?ちょっと…」


 ディルクの傷への執着を甘くみておりました。作戦失敗なうえ、がっつりマッサージされるという反撃をくらいました。


「あ、あうう…」


「少しは懲りてください」


 ディルクは顔を赤くしていたものの、かなり容赦なかったです。ディルクを本気にさせてはならないという、いい教訓になりました。


 こうして、私とディルクの休日は過ぎていきました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
― 新着の感想 ―
ネットで調べてようやく理解。半獣化と完全獣化を使い分けられるのね
果たして7歳が胸で感じれるのか…… 7歳だったよね?あと未だに細かい描写が出ないせいで確定ではなかったディルクの獣化か半獣化っぽいのは理解した つまり、二足歩行ケモケモの状態でロリにゴロゴロしたりにゃ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ