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初仕事と牛的なお肉

 多数の書き込みがされた地図を見て、ため息しか出ない。


「見事にクリスティア全域だな…」


 ミルラさんが頭を抱える。


「しかも、被害状況から見るに複数の犯行ですね。しかし、よくもまあ、一人でこれだけ解決したものです」


「うむ。頑張ったからな」


「今後はかなり負担軽減出来ると思いますよ。騎士団にも超直感もちが居ます。協力要請もしてありますし、家族の時間も取れるでしょう。きちんと埋め合わせしてあげてくださいね」


「…主」


 ジェラルディンさんは涙もろいのかウルウルしている。


「ところで、次はどちらに行くつもりだったんですか?」


「ああ、ルスラ湿原で一億万バッファローが異常発生と巨大化したという知らせがあってな」


 一億万バッファローとは、Sランク指定の魔物である。ゲーム内でボスクラスモンスターでしたね…即座に戦乙女のハリセンでジェラルディンさんをしばきたおし、私は素早く鞄から薬各種大量に取り出した。


「回復薬代は私もちです!人命優先!惜しまず使ってください!魔力回復薬もあります。念のため異常回復薬も渡しますが、耳飾りがあるので他者の救助用だと思っといてくださいね!各自の準備が出来次第、転移します!ジェンド!カーティス呼んできて!」


「うん!」


 全員さすがである。瞬く間に準備を終え、状況についていけないカーティスに適当な装備と回復薬と鞄を渡し、転移した。







 転移先は大変なことになっていました。一億万バッファローは基本牛型モンスターなのですが、あれは完全にミノタウロスだと思います。数が多いです。50体はいるかしら。

 ルスラ湿原は蓮モドキが多数咲く綺麗な場所だったのに、ミノタウロスもどきに食い散らかされています。


「綺麗な蓮をめちゃくちゃにするなんて!牛め!全部すき焼きにしてやる!」


「え?食べる気?」


 いや、食べ…るつもりはありません。勢いですよ。私はハクを呼び出した。


「ハク!湿原の地面を泥にしちゃえ!」


「はぁいぃ」


 阿鼻叫喚とは正にこのこと。ミノタウロスもどきは泥に沈みました。


「…あや?」


 浮いてきません。いや、泥だから浮かない?一匹…また一匹と動かなくなりました。




「…残酷だな」




 沈痛な面持ちのビネさん。皆して頷かないで!予想以上の範囲と効果だったんです!予定では足を止めて転ばせるぐらいにするつもりだったの!


「わざとじゃないから!ハク、魔法解除!」


「はぁいぃ」


 気の抜ける声だけど、実は相当強い精霊さんだったのだろうか。ハクの魔法で半分は倒しましたよ。


「総員、戦闘開始!」


「おお!」









 いや、皆強かった。特に英雄様はさすがです。今回は呪いではなく強化版魔物の大放出だったようです。呪いはなし。

 あっという間にミノタウロスもどきはお肉になりました。騎士+上級冒険者達の手際は素晴らしく、瞬く間に解体されておいしそうな牛?肉になりました。


 ただ、付近に一方通行の転移魔法陣がありました。逆探知したら、やはりウルファネア付近からのようですね。きっちり使えないようにしておきました。

 さらに蓮モドキはスイに頼んで湿原は綺麗に元通りです。




「今夜は何にしますかね。牛?づくしですね。皆さん、せっかくですから親睦会も兼ねて夕食は食事会にしますか」


「俺、肉じゃが食いたい!」


 ちゃっかりリクエストするカーティス。お前は全く関係ないだろう。まぁ、手伝い賃だと思えばいいか。


「承りました。ディルクは?」


「…やっぱり食べるんだね。俺はロザリンドのご飯ならなんでも…肉巻きおにぎりが好きかなぁ」


「愛情をウザいぐらいにこめて作らせていただきます」


 気合いを入れる私に意外そうなビネさん。


「…姫さんが作るのか?」


「私は愛する旦那様に喜んでいただくために、日夜料理修業に励んでおります。最近ダンにたまーに厨房を任されるようになりました。こっそり夕食を作って気がつかない家族にガッツポーズをしています」


「本当に何してるの!?」


「料理」


「それは解る!またルーベルトに文句言われるよ!?」


「こないだ既に叱られました」


「やっぱり!」


「お前ら本当に面白いな」 


 ヒーヒー笑うカーティス。笑いの沸点低すぎない?


「姫さんが変わってるのはよくわかった」


「めし、めしー」


「本当にいいの?」


「はい。皆様は当面わが家を本拠地にしていただく予定なので。夕飯でまたお話しますね」


「わかった。俺はステーキが食いたい」


 私の言葉に固まる自由な風とは反対に、マイペースにお返事するジェラルディンさんでした。ステーキはダンのが上手に焼けるんですよね。頼んでおこう。

 こうして、私達は我が家に帰還したのでした。

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