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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
楽しい楽しい?新婚旅行編

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押し付けたのではないのです

 バーディさんによると、先ほど玉座に座った事で私はバーディアの主になったそうな。


 どうしたものか。


 移動要塞はいりません。オトコハツラ遺跡だけでもお腹いっぱい胸焼けムカムカですよ。それに、トップになりたくないんだよね〜。だって、デメリットしかないし。うん、遺産相続放棄で行こう!


「私はバーディアを継承しません」


「え………?」


「理由としては、デメリットしかないから」


「な、何故です?バーディアは宝の山。宝石の埋蔵だけでなく、希少な薬草や素材の宝庫。バーディアの主となればそれら全てマスターのものになります」


「だって継承したら誘拐犯の親玉になるじゃないですか」


「え」

「あ〜……それはそう、なのかな?」


 いくら国を存続させるために必要だったとはいえ、被害者の傷は深い。なので補償が必要だ。残ることを選択した者がいたとしても、本人の意志に反して拐ったのなら同じこと。

 さらには、帰れなかった人たちの遺族にだって。お金はないよりあったほうがいいだろうから、最低限の誠意として慰謝料を払うのだ。金で解決できるわけではないが、しないよりはまし。これからバーディアは罪を償わなければならない。

 それを子細もわからない小娘がリーダーとなってやるのは無理がある。確かにこの要塞は遺産なのかもしれないが、悪用したやつの尻拭いをするつもりなんてないしそこまで親切ではないのだよ。


「精算した後ならさておき、現時点でバーディアのフォローまでするつもりもないし、自分のところの領地経営もあるからそこまで手が回らないので現状維持を希望します」


「そ………そんなぁ………」


 ヘタをしたらさぁ、クリスティア陰謀論とか出てきちゃうかもなんだわ。私がバーディアを操って人を攫ってたとか魔王の件は私の自作自演だとか手が千本あるとか言われたら嫌だし。


「そもそも、バーディアの罪はバーディア王族が、国が償うべきです。バーディ、勇者コトハに管理者として任命されたのですから、貴方も責任を果たしなさい。勇者コトハは略奪や誘拐まで許したわけではないでしょう?」


 これは確信を持って言えること。多分こと姉ちゃんがしたのはこの移動要塞を造って彼らを保護するところまでだ。

 彼女はよく知っている。望まない場所で暮らすことの辛さを。そこから逃げられない絶望を。だから、誰かを自分と同じ目にあわせていいなんて絶対に考えない。


「あ……」


「バーディアによる誘拐は、確かに国の命を繋ぎ止めた。しかし反面、他国と修復不能レベルの溝を作りました。安易な手段を許した貴女にも責任があります。ですから、私は貴方達が欲しくないのです。それに私自身が我が王に仕える身です。私自身が王になろうなどとは微塵も思っていないのです」


 だって私、王の器じゃないと思うし。そもそも領主だってなりたいわけでもない。他にやりたいことの過程として必要だったからしているだけ。

 今回の件は、アルディン様にとっていい勉強になるだろうから基本は本人だけに任せるよう今回来なかった過保護な保護者アルフィージ様に連絡しておこう。難易度ウルトラハードだから手助けは許可するけど、コレは王として向き合うべき問題だからね。


「そんな………」


「我が王はとてもいい王です。そう嘆くこともないと思いますよ」


「……アルディン様に丸投げするの?」


「そも私は休暇中ですし……ぶっちゃけクリスティアはイージーモード過ぎるのでここらで大きな壁にぶつかるのも君主としてありかなと」


 そう言いつつメンタルケア役としてうちの兄とゲータに詳細を報告しておいた。うーん……アルディン様にはどうしても甘くなるんだよなぁ。まあ、双子騎士もしっかりフォローするだろうからきっと大丈夫。


 少しばかり心配だけど、アルディン様にきちんとお話しておこう。


「さっきの地鳴りはなんだったんだ?!ロザリンド、無事か?!」


 心配してくれる優しいアルディン様。


「無事です。簡単に言いますと、ここの主になってくれって言われて拒否しました」


「は??」


「このバーディア、私の贈り人の身内でして。相続権があるそうですがデメリットしかないので相続放棄したんです。だって、欲しくないですし」


 実のところ素材は魅力的だが買えばいいし。そもそも利益は被害者への慰謝料に充てていただかないとね。


「欲しいとか欲しくないとかの問題なのか?まあ、ロザリンドが無事ならそれでいい」


「ふふふ、ありがとうございます」


 私の王様はいつだって優しい。でも、王様は優しいだけでは務まらないし、コレは良い勉強になるだろう。


「……バーディは、アルディン様にお仕えします。マスター、ご命令を」


「!?ろ、ロザリンド?」


 グッと親指を立てた。マスター権って譲渡可能なのだと今回初めて知った。まあ、管理AIを論破できるだけの根拠がないと無理らしいけど。


「今回はなかなか高難度ミッションですよ!良き王様になるためです!頑張ってください、未来の我が君!!」


「えええええええええええええ?!!!」


 そしてバーディア国民に拝まれるシャイニングアルディン様。ラートがここが主の晴れ舞台と言わんばかりにギラギラサービスしてくれてる。まばゆい(物理的に)

 さっき助けてくれなかった仕返しだなんて……少ししか思ってないんだからね!

 ちなみにディルクは苦笑してたけど止めなかった。

 

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― 新着の感想 ―
バーディア国が略取誘拐、拉致監禁とか、犯罪行為をやらずに維持していたらよかったのに。 勇者コトハの基底命令に反して、犯罪をしたのだから、犯罪奴隷として死ぬまで働いてもらわないといけません。 それでバー…
ロザリンドのロッザリンドォォォォォーーーー!!!!!!が足りない( っ °、。)っロザリ~~
権利と義務は表裏一体。大きな権利を得た者は大きな義務も負いますからねぇ。 たまに権利だけ主張して義務を果たそうとしない人も居ますけど。
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