白目をむきたい気分です
おはこんばんちわ、皆様。みんなのアイドルロザリンドでっす☆オラなんでか神輿でわっしょいされてるんだゾ☆
「…………ロザリンド、白目をむきながらブツブツ言うのやめてくれ、怖い」
「だって〜〜〜!!」
現実逃避とキャラ変したくもなるわ!こんな金ピカの神輿でパレードとかされたらさあ!!ちなみに神輿にはマイダーリンディルクとアルディン様が乗っている。ルランは逃げた。
「ロザリンドは案外目立つのが嫌いだからなぁ……」
「そうなのか?!」
「うん。社交で必要とかでなければ基本的に裏方を好むし、服も動きやすいものや落ち着いたものを好む傾向にあるかな」
さすがダーリン、よくおわかりである。うんうんと頷く。
「ええ、そうなのです。私、地味系夫人なので」
「「それはないな」」
「なんで〜〜!?」
「パーティードレスは派手じゃないか」
「あれはTPOをわきまえてるのと…………から……」
「ん?」
「似合わないからですぅ!似合わないから!!」
好きなものと似合うものは違うんだよ!!派手目なドレスとかボディライン出るセクシーなドレスが似合うんだよ!
「そんなことないよ。ロザリンドは何を着ても世界一可愛いよ」
「ディルク……」
「だから、俺の尻尾を弄ぶのはやめようね。尻尾を触られるとゾワゾワする……こら!やめてったら!」
「え〜……癒しが欲しい……」
ディルクの滑らかでツヤツヤな尻尾が欲しい……。しかし残念ながら素敵な旦那様の尻尾は奪還されてしまった。
望まないわっしょいのせいで心が荒むんだよ………。
「仕方ないなぁ……」
ディルクが半獣化して膝に乗っけてくれた。
「私の旦那様最高!!癒される!SAN値が回復していくぅ!」
これはもふもふ!もふもふ許可だよね!!わーいわーい!!
「さんち?まあ回復してるならいいか。肉球は?」
「もちろんお願いします!!肉球ふにふに………はう……」
もふもふだけでなく肉球サービスまで……楽園はここにあった!!肉球肉球ふーにふに!!
結婚してからというもの、全力でディルクの毛艶保持だけでなくさらなる高みを目指した結果、ディルクのもふもふはもはや至高のもふもふとなっていた。
毎日のトリートメント、念入りなブラッシング、マッサージだけでなく、さらなるもふもふ強化トリートメント剤の開発やブラシに魔法を刻む、毛を痛めないドライヤーなど、ありとあらゆるアプローチをした。なんか毛生え薬もできた。
そんなつもりはなかったが、自分で人体実験していたらご令嬢方に羨まれ、モテたい獣人達から土下座され、被験体は増え、最終的にバタフライローズで売り出すまでになっている。毛生え薬は大変儲かりました。
純粋な趣味がお金になってしまった……。まあ、孤児院とかに還元してるから良しとしよう。
お金はないよりある方が良いし!飛空艇の空港とか、ポッチミュージアムとか、使うべき所にじゃんじゃん使ってやろう!
「……ゴロゴロ」
「ふふふふふ、私のゴールデンフィンガーによりディルクもうっとり!ふはははは!私にかかれば黒豹様も軟体動物よ!心地よいナデナデに溶けてしまうがいい!!ついでにブラッシングしてくれるわ!」
そして至高のもふもふを楽しむのであった。はぁ……もふもふは私を救う……。
「…………なんでマッサージしてるだけなのに悪役っぽいんだろう………」
ディルクの献身により、私のSAN値は回復した。神輿に担がれ連れてこられたのは、バーディアの岩山にある祠。ここから先は私とディルクだけにしてほしいと言われた。護衛もなしにアルディン様を置いていくのは不安……と思ったらルラン(神輿回避して飛んでついてきてた)が護衛してくれるとのことでお願いした。
「それでは、待ち人様。こちらへ」
祠の中に入ってしばらく進むと行き止まりだった。
ここでお祈りでもするのかと思っていたら、バーディ様が触れるとスイッチが現れた。
「押してくださいませ」
「では……ぽちっとな」
そんな気はしていたのだが……めっちゃ揺れてる!!
「ロザリンド!」
ディルクが私をかばおうとする。そして、岩壁が崩れて現代的な自動ドアが現れた。
「AIである私たちでも気が遠くなるような時間、待ち人様をお待ちしておりました。さあ、この玉座にお座りください……バーディはこの時をずっと待っておりました!!」
なんだろう。嫌な予感がする。
「えっと……」
「さあさあ、ご遠慮なさらず!!」
「うう……」
渋々椅子に座ると、少し魔力を吸われた。これは……ヴァルキリー使用時と似た感覚。
次の瞬間、先程など比ではない揺れが発生した。
そして、壁と思われたものが一斉に外の景色を映し出す。さらには、なんか大砲がニョキニョキでていて撃てみたいな物が出てる。あと、これのトリガー引いたら撃つんだろうなってやつも。
「これは……」
「……………こと姉ちゃんはどんだけラ□ュタが好きなの??そんな気はしてたけど、こんなトンデモ武器どうしろと?!私は平和が好きなの!兵器とかノーサンキュー!!」
「さあ、待ち人様!人類を滅ぼすのです!!薙ぎ払うのです!!」
「絶対ノー!私は喧嘩好きな平和主義者です!!一方的な虐殺なんて恨みを買うだけで愚かな行為です!絶対私はそんなことしないんだから!!」
「うふふ……」
がっかりするかと思いきや、バーディ様は楽しげだ。
「え、何?」
「いえ、待ち人様は言葉様と同じことをおっしゃるので。懐かしくなりました。さて、マスター登録が完了いたしました。このバーディアは弱気鳥獣人の保護と来たる戦いへの備え。どんな遠方であろうとも、バーディはマスターのお力になりましょう。マスターのおかげでバーディは完全に修復されました。これからは魔力溜まりから魔力を吸い上げる通常モードに切り替わります」
とりあえずバーディさんは本気で滅ぼせと言いたかったわけではないよう。バーディさんが劣化しすぎて魔力溜まりを感知できなくなってしまい、魔力を引き上げられなくなり、バーディアは落下寸前だったそう。本来のバーディアは魔力溜まりを感知して移動し吸い上げ、巡回していたそうな。
「もうちょっとでバーディアは魔力切れで墜落するところでした。具体的には後一ヶ月ほど。航路的にセインティアあたりに落ちると予測しておりました」
「セーーーーーーフ!!!」
あっっぶな!!とりあえず大惨事は免れた。大砲は元通りにしまっていただいた。私、平和主義者なので!!
しかし、来てよかったとは思うけど何故こう
行く先々で予想外のこと姉ちゃんハプニングが起きるんだろう……。そろそろ安心安全快適な旅がしたい。トラブルはもうお腹いっぱいです。
バーディ様は結構バーディア国民と関わっており、かなり成熟したAIです。もしロザリンドがノリで撃ちまくったりしたらバーディアはエネルギー切れで墜落待ったなしでした。
墜落してもいい場所を選択していたのは内緒です。
マスターロザリンドがとても善良なヒトでよかったとホッとしています。AIだから悪い人でもそれなりにお付き合いしますけどね。




