上がれば堕ちるのは仕方無い……のか?
お土産も買ったし、遊園地デートの最後といえば……そう、観覧車!!個人的にはジェットコースター乗りまくりも捨てがたいけど、デートならこう、落ち着いて観覧車でロマンティックな気分に浸りたい。
そんなわけでディルクに言ったらもちろん快諾。締めの観覧車に乗ることに。残念ながらエレクトリカルなパレードと光る屋台はなかった。その話をしたら、ニャンダーが次回までに用意しますと言ってくれた。嬉しいけど無理はしなくていい。
観覧車はそれほど混んでおらず、あっさり乗ることができた。かなり大きな観覧車はゆっくりと回っている。
観覧車はゆっくりと上がっていき、ニャンダーランドを一望させてくれる。ライトアップされた遊園地は宝石箱をひっくり返したかのように輝いている。
普通向かい合って座るのだが、馬車に乗るときのようにディルクのお膝に座る私。
「あれ、そういえばここって地下だよね」
「地下というか、ダンジョンじゃないかな?」
「なんで普通に日没に……?」
「ダンジョンのヒカリゴケは種類によるけど、夜はしぼむものもあるよ。理由はわかってないけど、夕焼けみたいな色になるものもある」
「へー」
知らなかった。そんなやつもあるのか。ダンジョンってよく考えたら相当不思議空間だなぁ。今度食材調達でエクストラダンジョンへ行った時、話を聞いてみてもいいかもしれない。
観覧車はゆっくりと頂上へ。
「ねえねえ」
「ん?」
「観覧車の頂上でキスするとね、永遠に結ばれるってジンクスが……」
最後まで言うまでもなくキスがきた。甘い。ディルクの瞳が甘い。
「そうなんだね。だから乗りたかったのかな?」
「ハイソウデスネ……」
いやああああああ!!唇ペロってえっろおおおおお!!
最近のディルクさん、スパダリ度がガンガン上がってませんかね!?いやまあ色々毎晩シテますがね!不意打ちに弱いからやめてええええ!!というか、顔を隠して震える嫁のうなじにチュッチュしないで落ち着かない!!落ち着けないけど嫌じゃないから拒否できない!!幸せだけど恥ずか死ぬ!!
今、私はリア充になった!!爆発しそうです!!
大変観覧車でイチャラブしまくりヘロヘロの私を待っていたのは、ニャンダーランドのスタッフさん達でした。
「マチビト様、特別室へおいでください」
うん、嫌な予感しかしないぞ☆
「ええと、私疲れたから帰りたいなー」
「そこをなんとか!ニャンダーがお待ちなのです!」
嫌々ながらも豪華な別室に通された。そこには、ここに招待してくれた公爵様もいた。なんで皆して臣下の礼で待機なうなのかな?
うん、とっても嫌な予感しかしないぞ☆
「マチビト様、この街は救世の聖女様により救われた者たちのしぇるたーです」
「え?」
「この施設は、マチビト様のために救世の聖女様がお造りになったものです」
「え??」
「ご無礼をお許しください。ニャンダーが間違いなく貴方様がマチビト様であると判断いたしました。これより、この街の全ては貴方様のモノとなります。預かっていた全権をお返しいたします。いかようにもお使いください」
「権利返還は当然として……ニャンダーにひとことマチビト様が来るって言ってほしかったにゃー」
「仕方ないだろう。先入観なく見てほしかったのだ。王に認められたそうだが、状況的にマチビト様を騙る者である可能性もあったのだから」
んー?つまり、私は公爵様に試されたのかしら??
「心の準備とかほしかったのにゃ!マチビト様が来るとなれば、全力で歓待したのにゃー!!」
ニャンダーには悪いが、言わないでくれてよかったと心から思った。普通に楽しみたいし、目立ちたくない。
「ええと、公爵様とニャンダー」
「はっ!」
「にゃっ!」
「とりあえず、私に全権返還しないでください」
場が、沈黙に満ちた。
「にゃんでなのにゃー!?ニャンダーランドお気に召さなかったのにゃ!?改装するにゃ!?改築するにゃ!?リニューアルにゃ!??」
「ど、どういうことですか!?」
ディルクがさり気なく私を庇うように前に出てくれた。今日もスパダリである。
「このニャンダーランドやユデンは、二人が頑張って今の形にしたのでしょう?第三者である私よりも、このまま二人がトップである方が良いと判断しました。それに、私はクリスティアの侯爵夫人です。他国に領地を持つのはあまりよろしくありません。自領だけで手一杯ですしね」
「し、しかし!ニャンダーランドは巨万の富を生む金の鶏ですよ!?それを手放すと!?」
確かに、ここはものすごーくお金を稼げるだろうなぁ。でも、経営したくないからいらなーい。普通に客として楽しみたい。
「ふふ、お金には困ってませんのよ。過ぎる富は澱みになります。まあ、どうしてもというのならシャムキャッツとシヴェリハスのために使ってください。どちらも国力が疲弊しているわけですし、いくらでも使い道はあるでしょう?期待しておりますよ、公爵様」
「なんと……!マチビト様の慧眼に感服いたしました!この生涯を両国の回復に捧げますとも!!見ていてください!!」
いやその……やる気があるのはいいことだ?孤児院を経営してもらって、子供達もパレードに参加させたり、学校を作ってもらって社会科見学にニャンダーランド行きすれば子供も来るようになるはず!
人はシヴェリハスからも雇うといいかな?そんな話をしたら素晴らしいと喜んでくれた。なんかこうキラキラが目に痛いんだけど!
「え、ええと……我が弟であるシヴェリハス国王に貴殿を紹介いたしますわ」
とりあえず、ポッチに投げちゃえ!シヴェリハスの財政難に困ってたから丁度いいよね!?うーん、私っていいお姉ちゃん!!
お金よりも経営やりたくないから丸投げしたら尊敬されてしまったロザリンド。とりあえずプランを提案してポッチに丸投げしたろうという姉さんです。
悪なり8巻もうすぐ発売ですよ!!
クラリンが待ち遠しいですねー!




