余計なことではなかったかもしれない
出待ちしていたピカピカ達は、私を取り囲んだ。んんん……敵意がないので突破するわけにもいかないしなぁ。
「ネエネエ」
「タスケテ」
「ダンジョンマスター、タスケテ」
なんとなく予想はしていたが、やっぱここって改造ダンジョンなのかぁ……。
「ええと、助けないとどうなるの?」
「ココ、クズレル」
「コワレル」
「よし、詳しく話を聞こうかな!ダンジョンマスターのとこに連れてって!ごめんね、ディルク。私が余計な事をしたばかりに……」
「いや、ここが倒壊したら困るからね。もちろん俺も行くよ」
私の旦那様は、今も昔も天使です。弄ると可愛いけど、基本的には頼りになるしカッコいいんだよぅ!着崩したお侍さんルック効果もあってカッコよさ三倍(当社比)!!
ピカピカに連れられ、バックヤードからダンジョンの最下層へ。エレベーターで一気に移動。とても楽。
そしてついた部屋にはネームプレート。えっと『ダンジョンマスターのお部屋』って書いてある。なんというか、ネームプレートまでニャンダーランド風で夢かわいい。
「ダンジョンマスター、キタヨ」
「ハイルヨ」
ノックもせずに入るピカピカ達。そこには……やたらヨボヨボした人型のロボが疲れた様子で項垂れていた。傍らにはニャンダーランドのシンボルである勇者ニャンダーの着ぐるみ。
あかん、これ明らかに見たらアカンやつやん。
「!?よ、ヨーコソ☆ニャンダーランドへにゃん☆」
私達を客と判断したのだろう。ダンジョンマスターの判断は早かった。即座に着ぐるみを着て、かろやかにポーズをキメてくれた。思わず拍手する。
「ええと、ダンジョンマスターさんをどうすればいいの?」
「マリョクワケテ」
「ゲンキニシテアゲテ」
「はいはい」
とりあえずかなり疲弊してるみたいだし、魔力をわけてあげた。ダンジョンコア自体の魔力が足りてないようだ。ここで隠れ家の鍵がピコピコ鳴ったので、仕方なく諦めてナビィ君に出てきてもらった。
「接続……検索……現在地ヲ確認。ニャンダーノエリアト確認」
「オマエはナビィ!?いやその、ニャンダーだよ☆キミは誰かな?」
ニャンダー(笑)がキャラを貫くかで迷っているようだ。
「理解不能。修理ヲ推奨」
そして、マジレスをかますナビィ君。
「壊れてない!私はここで人々を楽しませよと命を受けたのだ!それからずっと頑張ってきた。だが……そうだな。お前の言う通り、魔力が足りず補修もままならない。お前がここのダンジョンマスターになってくれないか?」
「拒否」
冷静にツッコミをするナビィ君。
「マスター、補修シテヨロシイデスカ?」
「もちろん。あとは、魔力供給源を補えばいいかな?」
「肯定。ポンコツト違イ話ガ早イマスターデ助カリマス」
「誰がポンコツだコラ!!というか、お客様はどちら様でしょうか?」
ようやくニャンダーがこちらに話しかけてくれた。
「私はこの子達に連れてこられまして。とりあえず魔力分けましょうかー」
ピカピカ達がくるくる回る。チカチカするからやめてほしい。
「……この魔力は……まさか、創造主様!?」
「違います」
え?私とこと姉ちゃんって魔力似てるの?それは知らなかったわ。
「コノ方ハ、待チ人様ダ。全力デ歓待セヨ」
「ま、ままままま待ち人様!?待ち人様あああああ!?なんでお前早く言わないんだよ!待ち人様を立たせたまま待たせちゃったじゃないかよおおおおお!!お茶とお菓子!いや、椅子!?」
「おかまいなく」
「そそそそちらのお侍様は!?」
「私の夫です」
「待ち人様の旦那様ああああああ!!」
落ち着いてくれないだろうか。別に気にしてないし。
「ええと、ニャンダーランド、まだ全部回れてないけどすごく楽しいよ。こと姉ちゃんのお願いを聞いてくれてありがとう」
「ありがたきお言葉あああああああ!!ありがたき幸せえええええええええええええ!!」
とりあえず右往左往するのはやめてくれたが、泣きながら土下座するのはやめてください。
「ええと、なんで魔力が足りなくなったわけ?」
「はい、お話いたします」
ニャンダーによれば、ニャンダーランドは魔力溜まりと遊びに来た人間の生命力というか、上がったテンション的なものをもらって動かしていた。
だが、ユグドラシルが休止したためか魔力溜まりが枯渇。さらにシヴェリハスとシャムキャッツの戦争により顧客も激減。なんとか人力で補修しているが、限界とのことだ。
「……もしや、シャムキャッツのスタンピードは……。んー、調べてみようかな。顧客についてはなんとかなると思う。私、これでもバートン侯爵夫人だし」
それに、こんな素敵なテーマパークが潰れるなんて世界の損失だもんね!!まだ遊び倒してないし、今回はめっちゃ頑張るぞー!




