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貴族とお茶会

 箸休め的なショートストーリーです。

 貴族といえば、夜会。まだデビュタント前なんで、基本は出ません。今日はお茶会にディルクと出席です。お茶会は子供と貴婦人の社交の場。わりとお呼ばれしたりします。今回は我が家の庭での開催です。


 今日は年相応の可愛い感じでまとめられています。私の希望で鈴蘭のヘアピン付きです。


「あ、それ…」


 ディルクがそっと私に…というかヘアピンに触れました。


「よく似合ってますよ、奥さん」


 耳元からのからかう声音に背筋が震えるが、私も負けませんよ!


「大好きな旦那様のプレゼントですもの」


 ど、どうだ!嬉しいから使いたかったのは本当だもんね!

 背後から女の子達のキャーという声が…何事?


「ロザリンド様、ディルク様からのプレゼントなんですか?」


「なんだか以前より親密ではありませんこと?」


「お話、聞きたいですぅ!」


 招待されてた女の子達が口々に聞いてくる。その中で面白くなさそうな女の子が言った。


「よくそんな安っぽいモノを喜べますわね」


「はい。ディルク様が私に似合うと選んだ品ですから。私はどんな豪華な宝石より、これが嬉しいですわ。私にお店で色々とあてて選んでくださいましたの…それに、買った日にディルク様が私につけてくださいましたのよ」


「え、ちょっと…」


「それに、それに」


「あああああもう!のろけるなら他の令嬢になさいませ!」


「えー、ミルフィリア嬢、かまってくださいませ」


 嫌そうに私に文句をいうご令嬢はミルフィリア=ローレル。ローレル公爵家のご令嬢である。私に直接嫌みをいうのだが、小細工せず堂々と言うので気に入っている。


「なんで私が貴女にかまってやらなければなりませんの!」


「そんなの私がミルフィリア嬢を気に入っているからですわ」


 他の令嬢達も最初はこのやり取りに怯えていたが、最近ではまたかー的な感じである。


「はぁ…好きになさい。そのピンも確かに安っぽいですけどお似合いですわ」


 私に何を言っても無駄と悟り、最近は多分、仲がいい。多分。


「うふふ、ありがとうございます」


「ところでロザリンド様、先日ディルク様に靴屋で抱かれていらしたとか」


「えふ!?」


 抜かった。むせた。いや、まさか見られてた!?そういやあの店、貴族御用達だったわ。


「あ、あれは私が靴擦れをしまして…お恥ずかしい話しですが背伸びしてヒールが高い靴をはいておりましたから…」


 ミルフィリア嬢も含め、皆が意外…という表情をしている。いや、私は結構抜けてますよ?やはり履き慣れない靴は可愛くとも実戦投入してはダメですよね。


「貴女もそういう失敗をなさるのね」


「年上の婚約者ですから、少しでも…こ、恋人に見えるようにしたかったのです」


 他の令嬢達がきゃぁぁ!と盛り上がる。え?今の盛り上がるとこ?若い子にはついていけないな(注・同い年です)


「さらにさらに、ディルク様が怪我をした足を拭って、靴まで履かせてらしたと聞きましたわ!」


「きゃぁぁ!ロザリンド様!詳しく教えてくださいまし!」


 さすがにあの羞恥プレイについてはちょっと…視線をさ迷わせ、ディルクと目が合う。


「うう…ディルク…」


 涙目でヘルプを求めるとディルクは近づいてきて…抱っこされました。


「へ?」


「ごめんなさい、私の婚約者を少し借りて行きますね。少し気分が優れないようだ。ね、ロザリンド嬢?」


 にこりとディルクは笑うと、さっさと私を抱きなおして屋敷に入った。背後から令嬢達の楽しげな叫び声が聞こえた。


 た、助かった。ディルクに体を預ける。しばらくは、お茶会出ない!と心に決めた。ディルクは私を自室に運んだ。下ろすつもりはないらしい。


「ロザリンド、ロザリンド」


 ディルクはご機嫌なご様子。私にキスをいくつも落とす。


「お化粧がとれちゃうよ。どうしたの?」


「ん?嬉しくて」


「…何が?」


「無意識かもしれないけど、ロザリンドが俺を頼って、助けを求めてくれたのが嬉しくて」


「そっか。助けてくれてありがとう、ディルク」


 ちゅ、とキスをした。


「俺、少しはマシになれた?ロザリンドに頼ってもらえるかな」


「私からしたら、ディルクは充分頼もしいんだけどね。暗殺未遂の件でも頼らせてもらったし」


「そうなの?」


「私が安心して頼れる数少ない相手だよ」


「そっか」


 首筋に顔を埋めるディルク。耳が扉に向いた。うん、嫌な予感。無言でそっと私をベッドに下ろすとディルクは素早く扉を開けた。


「「「きゃあぁ!」」」


 予想通り、ご令嬢達が扉から倒れてきた。


「皆様、何をしておいでで?」


「あはは、ばれちゃいましたぁ」


「わ、私は止めようと…」


 ミルフィリア嬢は往生際悪く言い訳をする。


「言い訳無用ですわ!」


 全員捕獲して、くすぐりの刑に処しました。覗き、ダメ!絶対!!


 母と私の布教活動の成果か、獣人への差別意識が貴族女性・子供を中心に改善されたのはよかった。よかったけど、最近私の恋愛に興味津々なのはどうにかならないかな…と思う一日でした。


 ミルフィリア嬢はツンデレです。本人は否定していますが、かなりの仲良しだと思われます。


 獣人の忌避意識が無くなれば、恋愛ごとは年頃の女の子にとって興味があるお話。しかも年上騎士様とのコイバナとか、聞きたいのが普通。当面ロザリンドは自分の恋愛事情を聞かれて困るでしょうね。



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