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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・もふもふ従姉弟編
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私と叔母

 さて、ここでワルーゼさんについてご紹介しましょう。なんとなーく、皆様も予想がついているでしょうが、彼もゲーム内で出演するキャラであります。


 私が悪役令嬢なら、彼は悪役商人。見事な鬼畜ぶりで、ヒロインをさらって奴隷として売り飛ばそうとしたりします。


 そこで颯爽と助けに来るのが好感度が高かったキャラなわけですよ。で、どのキャラでも発生する誘拐イベント。これ、おかしくないかな?

 まあ、カーティスルートならまだしもですよ?普通王子のお気に入りなんて誘拐します?

 さて、そんな悪役商人ワルーゼさん。現在仕込みの真っ最中です。彼の謎については後ほど。

 私は先にやることがあるんですよね。




 レオニードさんの協力で超あっさり父の妹、私の叔母であるルーミアさんの居所は割れました。

 こっそり働き先を見るも、なかなかの美人。しかし顔色は悪く、なんかフラフラしている。髪も艶がないし、体もガリガリ。髪と瞳は父と同じ。痩せすぎだけど、顔も似てるかな。ジェンドが懐くはずだわ。


「こんにちは」


 出たとこ勝負!店主さんに頼み込み、レオニードさんとディルクの助力もあってルーミアさんを連れ出すことに成功しました。チップをはずんでお店2階を借りてお話です。もちろん防音結界は忘れません!


「貴女は…」


「初めまして、ルーミア叔母様。私はロザリンド=ローゼンベルクですわ」


「ローゼンベルク…私を連れ戻しに?」


「いいえ」


「では、何の用?」


 警戒しているルーミア叔母様。でもさ、それはアウトですよ。


「口を慎みなさい。貴女は地位を捨てたのですから、私の許しなく話すことすら本来ならば許されない」


「…そう、ですね。申し訳ありません」


 悔しそうだが理解はしているようだ。キレられたりすると面倒だから、先手を打って正解かな。レオニードさん、睨まない。私だって身分を振りかざすのは本当なら嫌なんだからね!


「では、用件を。ジェンドを保護しました」


「ジェンドは関係ないでしょう!!」


 顔色を変えるルーミア叔母様。よかった、ジェンドを愛しているんだね。私はその安堵を表情にはださず、あくまでも淡々と告げる。


「話しを最後まで聞きなさい。ジェンドは私が保護した時、身体は傷だらけで獣化して冷たい雨に晒され、路地裏に放置されていました。私は何も知らず子犬と思って拾ったら獣人…おまけに身体は傷だらけ、垢まみれ、傷は膿み、酷い有様でした。大人に怯え、虐待されていたのは明らかです」


「え…?」


「すまない、ルーミア。お前は信じないかもしれないが、ワルーゼはそういう奴なんだ。多分ジェンドを痛めつけたのはあいつか、部下だ」


「あ…嘘…」


「…貴女を騙して私に利はありますか?」


「…いいえ」


「ジェンドを預けてから、彼に会いましたか」


「…いいえっ」


 ルーミア叔母様は泣き出した。とりあえず、この人は白だな。よかったよかった。さすがにジェンドから母を奪うような真似はしたくない。


「さて、ここからが本題です。赤の他人である私が、ジェンドを保護しました。滞在費を請求します」


「「は…?」」


 ディルクは声は出さなかったが硬直している。レオニードさんとルーミア叔母様は口をあけてポカーンである。


「い、いや…叔母なんだろ?」


 震える声で話すレオニードさん。私はあくまでも淡々とした態度を変えない。


「ルーミアさんは実家を捨てて駆け落ちなさいました。都合いい時だけ血縁扱いしろなんて言いませんよね」


「言いません。おいくらですか」


「こちら請求書になります」


 ルーミア叔母様は額を見て固まる。治療費なんかも含まれてて、適正な額なんだけども…庶民に払える額ではない。


「ふざけんな!こんな大金払えるわけねぇだろ!」


 レオニードさんが激昂した。ディルクが素早く関節をきめる。お、お見事。


「……」


 身動きがとれないレオニードさんを見つめ、震えながらも毅然とした態度でルーミア叔母様は私を見た。


「私をどうするおつもりですか?こんな額は払えない…ジェンドを返さないとおっしゃるおつもり?」


「いえ。借金返済のために、うちで働いてください」


「…は?」


「だから借金返済のためにうちで働いてください」


「あ、あの…」


「うち、私原案で福利厚生しっかりしてていいですよ?給料から分割払いにしときます。ジェンドも一緒に住みこみでいかがでしょう」


「えっと…」


「今なら利子もつけません。ジェンドの学費も私が負担します。貴女のジェンドにとって、最善を選択なさい」


「…はい。よろしくお願いします。ロザリンド様」


 商談成立!ルーミア叔母様は泣いてます。なんでも叔母様は生活に困り、刺繍と飲食店手伝いでギリギリ食いつないでいたところワルーゼに親切にされ、信用して預けたそうな。獣人はたくさん食べるからと少ない給金からお金を出し、細々と生きながらお金を貯めてジェンドを迎えにいく予定でした。


 多分だけど、叔母様過労死かなんかだったんだろうな…早めに見つけてよかった。いや、もっと早く見つけたかった。

 お嬢様だから騙されちゃったのも仕方ないかな…


「あー、すまん」


 ディルクが大丈夫と判断したのかレオニードさんの拘束を解いたようだ。彼は決まり悪げに私に謝罪した。


「はぁ、こちらこそ私の夫が手荒なマネをしてすいません。私は気にしてませんよ」


「…夫?」


 キョトンとするルーミアさん。


「ろ、ロザリンドの婚約者のディルク=バートンです!」


「つまり未来の夫です」


「まあ、貴女…貴女も獣人と結婚をするの?」


 ルーミアさんは嬉しそう。そういや結婚反対されて駆け落ちしたんだっけ。


「はい」


「まああ、素敵!」


 なんか目がキラッキラなんですが…そして私は叔母様の息子&旦那自慢を延々と…延々と…延々と…聞かされました。たまにディルクの萌えについても語り、ディルクが慌てて止めに入る場面がありましたが、私と叔母様は上手くやれそうな気がしました。

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