ツッコミと遅すぎる報告
クラリンが去ったあと、私はしばらく空を見つめていた。そして、思い出した。
「彼方さん！彼方さんはいますか！？」
「お？どうした」
彼方さんがのんびり歩いてきました。なんか久しぶりです。シュシュさんも居ます。
「彼方さん！なんでやねんはどうしたんですか！？さっきはツッコミどころが満載でしょ！？」
「人間ツッコミどころがありすぎるともはやツッコミ不能になる」
彼方さんは遠い目をしました。いや、よく見たら目が死んだお魚みたくなってます。
「………Ｏｈ………」
「無駄に発音ええな。なら、とりあえず…なんであのじじいは女装したり侍スタイルになんねん！！」
「そっからか！！」
よく考えたら、彼方さんはクラリンと初対面でした。そこからでしたか！
「なんで、羽生えたでかいじじいも居たんや！？」
「それは多分、セインティアでトラウマを植えつけた結果です」
「ロザリンドちゃんは本当に何をやらかしてんの！？」
「…色々？いや、それは(関わったけど)私のせいでは(多分)ないですよ！なんでもかんでも私のせいにしないでください！名誉毀損です！訴えて勝つぞ！」
「最初色々ゆうたやろ！はなから語るに落ちとるやないか！認めなさい！ただでさえ色々色々色々やらかしとるからしゃあないやんか！！」
「くっ…誘導尋問とは卑怯な…」
「誘導尋問しとらんわ！勝手にしゃべったんやろがボケェ！！」
彼方さんは、ツッコミたかったけど空気を読んでツッコミ力を溜めていたようです。素晴らしいツッコミです。
「凛花、見習って。これがほんまもんのツッコミ職人よ」
「誰がツッコミ職人じゃ、ボケェ！！」
しばかれました。小さなツッコミも見逃さない…流石です。
彼方さんはその後大から小までひたすらにツッコミをしていました。
「人のもん勝手に食べたらあかん以前に、食いもんじゃない！！」
「「確かに！！」」
凛花も混ざって合いの手をいれています。
「…ロザリンドは何がしたいんだ？」
「多分ホッとしたんだろうね。楽しそうだ」
「……そうか」
まるで母のごとき慈愛に溢れたディルクに、ラヴィータ君はツッコミを諦めたようです。
彼方さんはまだツッコミをしています。永遠に続きそうなツッコミを止める人物が現れました。
「父さま」
「とーさま」
「とーたま」
「にゃあ、遊んで～」
彼方さんちのプリキュン天使達です。
「カトリーナ、シュレク、カナリィ、シュクル！来たのか！？アンドレは………」
「すいません…」
アンドレさんは噛み痕だらけでした。
「アンドレやだ！」
「とうさまがいい！」
容赦ない子供達の言葉に、アンドレさんが涙目です。やめてあげて！！
「やめなさい！アンドレをいじめない！」
『はーい』
「うおおおお…彼方さん…彼方さんちの天使をちょっと抱っこしたいです」
「や」
「やだ」
「いや」
「………(じわりと涙がたまる)」
完全に拒否ですね？NOと言えるちみっこ達ですね？わかります。彼方さん、羨ましすぎる！！
彼方さんを嫉妬と羨望の眼差しで見つめていると、足にもふもふが絡んできた。
「にゃ、にゃーん」
黒にゃんこディルクさんが『チビモフより可愛い俺を好きにすればいいだろ。仕方がないから、ギューしてチューして腹モフしてもいいぜ』と言っている！！
※ロザリンドさんが都合よく解釈しただけで、実際とは異なると思われます。
「ディルク～、もふもふ～」
「ふにゅ…」
ディルクを存分にモフったら、背後から声がした。
「ロザリン、そろそろいいかしら？」
「クラリン！？」
「また会ったわね」
「いや、さっき別れたばっかやんか」
すかさずツッコミをする彼方さん。
「クラリン、神様として初仕事なの」
華麗にスルーするクラリン。
「ラブ太」
「…ラヴィータだ」
「ラブ太を人間にしてあげるわね」
クラリンはラヴィータ君のツッコミも華麗にスルーした。もはや魔女っ子的な刀にしかみえない神無を振ってキラキラした光をラヴィータ君にまいた。
「ふう、任務完了ね。ロザリン、また会いましょう」
ふわり、とクラリンはまた空に舞い上がる。また苺ぱんつがチラリと見える。見ないように視線をそらした。
「ロザリン、リンカー、しばらく神への願い事はクラリンにしてね」
「なんで？」
「他の神様、皆力を使いすぎてしおしおなの」
「………………」
しおしお？ああ、そういや光輝くもの達なんて、とんでもない願いを叶えまくったから…まさか力が涸渇手前ってこと！？？
「早く言ってよ！！」
「早く言ってほしいッス」「はよ言えや！！」
「早く言え！！」
私、凛花、彼方さん、ラヴィータがツッコミを入れた。私が慌てて世界中に『世界の皆！神様に力を分けてくれ…じゃなくて祈りで助けてあげてぇぇ！！』と通信するはめになりました。
神様達はガチでヤバかったらしいと、後にポッポちゃんが言いました。
早く言ってよ！頼むから！！とりあえず、神様達はなんとか元に戻りました。これにて一件落着…かな？
わりとどうでもいい気がするクラリン情報。
クラリンと蔵之助さんは同じ魂の持ち主ですが、長い年月を二つの人格で過ごした結果魂が二つにわかれつつあります。そのおかげか、二面性がある愛と邪神の力を受け入れられたようです。
