外は外で大変でしたよ
あっさりとラヴィータ(仮)が邪神の穢れを祓い、さらに融合した。超野菜人3ですね。わかります。
そんなどうでもいいことを考えていたら、黒いものに包まれた。
「ロザリンド!」
ディルクだった。加速魔法と獣化で、誰より早く駆けつけたらしい。苦しいが、首のもふもふに押し付けられるのは幸せである。
「お嬢様、無事ですか!?」
私はあっという間に包囲された。ラビーシャちゃん、ミルフィ、シュシュさん…友人達、魔獣さん達、精霊さん達。
心配させてしまったらしい。頼むから泣かないでいただきたい。罪悪感がはんぱない。
「ロザリンド、大変だったんだよ?」
「兄様」
「…本当に、本っっ当に大変だった…」
アルフィージ様、顔色が悪い。つか、怒ってない?
「まず、ディルクが異変に気がついて荒ぶった」
「ロザリンド、肉じゃが」
「アタシはダシマキタマゴ」
「俺、トンカツ」
「…かしこまりました」
ズタボロのカーティス、アデイル、ヒューを見て察しました。旦那がすいません。食べ放題にしてあげます。
「ルーも荒ぶった」
「仕方ないだろ。ディルクがロザリンドがぁぁって泣き叫べば、誰だって不安になるし助けようとするだろう」
「兄様…」
「あとでお説教だからね」
「…………かしこまりました!」
「本当に大変だったぞ、ロザリンド…ルーの反応も仕方ないし、無理もないがな…」
「ルー様も心配しておりましたものね」
頭を抱えたシーダ君はジト目でミルフィを見た。兄を止めてたのはシーダ君だったらしい。すいませんでした!!
「ミルフィも荒ぶったよな?」
「………え、えへ」
可愛いが、ミルフィもだったのか。シーダ君はミルフィも食い止めていたのか!マジで尊敬するわ!すっげぇな、シーダ君!!
「すんませんでした!」
きっちり90度のお辞儀を披露しました。うっかり兄様とミルフィが邪神に触って侵食されたりしてたら、泣くに泣けないよ!ありがとう、シーダ君!!
「お嬢様、愛されてますもんね」
「そうだな、ラビーシャも取り乱した…いたた、痛い」
「余計なこと言わないでください!!」
「魔が小さくなって結界を越えてきてな…しかしそっちより、荒ぶる味方を落ち着かせる方が大変だった」
「そうですね…」
アルフィージ様、アルディン様、ジェス、フィズ達苦労人軍団がぐったりしています。
「身内とマイエンジェルと友人が本当に、本っ当にすんませんでしたああ!!」
もはや土下座1択でした。ディルク、ラビーシャちゃん、ミルフィ、魔獣さん、精霊さんがメインで暴走しかけたらしい。マジですまんかった!!
「…ロザリンド、チタは?」
スイが何かを感じたのか、暗い表情で話しかけてきた。
「あー、ラヴィと融合してラヴィータ(仮)になった」
「(仮)って…しかも勝手に命名したらダメッス!」
「ふむ、いいな。チタが名前を呼ばれないのも悲しい。そうするか」
ラヴィータは気にしてないらしい。スイは微妙そうな顔をしている。
「……スイが優しくしてくれたことも、ロザリンドがくれた感情もちゃんと覚えてる。悲しんでくれてありがとう。でも、ラヴィには俺が必要だったんだよ」
「…どういう意味?」
「ラヴィはリンカから愛…恋愛を。ジューダスから友愛を得ていた。チタはロザリンドから親愛を得ていた。だから融合したことで更に神としての力が増した。あっさり邪神を御せたのも、そのためだ。皆の魔力もあったけど、チタと融合したために得た部分は大きい」
「…そう。僕、あんたをあんまり好きじゃないけど…あんたの中にチタが居るなら少しだけ仲良くしてやってもいいよ」
「…………そうか。ありがとう」
そんな穏やかな会話をしているラヴィータを、後ろから刀で突き刺した。
「………え?」
ラヴィータは青ざめ、ゆっくりと地面に倒れた。
「ラヴィ君!?ラヴィータ君!?ロザリンドちゃん…どうして!?」
私は凛花に微笑みかけて、ラヴィータからゆっくりと刀を抜いた。
この刀はかつて、救世の聖女が作ったもの。セインティアに保管されていたもの。
銘を『神無』という。神を殺すために作られた刀である。




