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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・ある意味最後の戦い編

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封印と解放と後悔

 鍵子さんはダンジョンマスターとこのダンジョンを管理することにしたらしい。たまにジェラルディンさん達が修行したりするようになりました。


 それよりこの便器…ではなく封印された魔の本体をどうしよう。


「あ、浄化はほぼ終わってるぜ。なんかわかんないけど、ここ最近急激に浄化が進んだみたいだ」


 恐らくは本体と繋がっているからだろう。凛花と魔が交流した成果だ。



「…え?」



 封印を解除して露になったその姿は……とても似ていた。


 点が線になり、繋がっていく。私がやろうとしていたことの、足りない最後のひとかけらが埋まった。埋まってしまった。


 感傷を振り切って、魔の…魔と呼ばれていたものの本体を再度封印した。もう浄化は不要みたいだから、とりあえず箱につめといた。こら凛花、花で飾るのはやめなさい。死んでるみたいだろ。とりあえず、便器よりは箱づめの方が遥かにマシだと思うの。


「凛花…覚悟はいいかな?」


「はいッス」


 凛花も、皆も頷いた。これから何が起きるのか、私にも予測できない部分がある。


 凛とロザリアが出会い、ロザリンドになった。ロザリアの死亡フラグを回避しようと決めた。

 ディルクと出会い、ちゃんと恋をして結婚した。

 たくさんの仲間ができた。失敗したりもした。でも、自分なりの最善を尽くしてきた。

 ヒロインを召喚した。色々予想外だったけど…これが最後になるだろう。



 真っ直ぐに前をみて、ダンジョンを後にした。







「ラヴィ君」


 凛花がラヴィに話しかけた。ラヴィは仕事をしていて、不思議そうに首をかしげる。


「ロザリンドちゃんが話があるそうッス」


「…………わかった」


「我々にも聞かせて欲しい」


 ジューダス様とジェスが決意をこめて私をみた。彼らは無関係ではない。私は頷いた。今ウルファネア城の応接間にはダンジョン攻略メンバー全員と、ジューダス様、ジェス、ラヴィが座っている。私は単刀直入にきりだした。


「魔…ラヴィの本体を確保しました。かつて神であったモノよ、貴方はどうしたいのですか?」


 こればかりは、本人に聞かなければわからない。どんな未来を望むのか。凛花から聞いたラヴィは、破壊や滅亡は望まないと予測できる。だが、彼が何を選ぶかによって、こちらの動きは変わるのだ。


「僕は、幸せになったらいけない」


「あ、そうゆうのいらないから」


 私に一刀両断されて、ラヴィの表情が明らかにひきつった。


「…………………」


「私に気を使うな。お前は悪いものではないと、今は理解している」


 ジューダス様が優しく微笑んだ。


「出来れば、今後も仕事を手伝ってくれるとありがたいな」


 わりとちゃっかりしてるんだね、ジューダス様。


「現在1番の被害者もこう言ってますし、願いを言いなさい。できる範囲でなら叶うよう努力します」


 叶えてやるとは言えないが、ある程度ならきっとどうにかできるだろう。


「……と…………たい」


「ん?」


「凛花と、いたい」


「うん」


「凛花といたい。ジューダスの手伝いがしたい。神に戻りたくない。神の力なんかいらない。見守るよりも側にいたい。罪を償いたい…もう間違いたくない…!」


「…そっか」


 凛花とジューダス様が泣きじゃくるラヴィの手を取った。この2人がいれば、なんとかなるかもしれない。



 彼についての凛花から聞いた話はこうだ。シヴァが作ったゲームからヒントを得た凛花が推測した話。恐らく大筋は間違っていないだろう。


 かつて、ラヴィは…ラヴィアスと呼ばれていたものは神だった。愛を司る神だった。

 彼は、人を愛してしまった。距離が近すぎた。そして、悲劇は起きた。




 ラヴィアスが愛した人間が、惨たらしく殺された。




 当然ながら、ラヴィアスは怒り狂い邪神となってしまった。邪神となり、世界中に悪影響を及ぼしたために…生け贄に封じられた。



 それこそが、勇者言葉が倒したとされる魔王の始まりだった。



 ラヴィアスは穢れとして、魔王ごと何度も滅ぼされては復活して、世界を危機に陥れた。


 勇者こと救世の聖女・言葉はそのループを断ち切り、ラヴィアスのみを浄化しながら封印したわけだ。


 言葉は全てを封じきれず、本体と魂を分断していた。本体は洋式便……封印具に封じてウルファネア城の地下ダンジョンに隠した。魂を銀狼族…自らの夫と血族へと封じ、金獅子族や闇豹族をその護りとした。そして現在に至るわけだ。


 今救世の聖女が施した封印は解かれ、ついにラヴィアスはラヴィは解放された。




 兄さん、ごめんなさい。報告、連絡、相談は大事だよね。

 言い訳をさせていただくとね、決心が鈍りそうだったんだ。でもね、私もこんなことになるなんて、思わなかったの。


 私は後悔しながら空を見上げた。



 これは説教案件である。間違いない。

 今日はキリがいいのでここまで。本編はここから最終章に突入します。


 もう少しだけお付き合いくださいませ。

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