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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・ダンジョン攻略編

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ダンジョン攻略・いろんな意味で綺麗に終われない

 幽霊っぽい精霊さんは、本当に精霊さんだったらしいです。


「私の名前は鍵子と申します」


 鍵子さんの自己紹介により、こと姉ちゃんのネーミングセンスの無さが瞬時に浮き彫りになりました。こと姉ちゃんは飼い猫に猫と名付ける強者です。

 鍵の鍵子さんは、このダンジョンの鍵にして番人。なんでもこのダンジョンのダンジョンコアは悪用すれば世界が滅ぶレベルの魔力を持っているそうで、無欲な人間のみが挑戦資格を得るらしい。うむ、そんな物騒な品はいりません。


「凛様は、本当に無欲で美しい心と物理的な強さを兼ね備えた完璧な挑戦者でした」


 すいません、完璧な挑戦者でしたが裏技を駆使しました。別に鍵子さんは私を責めてないが、内心謝罪した。そして無欲ではない。ディルクと仲間と美味しいものが大好きです。欲まみれです。暴食の二つ名まであります。わりと性欲もあると思われます。なんかすいません。


「私の使用者(ユーザー)様は無事見つかりました。しかし腕輪を活性化をした結果、魔力がなくなってしまいポーチ様に助けていただきました」


 私のウエストポーチさんは、知らぬ間に鍵子さんを助けていたようです。しゃべらないだけで君からよく意思を感じるよ、ポーチさんや……料理してるといつの間にか必要な食材や調味料を出してくれてるよね。たまに刻んでくれてるよね…


「小面様のおかげで魔力も強化されました」


 そうか、よかったね。小面さんが笑ってる気がするのは気のせいだよね?気のせいだよね?なんか表情が緩んでる気がします。すげえ怖いので話をそらすことにした。


「…お役目を終えた鍵子さんはどうするの?それから、なんでこと姉ちゃんにそっくりなの?」


「そうですね、許されるならば今後は私もここの管理者になりたいです。どう考えても手が足りてませんし」


 お互いチラリと鍵子さんの足元でくつろぐダンジョンマスターを見た。


「確かに」


「それから私が言葉様に似ているのは、魔力による焼き付けのせいです。この鍵はダンジョン最後の扉を開けるためのもの。それゆえ高度な魔法とかなりの魔力が込められていました。その結果だと思われます。そこのダンジョンマスターも同じ存在です。このダンジョンは言葉様とその旦那様が作りました。その後言葉様を再召喚するため、ここに旦那様はこもっていたのでダンジョンマスターはその影響を受けたのでしょう」


「なるほど」


「?」


 首をかしげるダンジョンマスターは、よくわかってないらしい。


「ダンジョンマスターのお仕事は何?」


「侵入者に試練を与えることだ」


「それから、待ち人様の力になることでしょう?」


 鍵子さんはクールに言いました。ダンジョンマスターは、そこを忘れていたのか固まった。


「まちびと、さま??」


 ダンジョンマスターは、私を指さした。私は爽やかに名乗ってやった。


「はじめまして。待ち人こと、渡瀬凛でっす!」


「うあああああ!!最初に言えよおおおお!!」


「はっはっは。すまんね。でも君も忘れてたみたいだから、おあいこってことで!」


 ダンジョンマスターが叫ぶなか、ディルクが挙手しました。


「ロザリンド…ひとつ聞いていいかな?」


「はい」


「もしかして、以前のオトコハツラ遺跡みたいにダンジョンマスターに待ち人だって名乗れば攻略の必要もなかったんじゃないの?」


「………………」


 私はダンジョンマスターを見た。


「………………(こくり)」


 ダンジョンマスターは頷いた。やはりか。


「……………らしいです」


 さすがの私も申し訳ない気持ちでいっぱいでした。


「ごるああああ!!もおお!何だったんスか!?まださわりしかやってなかったけど、今までの努力は全部無駄!?名乗ればよかったって…酷いッス!無駄ッス!!ありえねえッス!!自分の強くなるための努力も、何もかもが無駄じゃないッスか!!」


「あー、ごめん。でもダンジョンマスターも忘れてたみたいだし、名乗っても無駄だった可能性もあるから、結果オーライ!それに今後のためにも強くなっといて損はないから!」


「納得できねぇッス!!」


 凛花さんはしばらくエキサイトしていました。うん、私も忘れていたんだ。お前も鍵忘れたし、許しておくれ。そう言ったら沈静化しました。


「それで、凛様はこのダンジョンに何を求めていらしたのですか?」


「封印された魔の本体をもらいに来たのよ」


「あー、あれね。はいよ」


 ダンジョンマスターはやたらヒョロいジェンドそっくりの少年の姿に変わると、白いものを持ってきた。


 それは、日本人の贈り人がほぼ毎日見て使用するブツだった。






 その名は『洋式便器』という。





「こと姉ちゃぁぁぁん!!」

「言葉様ぁぁぁぁ!!」


 私と凛花が地面に倒れこむ。


「酷いッス!無惨ッス!エグいッス!!」


「酷すぎるよ、こと姉ちゃぁぁん!!」


 魔を汚物扱いって…酷すぎるだろ!!流石の私も心の底から魔に同情するわ!!本人が気がつかないうちに別の何かに封印しといてあげよう!そうしよう!!


「あの、ソレに関しましては言葉様も悩んでいましたが『蓋が閉まる浄化するアイテムがソレ以外思いつかない』とのことでした」


「「………………」」


 確かに、私も思いつかん。凛花も顔をひきつらせている。


「じょ、浄水器?」


「…洗濯機?」


 とりあえず、何にせよ…魔が可哀想なことになるのは間違いなかった。便器よりはマシだと思いたい。しかし、脱水は厳しい…いや、洗濯の時点でダメか。浄水器は……ろ過されるの?

 魔…ラヴィだっけか?すまない。私たちの想像力が乏しいばっかりに…


 多分ウルファネア城で今日も仕事をしているであろうラヴィに謝罪しておいた。世の中には、知らないほうがいいことが、たくさんあります。

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