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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・ダンジョン攻略編

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ダンジョン攻略・ドラゴンと私

 ぶっ壊された壁が直る瞬間、多分ダンジョンマスターらしき影に首領(ドン)ラゴンが襲いかかるのが見えた。



 ぜひ見なかったことにしたい。しかし、隣室に行かないわけにはいかない。


「…とりあえず、行きますか」


 私、ディルクが先頭。次にジャッシュ、ジェンド、マリー、凛花、ジェラルディンさんの順に入った。


「おお、ロザリンドよ。待っていたぞ」


 ヤマタノ首領(ドン)ラゴンは尻尾をフリフリしている。赤い首はフレンドリーだが、他の首はやや疑わしげだ。赤い首の首領(ドン)ラゴンはコウに似ていて、ついへらりと笑ってしまった。


「お待たせしちゃった?」


「うむ。先ほどは助かったぞ。ちぎれるかと思った…」


 赤い首領(ドン)ラゴンが涙目だ。他の首も涙目だ。恐怖が伝わったのかもしれない。首に傷があったので治してやったら、また尻尾をフリフリしている。なんかでっかいけど可愛いかもしんない。瞳は優しい気がするし。


「…ロザリンドとやら」


「はい」


 立派なお髭をはやした黒い首が話しかけてきた。敵意は無さそうだ。


「お前、ドラゴンが怖くないのか」


「はい。正直に言ってもいいですか?」


「…うむ」


 私は可愛いコウについて熱く語った。私にとってドラゴン=コウである。

 うちの子は皆可愛い。でかくなろうと今でも可愛いのだ。最近のコウは気高きドラゴンたる自覚が出てきたのかツンデレだが、またそれも可愛い。可愛いは正義であり、宝である。

 つまり、私にとってドラゴンは可愛いのである。くりくりした瞳に、スベスベつやつやな鱗も可愛い。

 私はいかにうちのコウが可愛いかを、おりこうさんかをそれはもう語りまくった。親バカというか、姉バカである。仲間たちが、生暖かい瞳で見ているが気にならない。


「………そなたの気持ちはよくわかった。これをやろう」


 髭の生えた首は優しく微笑むと、何かを私の手に落とした。


「ありがとうございます………ん?」


 受け取った石に、なんか見覚えがあった。ドラゴンの形をした、輝く虹色の石。そっとポーチからサボテンの心を取り出す。超似てる。嫌な予感しかしない。


「おお、サボテンの心も持っていたのか。ならば詳しい説明は要らぬな。それはドラゴンの心というアイテムだ。大概のドラゴンはそれがあればそなたに従うであろう。サボテンの心と効果はさして変わらぬ。サボテンの代わりにドラゴンが召喚されたりするだけだ」


「いいいいいいや、いらない!大丈夫!こんな国を滅ぼせそうな激レアアイテムはいらないぃぃ!」


「遠慮をするな。ドラゴンの子をあれほど慈しみ、愛しているそなたにこそ相応しい。そなたは悪用せぬだろう」


「買いかぶりすぎですからぁぁ!!悪用しないけど、こんな物騒なアイテムはいらない!!」


 ヤマタノ首領(ドン)ラゴンに全力でいらないと訴えるが、また謙虚だとかよくわからない誤解をされて返品させてもらえませんでした。


「魔物の頂点にあると言われるドラゴンをも従えるとは、流石我が主だな!」


「違うから!友好関係になっただけだから!ドラゴンは気高いから、従えるとか無理だから!」


「菓子折り持ってクリスタルドラゴンの里に遊びに行ってる時から…いや、サボテンの心を貰った時から、いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていたよ」


「旦那様!諦めたらそこで試合終了だよ!!というか、そんな昔から予測していたの!?」


 ディルクさんはすっかり遠い目です。


「…2度あることは3度あるって言うし」


「そんなに何回もあってたまるかぁぁぁぁ!!」


 そんな風に叫んでいたら、気がついた。気がついてしまった。ヤマタノ首領(ドン)ラゴンの下から、手が出ている。


「ひいぃっ!?」


 とんだホラーである。そういや、一瞬だがダンジョンマスターらしき人影が襲われていたような……嫌な予感しかしない。


「あの、ダンジョンマスターは?」


「うむ、潰した」


 仲間たちは固まったが、私は予想がついていたのでツッコミをいれた。


「やっぱりその体の下にある手かぁぁ!!ダンジョン崩壊したりしないわけ!?」


「うむ。大丈夫だった。これは分身で、本体は別であるらしい」


 手はピクリと動き、首領(ドン)ラゴンが消え失せる。全員が武器を構え、緊張した表情でダンジョンマスターを見据えた。

 まさかの空気と化していたダンジョンマスター。次こそかっこよく戦えるといいね。悪役令嬢が完全に迷子になりつつ、続きます。



 蛇足ですが、活動報告に超短いハロウィンSSあげました。活動報告のSSもまとめて番外に上げるべきか悩み中です。


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