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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・ダンジョン攻略編

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ダンジョン攻略・小休止(男衆)

 男湯サイドが見たい!という勇者が多数いたので、今回はディルク視点の男湯です。

 今夜は夜営を想定していたけど、ロザリンドの隠れ家が使えることが判明したのでそっちを使うことに。安全面でも安心だし、夜営よりずっと快適だ。

 隠れ家にジェンドは警戒してるみたいだけど、俺は何度も使っているから慣れたものだ。ジャッシュとジェラルディンさんは中でお茶したりしていたから、さほど警戒はない。


 お風呂場は男女別になっている。先にお風呂に行くことになった。


「初メテノ方モイラッシャイマスシ、説明ハイカガシマショウカ」


「俺が説明するから大丈夫だよ。ありがとう、ナビィ君」


「コレハ私ノ仕事(ミッション)デス。当然デス」


「そうだね。それでもお礼が言いたいんだ。ここがいつもキレイなのは君のおかげだ」


「…サブマスターハ変ワッテイマス」


 無表情なはずのナビィ君が苦笑していた気がした。ロザリンドと結婚してから、俺はナビィ君にサブマスターと呼ばれている。


「わはははははは!」


「父上!体を洗ってから入るんです!」


「……………」


「…ゴ案内ハイカガシマショウカ」


「……手に負えなかったらお願いします」


 無表情なはずのナビィ君が、ジェラルディンさんに呆れているように見えた。





 ジェンドは全く問題なかった。元来頭がいいから、説明すればすぐに理解する。ジャッシュも同じだ。わからなければ質問する。


「ここに服をいれて、タオルは湯船に入れないようにね」


「わかった。あれはマナー的にはどうなの?」


「…走るのはまずダメかな」


 広い風呂にテンションが上がりまくったらしいジェラルディンさんが走っていた。相変わらず彼には羞恥心がないのか、何も隠していない。


「父上!前ぐらい隠してください!」


 タオルをもってジャッシュが追いかけていたが、最後には諦めていた。


「…お疲れ様」


「…父上がすいません…」


 別にジャッシュは悪くない。苦労性だなと思った。ちなみにジェラルディンさんは楽しそうに打たせ湯で遊んでいる。


 ジェンドにシャワーとカランの使い方を説明して体を洗い、ゆったり湯船に浸かっていたら、女湯から声がした。


「くっ、この羨ましいボインボインめえっ」


 凛花さん…かな?ボインボインって、うちのロザリンド?


「こら!私の乳を好きにしていいのはディルクだけです!揉むな!!」


 ええ!?揉まれてるの!?ついロザリンドのたわわな胸を凛花さんが揉むのを想像してしまった。 


「このリア充が!くっ柔らかいだけでなく、張りがあるだと!?おまけにピンク色「丸聞こえだからね!?ロザリンドも堂々と何宣言してるの!」


 凛花さんが具体的にロザリンドの胸について語ろうとしたので慌てて叫んだ。とりあえず、言い争う声がしなくなってホッとした。しかし、ロザリンドがやり返さないわけがなかった。


「そんなに巨乳が欲しいなら、マッサージしてくれるわ!!」


「ちょ、いやあああん!!や、向こうに聞こえてるのになんてこと…あっやだぁ!!ああああん!!」


 反撃に出たらしいロザリンド。あられもない声をあげる凛花さん。いやんとか、先はだめとか、本当に何をしてるんだ!俺は幸いロザリンドの声以外には反応しないが……もしロザリンドがあんな声を出していたら…ヤバい!下半身が反応してしまった!


「い、いいかげんにしなさぁぁぁい!!」


 なかば照れ隠しで叫ぶと、ロザリンドは素直にやめたらしい。


「はーい」


 返事とともに、女湯は静かになった。しかし、反応してしまった下半身をどうしよう。チラリとジャッシュ達をうかがうと、前屈みになっていた。まあ、仕方ないよね。


「わはははははは!!」




 あ、萎えた。


 全裸で石鹸を足にくくりつけ、ぶらぶらしながら滑るジェラルディンさんに一瞬で冷静に……っていや待て!


「何してんですか!?」


「わはははははは!!」


「父上!やめなさい!危険です!ぐふっ!」


 早速石鹸スケートのせいでジャッシュが滑ったらしい。なんて迷惑なオッサンなんだ!


「いいかげんに…!」


 追いついて掴もうとしたが、滑った。


「わはははは!!俺の石鹸コーティングされた体は捕まえられないだろう!!」


 イラッとしたが、実際につかめないのは確かだ。ジャッシュも加勢して打撃を加えるが、石鹸でうまく打撃をも滑らせていてダメージには至らない。


「ぐあっ!?」


 遠隔からの桶による一撃でジェラルディンさんはうずくまった。頭に直撃したので、痛かったのだろう。桶を投げたジェンドは言った。


「父さん、いいかげんにして。兄さんとディルクも、全裸でなにしてんの」


「「すいません」」


 確かに、全裸でぶらぶらさせて戦うとか…何してるんだよ。俺とジャッシュはスゴスゴと浴槽に戻った。

 今日の日替わり風呂はショウガ湯だった。獣人の俺たちに配慮されていて、匂いはあまり気にならない。石鹸なんかも、獣人仕様の仄かに匂うものにされていて、ナビィ君の気遣いにホッコリしていたが……


「わはははははは!!」


「わぷっ!?父上!やめてください!」


 迷惑なオッサンはジャッシュにお湯をかけてイタズラしていた。


「いいかげんにしてよ、お父さん!!兄さんがかわいそうだ!!」


 ついにジェンドがキレてジェラルディンさんに説教をした。ジェンドは先にあがるらしい。俺もでるかな。しょんぼりしたオッサンは、暫くしたら復活してしまうだろう。


「ナビィ君、あの人…ジェラルディンさんの案内をよろしく」


了解(ラジャー)


 早速ナビィ君に叱られたらしく、ナビィ君の電気攻撃と悲鳴が聞こえた。


「…ディルク様、ありがとうございます。ナビィ殿に任せれば大丈夫そうです」


「…お疲れ様」


 なんだか疲れをとるはずのお風呂で、俺達はどっと疲れてしまった。ジェラルディンさんは最初からナビィ君に任せるべきだったかもしれない。




 ロザリンドにすすめられたマッサージ機でウトウトしていたら、ロザリンドがそっと近寄ってきた。湯上がりのいい匂いがする。


「…お疲れ様、ダーリン。今日はありがとう…大好き」


 チュッと額にキスが落とされた。眠気は飛んだが、しばらく悶えるはめになった。不意打ちは卑怯だと思う!!



 追伸・ジェラルディンさんはあの後、コーヒー牛乳の飲みすぎでトイレに駆け込んでました。

 ちなみに女湯に騒動は聞こえてましたが、またジェラルディンさんがなんかやらかしたなと気にしてませんでした。

 オッサンは広いお風呂にテンションが上がりまくった結果らしいです。普段はここまで迷惑ではない…はず。

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