ダンジョン攻略・小休止
時間も夕方になりました。今夜はここで一泊だねと階段で夜営の準備をしようとする皆。
私が巨大Gの死骸があるとこでは嫌だと駄々をこねた結果、階段で寝ることに…皆に申し訳ない…あれ?そういえば…
「ちょっと待った!試したいことがある!」
私はポーチからあるアイテムを取り出した。
「あ、使えた」
そのアイテム名は『隠れ家の鍵』である。これさえあれば、いつでもどこでも快適ライフが実現するのである。
「オ帰リナサイマセ、マスター。オ風呂ノ準備ハ整ッテオリマス」
「ナビィ君、ありがと。皆も入ってー」
入るとさっそくナビィ君
がお出迎えしてくれた。
「皆様、オ疲レデショウ。マッサージモ可能デス。健康チェック。水分不足ヲ確認」
ナビィ君はアイスティを出してくれた。
「おいしー」
「ふみゅー」
砂漠が暑かったから、アイスティが体にしみる…
「ロザリンドちゃん」
「はいな」
「ここはというか、これは何?」
「先ほど私が使った鍵は『隠れ家の鍵』です。かつて救世の聖女が使っていた魔具ですよ。キッチン、風呂トイレ別。冷暖房完備の優れもの」
「サラニ風呂ニハジャグジー、泡風呂、打タセ湯ヲゴ用意シマシタ」
「風呂の充実がはんぱないッス!」
「マッサージ機とコーヒー牛乳もあるよ」
「銭湯か!?」
「?戦闘??」
ジェンドは首をかしげている。
「んと…こっちにお風呂屋さんは無いんスか?お金を払ってお風呂に入るとこッス」
「ああ、公衆浴場か」
基本庶民は行水なので贅沢施設らしいです。ジェラルディンさんはわりと行くらしい。ジェンドはあること自体知りませんでした。うち、お風呂あるから必要ないし…昔はジェンド、貧乏だったし。
「とりあえず、全員お風呂に入ったらご飯にしましょうか」
こそこそと逃げようとしたマリーの首ねっこを捕まえた。
「いにゃあああ!?お風呂いにゃあああ!!」
「問答無用!凛花!」
「了解ッス!!」
「いにゃあああ!!」
マリーを凛花と二人がかりで連行しました。猫だからか、マリーはお風呂が嫌いです。しかし、汗と砂まみれ、アレの体液にまみれたのです。浄化していようが、強制洗浄です!!
二人がかりでマリーは丸洗いされました。さて、まったりお風呂に浸かっていると、凛花が嘆きだした。
「ぐっ……なんという…これが格の違いというやつか…」
凛花は何やらうちひしがれている。
「先生…巨乳が…巨乳が欲しいです」
「凛花君、人生諦めが肝心ですよ。ほっほ」
「先生ぇぇぇ!?」
※ツッコミ不在でお送りしております。
「ふみゅー」
マリーはまったり湯に浸かっています。洗われるのは嫌だけど、湯船は好きという不思議。マリーに気をとられていたら、凛花に背後をとられてしまった。
「くっ、この羨ましいボインボインめえっ」
「こら!私の乳を好きにしていいのはディルクだけです!揉むな!!」
「このリア充が!くっ柔らかいだけでなく、張りがあるだと!?おまけにピンク色「丸聞こえだからね!?ロザリンドも堂々と何宣言してるの!」
「「……………」」
丸聞こえだったらしいです。そして、凛花が怯んだ一瞬を私が見逃すはずもない!拘束を外し、やり返す!
「そんなに巨乳が欲しいなら、マッサージしてくれるわ!!」
「ちょ、いやあああん!!や、向こうに聞こえてるのになんてこと…あっやだぁ!!ああああん!!」
容赦ない攻撃に、あられもない声をあげる凛花。
「い、いいかげんにしなさぁぁぁい!!」
「はーい」
ディルクの焦った声でやめました。凛花はぐったりしています。
「これが経験の差か…危うく新しい扉を開いちゃうとこだったッス」
「よく閉めとけ。封印しとけ」
「はいッス」
凛花はアホだと思います。百合の世界までは行かないでいただきたい。これ以上の厄介な性癖は不要です。
「わ、今日は薔薇風呂もある」
日替わり風呂はナビィ君が用意してくれています。幸せ……マリーは鼻がいいからか、薔薇風呂は不評でした。
そして、風呂あがりはコーヒー牛乳!3人揃って腰に手をあて、一気に飲みます。
「ぷはー」
「至福ッス!!」
「ふみゅ、コーヒーにゅーにゅーおいしい!」
牛乳と言えてないマリー、可愛い。念入りに乾かしてブラッシングしたマリーは艶サラです。もふりたぃぃ!!白猫、ジャスティス!!
普通カラスの行水になりがちな男性陣の方が遅かった。珍しい。特にジェラルディンさん。
「長かったね」
「…まあ、ジェンドは温度調整機能つきの風呂が初めてだったから説明しながらだったし、それはまぁいいんだけどジェラルディンさんが石鹸スケートをやりだしてジャッシュと捕獲したり、ロザリンド達は変な話をするし……」
ディルクとジャッシュは入る前より疲れている気がします。つーか、何やらかしてんだよ、おっさん。
二人にはマッサージ機の使用をすすめました。
はしゃぐおっさんを一瞬で縛り上げて、お説教をしときました。
「ジェラルディンさん、石鹸スケートは禁止です」
「きゅーん」
か、悲しげに鳴くな!悲しげに鳴いたらなんでもかんでも許すと思ったら、大間違いなんだからね!
「入浴禁止とどっちにする?」
「もうしない」
「よし!」
ジェラルディンさんはお風呂が好きらしいです。
そして、マッサージが終了したらしい苦労人二人。
「お嬢様…ダメです。これは堕落の機械です。肩こりがスッキリして眠い……」
「寝ていいけど、ご飯食べてからね。ディルクは寝てるし、ご飯できたら起こしたげるから寝てていいよ?」
「いえ、お嬢様だけを働かせるわけには…しかし、お嬢様がいいお嫁さん過ぎてディルク様羨ましい……うう、撫でないでくらさい…眠い…………」
撫でてたら、寝た。珍しいな。しかもなんか本音が出てたし。よく見たら、くまができてる。寝不足だったの?
「…兄さん、夜お父さんに付き合わされて昨日あんまり寝てないからかな?」
ジェンドはそっとディルクとジャッシュに毛布をかけてあげた。気が利くね!
「おっさん、ご飯ができるまで正座して反省してろ。主命令です」
「きゅーん」
優しい息子に迷惑をかけるんじゃありません!
おっさんは部屋のすみでご飯ができるまで正座してました。たまにジェンドやマリーにつつかれて痙攣してました。いいぞ、もっとやれ。
「主、正座とは恐ろしい拷問なのだな!」
ご飯に呼んだジェラルディンさんの足は、生まれたての小鹿のようにプルプルしてました。
長くなりそうなんでいったん切ります。
今回の男性側(ディルク視点)を見たい人はいますかね?サービスにならない気もする(笑)




