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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・ダンジョン攻略編

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ダンジョン攻略・初めてのボス部屋

 地下19階で全てのGを殲滅してくれたキングサボ☆天。


 ありがとう、キングサボ☆天!

 本当にありがとう、キングサボ☆天!


『ワレラガツイテイケルノハ、ツギマデダ。ロザリンドヲタスケタイ』


 キングサボ☆天は、そう言って次の階に続く扉をあけた。








 そして、つまった。








 よく考えなくても当たり前だ。ドラゴンが人間サイズの扉をくぐれるか……明らかに無理である。


 トゲがなぜか柔らかいキングサボ☆天を引っ張ったが抜けない。


「主、おれがやろう。フンヌゥゥ!!」


 ジェラルディンさんが頑張ったが、キングサボ☆天は抜けなかった。


「手伝います」


 ジャッシュも手伝ったが抜けなかった。


「俺も手伝うよ」


 ディルクも手伝ったが抜けなかった。


「僕も手伝う!」


 ジェンドも手伝ったが抜けなかった。


「ロザリンドちゃん、自分この光景を昔、見た覚えがあるッス」


「うん、なんだったかなぁ………」





 うんとこしょ、どっこいしょ、それでも○○は抜けません。



「………おおきなかぶ?」


「それだ!!」


「いいからロザリンド達も手伝ってよ!」


「「はーい」」


 ディルクに叱られたので、お手伝いしました。ようやくサボテン(かぶ)は抜けました。やたら胴長になって、ダックスフントみたいだと思ったが、黙っときました。






 さて、20階の部屋手前、階段にて作戦会議です。凛花情報によれば、次はボス部屋になるらしい。本来なら、ゴールデンサボテン10体と巨大サボテンがここのエリアボスらしいのですが、私がサボテンさんを結果的に寝返らせてしまったため、奴らが代わりにいるだろうとのこと。

 



「というわけで、ロザリンドちゃんとディルク様はお留守番で」


 色々話し合った結果、Gに確実にパニックを起こす私はディルクとお留守番。ディルクは私の魔力を無意識で安定させているらしい。


「陣形はどーするッスかね」


「このメンバーだと、基本は前衛が3人で凛花さんが後衛。私は状況に応じて動きますが、基本は中距離で全体のフォローをします」


「じゃあそれで」


「このメンバーならよほどがなければ負けないだろうけど、もし何か不測の事態が起きたら私も戦う。あ……あれは嫌いだけど、皆が傷つく方が嫌だから」


 いざとなれば、戦える。凛花や皆は大切な存在だ。


「主…」

「お嬢様…」

「ロザリンド…」

「お姉ちゃん…」


 なんで皆はうるうるしてんの?なんか変なこと言った?


「じゃ、頑張るとするッスよ!!」


『おう!!』


 そして、凛花達は扉をあけて部屋に走りこんだ。









 しかし、なんの音もしない。戦闘が開始されたならもっとこう、破壊音とか破裂音とかが聞こえるのではないだろうか。まさかの防音??


「ディルク…」


「大丈夫。みんな強いんだから」


「……うん」





………5分経過。




「ディルク」


「……俺が行くよ」






 そして、戻らないディルク。


 ナニコレ、ホラー!?地味に怖い!!いや、でもディルクの気配はちゃんと扉の外にある。探ると戦ってはいなくて…動揺と困惑が伝わってくる。


 恐る恐る扉をあけ……固まった。






 そのもの、緑の野に立ち、白きモノを埋め尽くす。虹色の輝きを纏いしは、伝説の覇王樹なり。


 覇王樹=サボテンと読みます。






 何が言いたいかといいますと、広大なボス部屋を埋め尽くす、マッチョネスト=サボテン達。その下に、巨大な白いGが3体。すでに死んでいるらしく、腹に風穴が空いている。




「………え?」




 私に気がついた凛花が来てくれた。


「ロザリンドちゃんや」


「はい」


「サボテンさん達がボス倒してたッス」


「マジか」


「マジッス。自分らが来たときには、すでにこの状態ッス」


「マジか」


「マジッス。どうやら自分らが作戦会議してる間に倒しちゃったらしくて」


「マジか」


「マジッス。なんか、よく考えたらマッチョネスト=サボテンやたら先回りしてたじゃないッスか。11~20階までなら自在に転移ができたらしいッス。階段は微妙だからさっきは焦ったらしいッスけど」


「マジか」


 さっきから、動揺しすぎてマジかしか言えない。いや、うん。挙動不審になるしかない。


「しかも、ドアがあの死体の下でどうやって除去というか、証拠隠滅しようか相談してたんスよ」


「マジかよ!」


「マジッス。答えを出せないままに、ロザリンドちゃんが来ちゃったッス」


「マジか!みんなに怪我がないのは嬉しいけど…どうしよう」


 悩んでいたら、サボテン達がGを解体…いや、あれは…吸ってる!?


「いやああああああ!?」


「ロザリンド、落ち着いて!」


 ディルクが目をふさいでくれたが、見てしまった。サボテンの足がGの体に埋まり、膨らむのを!食べたらダメ!お腹壊すよ!?


「…ロザリンド、多分もう大丈夫だから、手をはなすよ?」


「は、はい…………」



 そして、私が見たのは…




 そのもの、金色の野に立ち、白きモノを埋め尽くす。虹色の輝きを纏いしは、伝説の覇王樹なり。



「どうしてこうなった!?」


 マッチョネスト=サボテンが、ゴールデンサボテンにクラスチェンジしている!!

 体液を吸い付くされたGはもはや残骸で、ジェラルディンさんがポイポイ投げて通路を確保している。


「ロザリンドヲイジメルヤツハ、タオシタ」


「ロザリンド、キヲツケテ」


「ありがとう、サボテンさん達」


 でも、2度と吸うな。しばらく近寄れないじゃないか。





 こうして、私達は先に進んだのでした。







 私は忘れていた。

 動揺し過ぎて忘れていた。


 あのサボテンズが実家に行ったらどうなるか、考えてなかった。


「なんで皆して進化しちゃったの!?」


 ボスを倒した経験値によりサボテン達はゴールデンサボテンになったわけだが、兄からしたらいきなり2段階進化したわけで……大量のゴールデンサボテン発生により、騎士団に通報されたらしい。


「ロザリンドノタメダッタノダ」


 既に説教フラグが発生していることを、今の私は知らない。


 マジでどうしてこうなった!?

 今気がつきましたが、全くまともに攻略してない?


 いや、ちゃんと進んでるから問題ない……よね?


 次はちょっと休憩になります。

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