ダンジョン攻略・サボテンは天使のために戦うらしい
さて、比較的安全な階段にて作戦会議をいたしました。今後もGは間違いなく出るでしょう。私はサボさんをまじえて作戦をたてたのです。
結果。現在地下13階。
「わははははははははは!!」
高笑いするおっさん。
果てしなく並ぶサボテン達。
ここまでは今までと同じ光景です。
おっさんが操る馬は世紀末的センスのヴァルキリー馬。さらに、ヴァルキリーには…いや、馬車ごと風と氷の魔法がかかっています。馬車も世紀末的センスになっており、容赦なく魔物をガッツンガッツンとはね飛ばしております。ナニをはね飛ばしているかは、私の精神衛生のため言いません。
しかも馬車は縦長になってます。理由は後ほど。
「わははははははははは!!」
「ワタシハカゼニナル!!」
わりとクールなロージィ君と違い、ノリノリなヴァルキリーがジェラルディンさんから悪影響を受けないか心配になりました。
さて、次の階段への扉が見えてきました。サボさんが扉を開いてくれています。
魔法を解かず、そのまま突破しました。14階入り口のドアも破壊して、そのまま走り抜けました。縦長にしたのはそのまま階段も走り抜けるためです。めっちゃ揺れましたが、耐えました。
空路は使わないのかって?四方八方からGに襲われたら、私は死にます。というか、私がパニックを起こします。むしろ、魔力暴走を起こして仲間が危険です。
さすがのGも砂の中から攻撃を仕掛けることはないのです。
15階、16階、17階、18階も一気に走り抜けた。
このまま上手く走り抜けるかと思いきや、19階で異変が起きた。アリジゴク的なモンスターがやたら設置されていた。
数ヶ所ならまだしもその数は多い。しかし、ダンジョンマスターも焦ったのか、Gが喰われて………見たらダメ!いや待て!それより……
「サボテンさぁぁぁん!?」
アリジゴクにサボテンさん達がめちゃくちゃはまりまくってるぅぅ!!
「うわああああ!?」
「めっちゃアリジゴク的なのに流されてるッスぅぅ!!デザートヘルアントッスか!?」
私は走った。飛んでるGがなんだ!私達を守ろうとしたサボテンさん達を助けねば!!
仲間達も馬車から飛び出した。ぶっちゃけアリジゴクもどき…正式名はデザートヘルアント。こいつはすり鉢状になった砂の中心部にいるから倒しやすい。次々仕留めていくが…全部を倒すのは間に合わない!サボテンさんがデザートヘルアントにかじられ…………なかった。
「………は?」
ペッてされたよ。どゆこと??
後で兄に聞いたのだが、デザートヘルアントはサボテンを食べないらしい。むしろサボテン達に体液を搾取される側らしい。ちなみにGは悪食なのでサボテンさん達を食うこともあるそうな。ぜひ滅ぼしたい。
「ロザリンド…」
「コックローチガコワイノニ、ワレラノタメニ……」
「ミナノモノ、イノルノダ!」
サボさんが叫ぶ。
「ミナノモノ、ネガウノダ!」
サボノバさんが叫ぶ。
「ワレラノタイセツナ、テンシロザリンドノタメニ!」
サボンヌさんも叫ぶ。いや、私は人間だから。天に召されてないから。
「ワレラハイマコソ、チカラヲアワセルノダ!!」
サボノビッチさんが叫ぶ。レジェンディア=キングシャボテン達の呼びかけに、サボテン達が呼応する。
「サボ!」
「サボ!」
「サボ!」
「サボ!」
「サボ!」
「サボ!」
『イマコソ、ワレラノチカラヲヒトツニ!!』
「え?」
脳内で、残酷なサボ天使のテーゼが流れました。
少年よ神話になれ。
いやいや、おかしい!
色々おかしい!!
なんでこうなった!?
『サボーン!!』
虹色に輝くサボ☆天。
(ただし特盛…じゃなかった特大)
以前見たサボ☆天はレジェンディア=キングシャボテンや通常のサボテンさんサイズでした。しかし、今回のサボ☆天は形状はほぼ同様なのですが、やや太めで超でけえ。ドラゴンのコウと高さは一緒です。ただ、コウより太いので質量的にはコウ3体分ぐらいありそう。
そうこうしているうちに、黒き悪魔の大群が押し寄せてきてパニックを起こす私。
『アンズルナ、ロザリンド。ロザリンドハ、ワレワレガマモル!!』
巨大サボ☆天…キングサボ☆天と命名しよう。某合体するドラゴンなクエスト的有名モンスターを彷彿とさせるが、細かいことは気にしない!
私がアホなことを考えて思考をそらしている間に、キングサボ☆天は8枚の羽を輝かせ、Gを殲滅しだした。
『激!世界終焉仙人掌爆!!』
Gはなすすべもなく爆破されていく。群れて飛ぶのがまずいと判断したのか、群れが散り始めた。
『覇王樹竜巻!!』
キングサボ☆天は竜巻を起こしてGを集める。
『激!世界終焉仙人掌爆!!』
そして1ヵ所に集めると、爆発させた。
『ロザリンドハ、ワレワレガマモル!!サボーン!!』
肩に手をぽん、とされました。
「………愛されてるッスね」
「あ、あはははは…」
もはやひきつった笑いしか出ませんでした。
マジでどうしてこうなった!?
悪役令嬢になんかなりませんは、10月19日で一周年になりました。こんなくだらない小説が1年続いたのは、応援してくださる皆様のおかげです。いつもありがとうございます。
追伸・一周年に気がついたのは一昨日でした。こんなアホ作者ではございますが、今後もよろしくお願いいたします。




