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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・凛花さんと○○編

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凛花さんとパンドラの箱

 やや下ネタ注意。

 天ちゃんが帰ったら、ジェス様が戻ってきた。ジェス様、お疲れ様です。


「なんつーか、痛々しいッスね」


 ジェス様はトルテさんに追いついたらしく、顔にがっつり引っ掻き傷がついていた。とりあえず傷を治してあげたのだが、視線を感じて廊下を見たら、またトルテさんがいた。

 なんなんだろう。地味に怖いんスけど。


「…トルテは、私が嫌いになったのかなぁ」


 廊下でむっちゃ首振ってるから、嫌いじゃないみたいッスよ?

 トルテさんとジェス様は幼馴染だったらしく、とても仲良しだったらしいッス。


「…嫌ってはないと思うッス。トルテさんは嫌いな相手の存在を抹消(シカト)するッス」


「……確かに」


 相手が格上だろうが、トルテさんはやります。本気で見えてないの!?と言いたくなる、レベルの高い無視(フルシカト)をかまします。その威力は、絡んできたおっさん獣人を泣きながら撤退させるほどッスよ!


「自分、聞いてきてあげるッス」


 仕事もないし、いったん解散しました。しかしまさか、この軽率な発言に激しく後悔することになるとは思わなかったッス。






「トルテさん」


「お帰りなさいませ、リンカ様。お食事になさいますか?お風呂になさいますか?それとも…」


 トルテさんはいつも通り新婚さんもどきごっこをしてきたッス。とりあえず、自分に嫉妬したりはしてないみたいで良かったッス。


「恋話でお願いするッス」


「………後悔しますよ?」


 ふおお、トルテさん超真顔で怖いッス!いやいつも真顔だけども、なんか今日はいつもより迫力あるッス!


「た、多分大丈夫ッス!!」


「では、しばしお待ちください。素面では話せませんので」


「………え?」


 トルテさんはお酒を持ってくるとがぶ飲みした。酒瓶を持って直接飲む。いわゆるらっぱ飲みというやつッス。いやいや待て!!


「ちょ!?」


 一気だった。いい呑みっぷりだった。止める間も無かった。


「………では、お話をいたしましょう」


 トルテさんは相変わらず真顔だった。片手に酒瓶抱えてる以外は。


「えと、ジェス様をどう思ってるんスか?」


「…愛しておりました」


「へ?」


 過去形?今は?


「…愛しておりましたのに、ジェス様ったら…あんなに醜くなってしまわれて…!」


 見た目が普通なトルテさんですが、盛大に酔っぱらいとなっておりました。


「ああ…永遠の少年だったのに…!薔薇色のほっぺ、愛らしい顔立ち、すべすべツルツルの手足、腋、こか「御法度ぉぉ!?ちょ!ダメッス!つか、なんで知ってるんスか!?」


「私は侍女ですわよ。着替えを手伝ったりするときもございますわ」


「えええ…ぱんつもッスか?」


「いえ?入浴を覗きました」


「覗きは犯罪ッス!セクハラッス!!」


 どうやら、トルテさんは少年愛者(ショタコン)であるため、理想の永遠の少年だったはずが、急に成長したジェス様を受け入れられなかったそうッス。そして、ややストーカーの気配もしたッス。

 あげく、八つ当たりでここ最近はジェス様に冷たくあたってしまうらしいッス。


「えと…少年じゃないジェス様は嫌いッスか?」


「…いいえ。過ごした時間も長いですし、嫌いではないのです。ただ…脛毛や諸々の毛を受け入れられなくて……」


「……毛だけが問題なら、剃ったらいいんじゃないッスか?」


「!!そうですわね!剃ればよいのですわ!」


「え?」


 口は災いの元ッス。じぶんのうっかり発言により、トルテさんは………暴走した。某初号機が見えたッス。拘束を外し、獣は解き放たれてしまったッスよ!!


「早速今から行ってまいりますわ!!」


「え?」


「ではリンカ様、また明日!!」


「………え?」





 そして、トルテさんは走り去った。





「………え?」



 衝撃的な展開過ぎて頭が働かないッス。とりあえず、部屋を出て廊下を彷徨っていたら、ラヴィ君に会ったッス。


「リンカ?」


「………ラヴィくぅぅん!」


 半泣きの自分を心配そうに見つめるラヴィ君。なんだかその表情に安心した。


「のわ!?」


 ラヴィ君に抱きついてスリスリして癒されつつ脳内を整理しようとした。


「…リンカ?どうした?」


「…精神的に疲弊したので癒していただきたいッス」


「…どうしたらいい?」


「ぎゅーってしてくれたら嬉しいッス」


「こ、こうか?」


 優しくぎゅーしてくれるラヴィ君。し、幸せ……!しかも優しく撫でてくれる!




 そして、自分は幸せに溺れて………ジェス様の事を完全に忘れてしまったッス。








「リンカ様のおかげで、この度結婚することになりました!」


 トルテさんは幸せそうに語りました。あの………死んだ魚の瞳をしたジェス様が超気になるんですが?


「じ、ジェス様?」


「……なにも、きかないでくれ」


流石の自分も、剃られたんスか?とは聞けなかった。

 ど、どうしてこうなった!?


 でも、数日後に仲睦まじくしているジェス様とトルテさんを見たので、いいことにしたッスよ!うん!自分はなにも知らないッス!!

 正しく沈黙は金なり。雄弁は銀なりというおはなしでした。


 ジェス様がナニをされたか……続きは貴方の心の中で☆

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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
― 新着の感想 ―
トルテさんの気持ち、少し分かる気がする。 就職するまで、どんなにヒョロかろうが「男には胸毛がある」事を知らなかったんだもん。(うちは父、祖父2人共胸毛なしの頭髪フサフサだったもので…) 夏シャツの隙間…
剃られたのか……!自分以外のやつに……!
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