凛花さんと業(カルマ)
凛花視点です
お尻を隠しながら仕事をする王様を眺めつつ、皆さん休憩になりました。
「リンカ、本当に助かったよ!ありがとう…」
「リンカ、礼を言う」
ジェス様にいたっては涙目である。苦労しているのがわかって、つい頭をなでなでしてしまった。
多分、それがいけなかった。
扉の隙間からこちらを見ている瞳と目があった。ホラーッス!!
「ひぃっ!?」
「?」
しかし、離れていった後ろ姿は見慣れた女性のものだったッス。
「ジェス様、緊急事態ッス!全力をもってトルテさんを追いかけるッス!!」
「!?わ、わかった!」
ジェス様は慌ててトルテさんを追いかけたッス。
「凛花、俺には?手伝いしたろ?」
「天ちゃん、ありがとうッス」
天ちゃんの頭をなでなでしたッス。あれ?なにやら行列が…精霊王達も誉めてほしいんスね。ちゃんと心をこめてお礼を言ったッスよ。みっさんとかっちゃんにはロザリンドちゃんブロマイド、コンちゃんにはロザリンドちゃん特製いなり寿司をあげたッス。
一息ついたとこで、袖をクイクイされたッス。
「………リンカ、僕も」
頬を赤らめて恥じらいながら、自分にナデナデをねだる天使がいたッス。
萌 え た 。
か、可愛い!ハァハァしちゃったのも仕方ないと思うんスよ!
「ラヴィ君もお仕事頑張ってえらいッス」
ナデナデをしたら、嬉しそうにはにかむ天使君。鼻血を出さなかった自分を誉めてほしいッスよ!
「…微笑ましいねぇ」
「うむ!主達はラブラブだな!」
「仲がよいな」
「いいわねぇ…」
「妻との昔を思い出すな」
「「!?」」
恐らく悪意がないジューダス様と精霊王達の言葉に照れてクネクネしてしまう。照れてまうやろ~!もっと言ってくださいッス!
「……そいつ、凛花とどういう関係なわけ?」
天ちゃんが死んだ魚的虚ろな瞳で聞いてきたッス。え?天ちゃん、喜んでくれないんスか?
「えーと…」
しかも、改めて言われると難しいッス。片想い……かな?
「……………こ、こいびと、だ」
「え?」
「は?」
「おや」
「おお」
「ほう」
「良かったな、リンカ」
『おめでとう、主!』
私、天ちゃん、みっさん、コンちゃん、かっちゃん、ジューダス様、精霊王達がそれぞれ反応した。
濃い人……だと?確かに自分、キャラ濃いッスけど。いや、鯉人かもしれない。いやいや、自分魚人じゃないし。他に何があったっけ?故意、乞い、請い、古井……………
混乱して、完全にから回る思考。ラヴィ君が自分の服の裾をクイクイしたッスよ。
「その、違うのか?僕とデートも……き、キスも(ほっぺだけど)しただろう?リンカは僕の…恋人だろう?」
「恋人です!恋人ですとも!(いつから付き合ってたのかわかんないッスけど!)誰が何と言おうと恋人ッス!!」
「……うん」
いやあああ!カメラぁぁ!カメラが欲しいッス!!はにかむラヴィ君でらかわゆす!!
「……待て。お前は、凛花の業…いや、本性(腐女子)を知っているのか?」
「ぐふっ!?」
知りませんよ!知らないほうが絶対にいいと思うッス!
「知らない…知らない、が…リンカは罪を重ねた僕を許してくれた。僕も、どんなリンカでも受け入れたい」
「ラヴィ君………!」
「…いつまでそんな事を言ってられるかな?これを読め!凛花はこれを愛している!」
「そ、それは……!!」
『さぶソングは永遠に』
それは、かつての自分の聖書…
女子を腐女子に転職させる腐りの書…
愛しさと切なさとエロさが素晴らしい、自分を腐らせ…いや、今の自分へと覚醒させた導きの書…そう、腐導書…
さりげなく新刊が混ざっている!そんな場合ではないが…読みてぇぇ!!
そして、ラヴィ君と自分は『さぶソングは永遠に』を全巻読破した。どうでもいいが、ラヴィ君は日本語もわかることが判明した。
そして、奇跡が起きた。
ラヴィ君は泣いていた。うんうん、この話は泣けるんスよ。
「なんで男同士の恋愛なのかわからんが……話は面白かった」
ラヴィ君の心に『さぶソングは永遠に』が響いたのである!スゴいぜ聖書!!まさしくミラクル!!
「………なんでそうなる!」
「……?」
「ラヴィ君、自分の世界では、こういう本を好む女子は基本嫌がられるんスよ」
「…別に個人の趣味だろう。何か迷惑をかけるわけでも…」
そこで何かに気がついたラヴィ君は王様を見た。王様は涙目でしたッス。
「………迷惑をかけるわけでもないだろう」
あ、なかった事にしたッスね。若干お顔がひきつってるッスよ。お察しのとおりッス。
「……お前は、自分と他の男がヤってるのを妄想されてもいいのか?」
「……………するのか?」
流石に困惑したご様子のラヴィ君。確認してきたッス。
「………………………たまに」
「……せめて、僕とリンカぐらいにしといてくれ」
「は、はいッス…」
いやいや、うん?それもどうなんスか!?そんなん想像したら、ラヴィ君と話せないッスよ!!い、いやあああああん!!でも正直、ありッスね!!
「ち、ちくしょおおお!!」
天ちゃんは泣きながら帰っていきました。
「…天ちゃん、何がしたかったんすかね?」
『にっっぶい!!』
「へ?」
全員から鈍いとのツッコミが………じ、自分そんなに鈍くないッスよ!た、多分!
ウルファネア編はもう少し続きます。
天ちゃんが『さぶソングは永遠に』を持ってたのは凛花が好きな本だから。新刊もわざわざ買ってあげたらしいです。なにげに勇者(笑)
天ちゃんの敗因は、本のチョイスがライトだった事な気がします。あと、ラヴィ君は異世界の民だから、まだキチンと腐女子を理解してません。




