凛花さんとウルファネア
まだまだ凛花視点です。
今日はお休み。何をしようかな。庭園で日なたぼっこしてもいいし、町に行ってショッピングもいいッスよね。あ、ウサメガネ大先生の聖書を読み返すのもいいなぁ。
「やあ、リンカ」
「こんにちは、ジューダス様」
ぼんやり今日の予定について考えていたら、ジューダス様に声をかけられた。ついラヴィ君を探してしまう。最近のラヴィ君は日替りで動物や精霊から体を借りている。ラヴィ君はジューダス様の後ろにいた。思わず嬉しくて笑顔になってしまうッス。
「リンカ、今日は休みにするんだったな」
「はいッス」
「…悪いが、仕事を手伝わないか?リンカは計算が得意だったよな」
「いいッスよー」
珍しいラヴィ君からのお願いに快諾したッス。どうせ暇だし~と軽く考えていたッスよ。
「…………本当か?」
「ふぇ?」
「本当に、いいのか?手伝ってくれるのか!?」
「は、はいッス…」
普段と違いめっちゃ食いつくジューダス様を見て、自分はこの時、早まったかもと若干後悔したッス。
「うおぉ…」
絞り出すようなうおぉが出たッスよ。
「仕事をためすぎッス!明らかに、この人数でさばける量じゃないッスよ!!」
書類が部屋いっぱいだったッスよ。ちょっとサボったとかいうレベルじゃねえッスよ!
「…王が…ためててな……」
確かジュティエス様ことジェス様がぐったりしている。
「で、肝心要の王様は?」
『逃げた』
皆様、ぐったりしているッスよ…捕まえたいが書類を放置するわけにもいかず、騎士に捕獲は任せて仕事をしていたらしいッス。ジューダス様達は休憩で出てきて自分を捕まえたらしいッスね。捕まえたって…いや、自分ちゃんと働くッスよ?
「先ずは仕分けッスね。他に任せられそうな奴は他に任すッスよ」
期限が近いもの、急ぎじゃないもの…………仕分けてて思ったッスが……
「字が汚いし、違う部署のがやたら混じってるッスよ…」
「主!届けてきたぞ!」
「あ、ありがとうッス」
手が足りなすぎて、ついには精霊王達はおろか神様まで使ってしまったッス。現在机には天ちゃん、みっさん、コンちゃん、かっちゃんがいらしてます。かっちゃんは河童で勝野カツオと名乗ってるッス。コンちゃんは稲荷狐太郎。精霊王達は書類を運搬したり仕分けを手伝ってくれてるッス。
「…終わりが見えてきた…」
「奇跡だ……」
「もう少し、だな」
お疲れなジューダス様、ジェス様、ラヴィ君。しかし、元凶はなんもしてないのが腹立たしい。
「自分、王様捕まえてくるッス。この残りぐらいは処理させたいッス」
「…父は異常にすばしっこいし、捕まえるのは難しいぞ?」
「大丈夫ッスよ。つーさんが追跡できるらしいッス。王様に使われたことがあるそうッス」
「ああ…」
なんか、ジューダス様とジェス様がどんよりした。ラヴィ君は遠い目をしている。近衛騎士さん達が『ぱんちらが汚された』とか言ってるのはなんでッスかね?
「つーさん、行くッスよ!」
そして、王様をアッサリ捕縛したッス
自分の天啓・究極罠師が役に立ったッスよ。位置をつーさんで探知して、進行予測地点に罠を仕掛けるという簡単なお仕事ッス。
「王様、ちゃんとお仕事するッスよ!」
「だが断る!」
「くっ…なんという潔い返事!」
正直嫌いじゃないッスけど、ジューダス様達困ってるッス!どうしたら言うことを聞いてくれるッスかね?拷問は嫌だし……説得は無理そうッス。あ、そうだ!
「言うことを聞いてくれないなら………御法度な世界にご招待しちゃうッスよ!」
「な、何を……」
「つーさん、ヤるッスよ!」
「い、いやああああああ!?」
そして、執務室に帰還した自分と王様。
「ジューダス、ジュティエス…すまなかった。わしは真面目に仕事をする。もうサボらぬ!2度とサボらぬ!」
「…リンカ」
「はいッス」
「…………何をした」
「…趣味と実益を兼ねたお仕置きを少々……」
きっと、彼らは本当に何をした!?と聞きたかっただろう。しかし……
「頼む。わしの名誉のためにも聞かんでくれ……」
王様の尻尾が股に挟まりぴるぴるしていた。ちょっとやり過ぎたッスかね?
「凛花…」
「あはははは、新しい扉を開いちゃったかな?」
「……………(合掌)」
「………御愁傷様だね」
わけがわからないウルファネア・精霊王組とは反対に、理由をだいたいわかってしまった日本の神様達は微妙そうッス。唯一コンちゃんだけは爆笑してるッスけどね。
王様は、その後真面目に働くようになったッス。
「り、リンカ様!働いてます!働いてますから!」
ただ、自分を見るとお尻を隠すのはやめてほしいッス。
長くなりそうなので切ります。ウルファネア編はもう1話続きます。




