シヴァ○○計画
まずはセインティア神官へ地図の印があった場所を重点的に布教へ行くようお願いしました。地道な策だが、効果はあると思われる。
今回、貴族や国家レベルでの効果は期待していたが、あまりこう…学のない人に伝わるかは不安だった。微妙に伝わらなかった結果が今である。予想外すぎる伝わり方でした。
その対策として考案したのが……………
「おやあ、働きもんだねぇ、シヴァ様は」
「シヴァヴァヴァ!」
ひたすら地面を耕すシヴァゴーレム。たまに電車の動きをするのは何故だろうか。サイズは普通の人間ぐらいである。
小さな村に祠をつくり、そこにシヴァ地蔵を設置。お願いするとお手伝いをしてくれるわけです。
これぞ、シヴァ地蔵計画!!
盗難防止のため、設定地点を出ると活動を停止して救難信号を発信します。また、無茶なお願いすると救難信号を発信します。
過疎化が進んだ田舎の村で重宝され、着実に正しいシヴァ像を示す優れもの!
本来はそんな得もしないのに祈らないだろうと映像の効果がなかった時を想定して作成していたものです。しかし予想に反して皆さんは私の願い通りに得もしないのに素直に祈ってくれてました。正直、この世界の人々はピュアピュアでした。申し訳ないです。私は汚れた大人です。
「シヴァヴァヴァ!」
お前ら、私に敬礼すんな。ほら、なんか知らないけど村人に私が拝まれてるじゃないか!集まらなくてよろしい!
内心はシヴァゴーレムをしばきたいが、にっこり笑ってシヴァゴーレムをメンテナンスする。
しかし、何故か私に会うと敬礼するのと電車の動きだけはどうやっても直らない。シヴァの嫌がらせだろうか。天啓が呪われてないかしら。
さらに、インパクトを与えるために協力を依頼した。
「うわあ、山賊だぁ!」
「わはははははは!」
「だ、誰だ!?お前らは!?」
「誰だお前らと聞かれたら、答えてあげるが世の情け…シヴァボーイ1号!」
「…シヴァボーイ2号」
「シヴァボーイ3号!」
「シヴァシャドウ!」
「シヴァマスク!」
『勝利を我が手に!神に選ばれし使徒・シヴァレンジャーズ!!』
シヴァの覆面をした集団は1列に並び、上半身を円の動きで滑らかにスライドさせた。少しずつずらしているから全員顔が…というかシヴァ覆面が見えている。そしてよく見たら、指がそれぞれの並び順だ。
さらに同じ顔が並ぶのは、地味に怖い。山賊がすでに涙目でドン引きしている。私も地味にドン引きだ。
「さあ…断罪の時間だ。神の加護を受けし戦士、ナイト・シヴァー降臨!!」
「さらに増えた!」
「きゃああああ!ナイト・シヴァー様、ステキィィ!!」
私のテンションが急上昇した。外見はさておき、イケメンボイスのディルク様、サイコー!!
「…ああ、声援感謝する」
照れたらしい。マスクを剥ぎ取ってしまいたい!いつもより低めの声をごちそうさまです!
「いやあああ!ステキィィ!!むしろ私をさらっていって!」
「きゅーん…」
「お嬢様…」
「…嫌だけど頑張ったのに」
「…………じー」
「お姉ちゃん…僕らは?」
「あ」
私がナイト・シヴァー様にキャアキャアしているうちに、シヴァレンジャーズは山賊を捕縛してました。そして、シヴァの顔でじとーっと私を見ている。だいぶ怖い。
「し、シヴァレンジャーズ!!カッコいい!」
とりあえず納得してくれたらしく、捕縛した山賊を引き渡しに行ってくれた。
村人さん達がシヴァレンジャーズ達を………いや、私を拝んでいるのは気のせいだと思いたい。さっさと退散しようとしたら、山賊の残党を見つけたのでしばいて引きずって引き渡しました。
「ありがたや~」
「ロザリンド様はすげぇなぁ」
「んだんだ。あのシヴァ様を作っちまうし、さっきのシヴァれ?のボスなんだべ」
「美人だし強いしなぁ」
「んだんだ」
着実にシヴァの正しい姿は布教されていきました。しかし、私は知らなかった。その裏で、シヴァ様よりスゴいロザリンド様として崇められていたことを!どうりでやたら拝まれてるはずだよ!!
どうしてこうなった!?
 




