女神になんか絶対なりません。
さて、シヴァを白くして帰宅しました。今日は全力でディルクに甘えようと心に決めていました。
玄関でチャイムがなり、ディルクだと飛びついたのですが……
「ぐはっ!?」
ジェンドでした。しかも私の体当たり的抱擁でしりもちをついています。
「……なに、してるの?」
そして、ジェンドの背後にマイダーリン。明らかに失敗しました。殺気でジェンドがガクブルです。
考えろ!考えるんだ、ロザリンド!!さもないと、確実にジェンドがブラッディーフェスティバルですよ!!
「ディルクと間違えて、体当たり並みのおかえりギューをしてしまいました。以後気をつけます。というわけで、おかえりなさい、ディルク」
状況を説明し、まるで抱っこを求める幼子のように両手をディルクへ伸ばしました。
「……ただいま、ロザリンド」
ひょい、と私を抱き上げて…ええ!?む、胸にスリスリしまくって……
「くんくんくん」
いや、匂いを嗅がれている!!
「きゃあああああ!?」
一瞬ジェンドに助けを求めようとしたが、成仏しろよなジェスチャーされた。うん…そうだね。下手に庇ったら…ジェンドが死ぬよね。お姉ちゃん、ジェンドのブラッディーフェスティバルを回避するために自力でなんとかするよ。
「ディルク…恥ずかしい」
マジで羞恥プレイですよ。勘弁してください。ディルクの頭をてしてしする。いや…ちょ!?甘噛みしてません!?
「ジェンド、悪いけど待ってて。マーキングしてくる」
ディルクはさっさと私を寝室へ連行し…久々のマーキングをされました。いや、うん。他の男の匂いがするのがやなんですね。私はもうヘロヘロです。終わったら応接室に行きました。
応接室で待っていたジェンドは真っ赤になって目を逸らす。とんだ羞恥プレイですよ!私も涙目です!匂いでナニしたか、バレバレですよね!
「待たせたね。で、用事は?」
とりあえず機嫌がなおったらしいディルクがジェンドに聞いた。
「ロザリンドから依頼を受けてたんだ。その結果報告に来た」
ジェンドは地図を机の上に置いた。地図を確認すると、何やら×がたくさん…なんか辺鄙な村ばっかだね。
「さすが、仕事が早いね。この地図は?」
ジェンドはしばらく下を向いてから、言った。
「その×がついてる村は、ロザリンドをシヴァ神と勘違いして信仰しているんだ」
にゃ ん で す と ?
「なんでだああああ!?」
「!?」
私の大絶叫に驚いて、ディルクの耳と尻尾がピーンとなった。ジェンドは予測してたらしく、耳を塞いでいた。
「あの映像通信のせいみたいだよ」
「え?」
「言いまわしが貴族的で難しかったし、ロザリンドは神様みたいに綺麗だから……シヴァ神=ロザリンドだと勘違いされたみたいだよ」
「ロザリンドは綺麗だからなぁ」
「そんな……私の美しさが原因だと言うの!?」
「…………それも一因かなぁ。あと、立体映像の通信魔法なんて田舎じゃ…いや、こっちでも見られないから勘違いされても仕方ないと思うよ」
ボケを真面目に返されました。え?私の美しさが神クラスだと冗談をかましているのに、誰もつっこまない…だと!?ボケが流れっぱなしですよ!
いやいや、そこはどうでもいいよ!本気でどうでもいいよ!!
「どうやら、第2作戦を発動させる時が来たようですね」
私の本気を見せてやるわ!ついでにシヴァも元通りにしてやる!!
「協力してね、二人も」
「「はい」」
あっれー?なんで二人して尻尾が股に挟まってるのかな?おっかしいなぁ…私、笑ってるのに。
ぜーったい!女神になんかなりません!!私はディルクのお嫁さんなんだからね!!




