そして頭を抱える女神(笑)様
ディルクと休憩をしていたら、彼方さんから通信が入った。彼方さんからの通信がきたら、なんとなく…きっと来る的ホラーミュージックが鳴るようを設定してしまったのだ。
「なんか恐ろしげな音楽だね…出ないの?」
「…出たくないの」
しかし出ないわけにもいかないので仕方なく出ることにした。ストレス緩和のためにさりげなくディルクのお膝に座る。はにかみながら私を撫でるディルク。天国はここにありました!和んだところで魔具を起動した。
「…彼方さん、あれから何かありました?」
「………あった」
ですよねー。心当たりがありすぎるわ。
「…………嫌な予感しかしないんですが」
「………筋肉は、なおった」
「よかったですね」
「ああ、おおきに」
そう……筋肉『は』なおっただろう。原因は排除した。しかし、新たな問題が発生したのだろう。アルディン様の魔力を使ったら、白を通りすぎてゴールデンシャイニング☆シヴァにクラスチェンジしてしまったのだ。
でも、ドリル(縦ロール)は直ったからよしとした。あまりいろいろ混ぜたら悪化するかもしんないし、いいことにした。諦めたともいう。
しかし、彼方さんは私が考えていたのとはまったく別のことを言った。
「ロザリンドちゃん、まつ毛長いつり目美人、ナイスバディ、紫の瞳で連想するもんは何?」
「はい?」
何それ、なぞなぞ?
「ロザリンドちゃん、まつ毛長くてつり目やんな」
「はい」
「ナイスバディやんな?」
「……はい。ディルクに育てていただきました」
胸のクッションは自慢の逸品ですよ。よく育ちました。ディルクが真っ赤になってます。わざと胸を押し付けたら、アワアワしてます。可愛いんだから!
「…ディルク君ロリコン疑惑はスルーするとして、ロザリンドちゃんの目の色、紫やったよな?」
「ディルクはロリコンじゃないですよ。私にしか反応しないだけで…そうですね。紫の瞳です」
ディルクが泣きそうでしたが、私のフォローに必死で頷いてました。可愛い。
「「………………」」
沈黙が落ちた。さっきから嫌な予感しかしないんですが?
「筋肉は直ったけど、シヴァがロザリンドちゃんに似てきた」
「なんでそうなった!?」
思わず全力で叫んでしまい、ディルクの耳がビックリしてピンとなった。
「いや、こっちが聞きたいわ!心当たり、ないんか!?」
「ありません!」
「言い切った!!」
あったらなんとかしてるよ!つうか、予想外すぎるわぁぁ!!とりあえず深呼吸して心を落ち着かせた。
「……とりあえずそちらについてはまだ捜査中ですから、原因がわかり次第どうにかします」
もちつけ、もちつけ…ロザリンド…ぺったんぺったん…………ダメだ!なんでもちついた!?
「お願いします。あとな、シヴァ……髪がキラキラしとんのやけど。黄金色でまばゆい………「ワガママ言うんじゃありません!!」」
思わず逆ギレしてしまいました。やっぱりゴールデンシャイニングのままだったか!そして今頃それ言うか!?
「えええええ!?」
「ドリルは直ったでしょ!」
「いやまあ………うん」
「私も失敗した感は否めなかったけど、白い魔力の持ち主なんて輝きの白アルディン様しか思いつかない!」
ついに崩れ落ちた私に、ディルクがオロオロしている。地味に萌える。
「いや、輝きが余計な結果があれや。賢者は?なんや白いゆうてたやろ?」
「あ」
そういや居たわ。賢者は魔力も確か白かったわ。というわけで、賢者のお家に行くことに。ディルクはお仕事に行きました。
「おや、ロザリンドちゃんじゃないか。いらっしゃい」
今日も爽やかなイケメン…ではなくマダムな奥方様。
「ロザリンドちゃん、いらっしゃい」
4歳のサリーダ君もお出迎えしてくれました。さりげなく手を取り応接室に案内してくれた。更に椅子を引いて座らせてくれるなんて、完璧なエスコート………待て!天才か!末恐ろしすぎる!!つーか、奥方様と瓜二つだな!
「偉いぞ、サリーダ。女の子には優しくするんだぞ」
「はーい」
サリーダ君、素直で可愛い。
「おりこうさんなので、お菓子をあげましょう」
「わーい!」
非常食のチョコチップクッキーをあげました。うん、こうしてみると普通に子供らしいね。奥方様にはパウンドケーキを出しました。
「気を使わせてすまないな」
優雅にお茶をいれてくれる奥方様。
「いえ、奥方様にはいつもお世話になってますし…ご注文の品です」
「ふふ…期待しているよ」
「あと3~4ヶ月で臨月なんだから、無茶はしたらダメですよ」
「ふふ…適度な運動は安産に必要だよ」
色気たっぷりに言われました。うーむ、こうして見ると美女にしか見えない。カッコいい美女…憧れますね。
「ところで賢者は?」
「寝てるよ」
「おとうさんはひろうこんぱいなんです」
ひろうこんぱい…脳ミソコネコネ狐灰留ーではなく、疲労困憊?
「……もしや、あれですか?」
「…うむ、いい夜だった」
よく見たら奥方様がツヤツヤしてました。羨ましい。
「実は賢者に用がありまして……」
ここに来た理由を告げると、奥方様は頷いた。
「ダーリンは体力が尽きてるだけだから、魔力は大丈夫だろう。サリーダ、お客様を頼んだよ」
「はぁい」
にぱっと笑うサリーダ君は少しだけ賢者に似てました。
「えっと…ロザリンドちゃんはびじんだね」
…………ん?
「ありがとう?」
「まるでほうせきみたいにキラキラしてて「サリーダ君ストップ。なんのお話かな?」」
「おきゃくさまのおあいて。お母さまがいうとみんなよろこぶから、ロザリンドちゃんもよろこぶかなって」
奥方様!息子さんがタラシにならんか超心配だよ!!今からならたぶんまだ間に合うから、軌道修正してください!
「…いや、普通に遊ぼっか!」
「あそぶ?」
二人だと……あ、そうだ!
「わああ…!」
室内をゆったりと飛ぶミニ飛行魔具。動力は魔石です。うちわであおぐと軌道を変え、ふわふわと飛んでいます。
サリーダ君も飛行魔具をあおいだり追いかけたりと楽しそう。
「大丈夫だから!寝こんでたのがバレたら、あの馬鹿弟子のことだから馬鹿にされるし深読みする!」
「そうかい?しかし事実だから仕方ないだろう」
「…………ハニーが体力ありすぎるからだよ。僕は普通…よりちょっと体力ないぐらいだからね!」
奥方様とやいやい話ながら賢者が来ました。話が丸聞こえだったというべきかしら…………あれ?
私は無言で賢者に鏡を差し出した。
「…鏡?…………!?なにこれ!?」
「愛の証だな!」
「つけすぎ!見えるとこはやめてっていってるじゃないか!!」
賢者の首はキスマークだらけでした。よく見ると足がプルプルしているし、昨夜は激しかったらしいですね。
賢者は涙目です。本当にリアクションが面白い。奥方様も楽しげにニヤニヤしてます。
「お父さま、お病気?」
「いいや、母様の愛の証だよ」
「間違ってないけど、変なこと教えないで!」
賢者が泣いた。かわいそうだから消してあげました。先程また新作納品したから今夜は眠れないに違いない。
「これはサービスです」
栄養剤と回復薬をそっと渡しました。
「……破廉恥弟子」
「いや、今のあんたの方が破廉恥だよ」
キスマークだらけだった男にはさすがに破廉恥とか言われたくありません。
「う、うるさい!さてはまた変なもん持ってきたな!?」
「いいえ、注文の品をお届けしただけです」
「うむ。それに何だかんだで毎回ダーリンも悦んで「ストップ!子供の前だから!!」」
これ以上子供に聞かせたくはないからか、賢者が話題を変えました。
「何に使うわけ?僕の魔力なんて」
魔力電池を返却された。百聞は一見にしかず。私の魔力を例の魔具を使って賢者に流した。
「神様がこうなりました」
賢者は見事なドリルを装備しました。
「なんじゃこりゃああ!?」
「副作用で髪の毛に変化が出るんですよ。大概は色なんですが、私のは何故かドリルになるんです」
「面白いな」
ちなみに奥方様の魔力は青でした。なんでわかったかって?賢者が実験体になったからです。
ついでに奥方様が賢者の魔力で白くなったりしました。これならシヴァも髪の毛は元に戻るはず!というわけで賢者の家からセインティアに行き、賢者の魔力を使いました。
シヴァの髪の毛は元に戻りました。しかし、問題はまだ残っています。早めになんとかします。セインティアで会ったシヴァは本当に私に似ていました。
マジで、どうしてこうなった!?




