やっぱり困っているけど幸せな人
膝に末っ子シュクルがのっかりゴロゴロいっている。右に次女、左に長男、背中に長女。やはりゴロゴロいっている。子供達は何故か俺によくなついており、家でくつろいでるといつの間にかこのように集結している。
あかん、俺幸せやわ。
そしてまったりしていたらシュシュが来た。
「こら!カトリーナ、シュレク、カナリィ、シュクル!お父様に母様が甘えられないでしょ!」
ちなみに上から長女、長男、次女、次男の名前だ。密かに日本人顔な長女に『この顔にカトリーナは微妙だよなぁ』と思っているのは内緒である。長女よ、なんかすまん。父さん地味顔ですまん。
「早い者勝ちなのです」
「なのです!」
「じゅんばんばん~」
「にゅう…(うとうと)」
あかん、俺幸せやわ。俺を取り合う嫁と子供が可愛すぎる。結局次女も膝にのせて空いた部分にシュシュが来ました。完璧や!いやもう、本気で幸せやわ。
そんな幸せな現実逃避をしていましたが、やはり言うべきだろうと妻子を昼寝させてから通信魔具を手に取った。
「…彼方さん、あれから何かありました?」
「………あった」
「…………嫌な予感しかしないんですが」
「………筋肉は、なおった」
「よかったですね」
「ああ、おおきに」
そう……筋肉『は』なおった。しかし、新たな問題が発生したのだ。
昨夜、またシヴァが来た。筋肉はなくなり、ひょろっとというか………シヴァ、女になってないか?いや、女っちゅーか…
「………むっちゃ似とるよな?」
「………そうね」
「そうだな」
「…………(こくり)」
回想終了。勇気をもって言わねばならん。他の神達も似とるゆうてたから間違いない。
「ロザリンドちゃん、まつ毛長いつり目美人、ナイスバディ、紫の瞳で連想するもんは何?」
「はい?」
「ロザリンドちゃん、まつ毛長くてつり目やんな」
「はい」
「ナイスバディやんな?」
「……はい。ディルクに育てていただきました」
「…ディルク君ロリコン疑惑はスルーするとして、ロザリンドちゃんの目の色、紫やったよな?」
「ディルクはロリコンじゃないですよ。私にしか反応しないだけで…そうですね。紫の瞳です」
「「………………」」
沈黙が落ちた。
「筋肉は直ったけど、シヴァがロザリンドちゃんに似てきた」
「なんでそうなった!?」
「いや、こっちが聞きたいわ!心当たり、ないんか!?」
「ありません!」
「言い切った!!」
「……とりあえずそちらについてはまだ捜査中ですから、原因がわかり次第どうにかします」
「お願いします。あとな、シヴァ……髪がキラキラしとんのやけど。黄金色でまばゆい………「ワガママ言うんじゃありません!!」」
「えええええ!?」
いや、ワガママっつーか報告やろが!
「ドリルは直ったでしょ!」
「いやまあ………うん」
「私も失敗した感は否めなかったけど、白い魔力の持ち主なんて輝きの白様しか思いつかない!」
「いや、輝きが余計な結果があれや。賢者は?なんや白いゆうてたやろ?」
「あ」
忘れてたようです。そこはすぐに解決したらしく、シヴァの髪だけはその日に戻りました。
「カナタ様!大変です!来てくださぁぁい!!」
「アンドレ!?」
慌てて駆け出した。声の方向からして皆が昼寝していた部屋だ!!
「シュシュ!カトリーナ、シュレク、カナリィ、シュクル!!」
慌てて部屋に駆け込んだ。
「おとーさまぁぁ!」
「ふみゅーん!みゅーん!」
「おとーたまぁ!」
「とーたまぁ!」
「カナタ!?どこだ!?」
寝起きが悪い妻&子供達が大合唱である。そして、アンドレが盛大に絡まれて……いや、子供達に噛まれている。
「あいたたた!噛まないでください!カナタ様、助けてぇ!!」
「噛んだらあかん!お父様が来たで!遊んだるからやめなさい!」
『はぁい』
「ダメだ!」
俺に駆け寄る我が子達。しかし、シュシュが待ったをかけた。
「カナタは…お父様はお母様と仲良くするからダメだ!」
「お母様、ずるい!」
「おーぼー!」
「じゅんばんばん!」
「とーたまぁぁ」
「………大変ですね、カナタ様」
アンドレは俺の肩に手を置いてから逃げた。
「…………皆で一緒に遊んだらええやんか」
この後、拗ねたシュシュを宥めるのが大変でしたが、俺は今日も幸せです。
結局ボールを俺が投げる➡とってくるという遊びを全員とやった結果、翌日肩が痛くなりました。しかしボールを追いかけ転げ回る我が子と、ボールを追っかけたくてウズウズしてるシュシュが可愛かったので後悔はない!!
シヴァのロザリンドちゃん化は気になるものの、ヴォイド家は今日も平和です。




