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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・日常からのド修羅場編

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帰ってきても修羅場だった。いや、こっちの方がヤバかった。

 篤君が正気に返る前にと、慌ただしく自宅に帰還しました。後は天ちゃんに頑張っていただこう。病み属性をどうにかしたから多分どうにかなるだろう。

 転移先は見慣れた我が家でした。見慣れた我が家の中に、見覚えのないオブジェがありました。いや、違う!オブジェじゃない!





 それは、足を縛られ逆さ吊りにされたポッポちゃん(白タイツマッチョ姿)だった。




「「ポッポちゃあああん!?」」






 帰ってきても火サスぅぅ!?いや、ホラーか!?怖いわ!誰!?ポッポちゃんを吊るしたの、誰!?


「ポッポちゃん!誰がこんな酷いことをしたッスか!?」


 まだ魔法少女…いや、魔法勇者姿な凛花が周囲を警戒する。


 ひたり…たしーん。


 ひたり…たしーん。


 静かな怒りを感じさせる……最近聞いたばっかの音がするよ!?


「「…………」」


 ひたり、たしーん。


 ひたり、たしーん。


 物音は少しずつ、しかし、確実に近づいてくる。


「こ、怖いッス!」


「…うう…ええい、女は度胸ぅぅ!?」


 勇気を出して物音を確かめようとしたら、けたたましいコール音が鳴った。


「「うきゃああああ!?」」


 ビックリして抱き合う私と凛花。な、なんだ…通信魔具じゃないかビビらせないでよと通話しようとした。しかしその瞬間にリビングのドアが豪快に吹き飛び、黒い影が、室内に乱入してきた。


「「ひいやああああ!?」」


 そして抱きしめていた凛花から引き剥がされ、視界が真っ黒になる。


「ロザリンド、ロザリンドぉぉ……ふうぅ………えぐ…」


 ディルクが泣いてます。そういや、いきなり失踪したみたいなもんだしね!必死に慰めます。よしよししてあげます。


「ディルク、泣かないで!大丈夫だよ、ロザリンドだよ!ちゃんと帰ってきたよ!急にいなくなってごめん!」


 ディルクは尻尾を絡ませ無言でスリスリしています。ショックがでかかったようですね…うん、可愛い。悲しませた罪悪感はあるけど、私にスリスリするディルク、可愛すぎる!

 凛花は苦笑しつつ鳴り続ける通信魔具を起動した。


「あ、えと、こちら凛花ッス」


「ロザリンドは!?」


「あ、無事戻って今家ッス。お騒がせして申し訳ないッスよ」


 通話相手は兄でした。しかし、切ったらすぐまた鳴る通信魔具。


「はい、こちら凛花ッス」


「リンカ嬢か!ロザリンド嬢は!?無事なのか!?」


「無事戻って今家ッス。お騒がせして申し訳ないッスよ」


 今度はアルフィージ様でした。




 そして、またすぐに鳴る通信魔具。え?ホラーですか?いや、違うな。







「…ディルクさん?一体あと誰に連絡したのかな?」


「に、にゃーん」


 子猫姿になって挙動不審になるディルクさん。まさか……まさか……


「緊急一斉通信…………しちゃった…………ロザリンド、いなくて、匂いも気配も消えて……結ばれてから大体の位置がわかるようになってたのに、存在が消えたみたいでどこにも……ポッポちゃんはわけがわからないし…」


 ポロポロと涙をこぼすディルクを…この世界(かわいい)至宝(あんちくしょう)を誰が叱れるというのだ!私には無理だ!!可愛がるしかできぬ!!私はディルクにゃんこを抱きしめた。あああああ可愛い!幸せ!何をやらかしても許しますよ!可愛さは正義です!!


「……仕方ないッスよ。地道に連絡するよりは一斉にした方が………きゃああ!?」


 地面が揺れた。地震!?外に出たら、空が鉛色だわ火山が噴火しそうだわ……なんつーかえらいこっちゃだね!


「なんスか!?天変地異ッスか!?何が起きたッスか!?」


 凛花をいきなり黒色に似た色が包んだ。


「リンカ!」


「ラヴィ君!?な、なんで泣いて…!?」


「いきなり消えたから、死んだかと………リンカ…リンカ…」


「ラヴィ君…」


 ほほえましい二人を眺めて現実から逃げたいけどさぁ、あの空とかさぁ、多分うちの精霊さん達のせいな気がするんだぁ。魔力が我が家のかわいこちゃん達の気配なんだよね。

 私、うっかり誘拐されたらダメなんだね。篤君を放置してきてよかった。





 あともう1時間遅かったら、世界が滅んでたんじゃね?






 ちなみに日本とこっちでの時間にはズレがなかった。

後で聞いたら、時間軸は大体同じだが、シヴァ達が適当だから召喚なんかは時間が結構ずれたりするらしい。逆に天ちゃん達日本の神様達はその辺きっちりしてるそうな。

 年単位でずれてたら……と思ったらゾッとしました。私のせいで滅亡とか洒落にならん!!



 そして、後始末に暫くは奔走しましたよ…一斉通信で通じるひとには謝罪。すでにクリスティア、ウルファネア、セインティアで大規模な捜索隊が結成されかけており、ヤバかった!


 ミルフィはもちろん、意外にカーティスまで本気で心配してくれてて、嬉しいような申し訳ないような……


 そして、急に気配が消失してパニックになった我が家のかわいこちゃんこと精霊さん達と魔獣さん達を宥めるのが大変でした。


「………ディルク、なんか幸せな気がします」


「……ロザリンドは愛されてるからね」


 膝にディルクと泣き疲れて寝ているアリサ、クーリン、コウ、スイ、ハル、チタ。背中に聖獣様。右にまだ泣いてるハク。左にまだ泣いてる闇様。正面で喜びのダンスを披露するゴラちゃん。そして周囲をかこむ魔獣さん達とサボテン達。


 さらにはディルクが半狂乱だったらしく、連絡はもらったが心配だったからと皆が来てくれました。いやもう、心配かけて本当にごめんなさい!



 追記・ポッポちゃんは自分で自分を吊るしていたことが発覚。こと姉ちゃんによくされていたお仕置きだったそうで、うまく説明できなかった上に世界が滅びそうでテンパったらしいです。落ち着け。そもそもポッポちゃんがきちんと説明してたらここまでの騒ぎには多分ならなかった。多分。

 ちなみに呼びかけにこたえなかったのは、意識だけ神様のとこに行ってたから。神様達もパニックになってたらしい。落ち着け。 でも、なんかごめん!もう絶対に誘拐なんかされないからね!

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