お見舞いと仮説
私が動けないと聞いて、凛花がお見舞いに来てくれました。しかし、病気じゃないんだよ。理由は言いたくないんだよ。
「大丈夫っスか?」
凛花は真剣に心配してくれているようだ。言いたくない。言いたくはないが仕方ない。
「…大丈夫。ディルクが色々と激しかっただけだから」
「……………ちょ!そんな赤裸々なご夫婦の夜の生活について聞きたくないっスよ!刺激が強すぎッス!」
「いや、私だって話したくないわ!凛花が泣きそうな顔をするからでしょ!ロザリンドは超健康優良児だから持病はない!」
「…あ、凛姉ちゃんの事があったから……なら良かったッス」
ようやく安心したらしく、凛花はへらりと笑った。
「で、本題なんスけど。精霊王が揃ったんで、エクストラダンジョンの封印は解除可能ッス!」
「………へ?光と闇は?」
あれ、そういや精霊王って光と闇は見たことないな。いないの?
「光と闇の精霊王は、魔力が強いから世界のバランスを崩さないよう大半の魔力を封印して世界を支えてるッス。だからラスダンの封印は今加護をくれてる精霊王達の力だけで大丈夫ッス」
「そっか…………ん?」
何か違和感を感じた。なんだろう。
「で、こっからが本題ッス。ロザリンドちゃんが寝こんでくれて逆に好都合だったッスよ」
「え?」
「これはあくまでも、自分の仮説なんスけど………」
凛花は語り始めた。シヴァが作った全てのゲームをほぼコンプリートしたヘビーユーザーの凛花しか知り得ない事から彼女が導きだした結論。
「シヴァ…いえ、神々は疲弊しているんじゃないッスかね?その不足を、恐らく光と闇の精霊王が補ってるッスよ」
「………へ?」
「ロザリアちゃんの天啓を聞いたとき…違和感があったッスよ。近い未来ならさておき、ここ最近は未来予測が難しいんスよね?」
私は頷いた。近い未来の予測はできるが、もうこの数年後の予測ができない。
「多分あれは神様達の記憶を覗き見ていたんじゃないッスかね」
「は?」
「多分ッスけど、ロザリアちゃんの天啓は未来に関しての神様達との記憶共有だったんじゃないかと思うッス。それを未来予測と勘違いした結果、天啓がそっち方面に変異した…と考えてるッス」
「……なるほど」
もはや呪詛のように体験し続けたロザリアの人生。あれは全て本当にあった?ならば体感がリアルだったのも頷ける。
「……答え合わせをしよう。ポッポちゃん!」
「くるっぽー。リンカ様は初めましてですね。召喚の場にはおりましたが、改めてご挨拶させていただきます。私はポッポちゃん。神と勇者様を繋ぐ使者でございます。ポッポちゃんと呼んでくだされば、どこであろうと馳せ参じます」
「……………変態?」
ポッポちゃんは、鳩フルフェイスのゴリマッチョスタイルで来てしまった。相変わらず白の全身タイツである。
「……いや、今度はシヴァに何を吹き込まれたわけ?」
「いえ、腐女子であるとうかがいまして、こういった姿を好まれるかと………」
ガチで返答に困りました。ツッコミも出来ないぐらいに固まりました。
「…ポッポちゃん」
「はい」
「いいッスか?腐の道は1日にして成らずッス!自分的にその格好はありッスけど、恥じらいとエロさが足らねぇっスよ!」
「何を語ってんだ、アホ娘ぇぇ!!」
私のシャイニングウィザードが炸裂した。
「大変だ!凛花、ちょっと来て……………何これ!?どーなって…………あああもう!いいから来い!!凛姉ちゃんも!!」
「「は?」」
いきなり空間の裂け目的なとこから現れた天ちゃん(普通の人間スタイル)に連れ去られてしまいました。
急展開すぎてついていけないんですけどぉ!?
ちょっと中途半端ですが、今日はここまでです。
また少し、お話が動いてきたのにロザリンドのせいかシリアス先輩の出番がありません。




