ウルファネアといえば
まっさんとお茶をして、また町を歩いたッス。中央広場にどでかい像…あれ?なんかこれ見おぼえが……
「すごいだろう?肉の聖女・ロザリンド様の像だよ!」
「「………………」」
まっさんと自分は像を見た。どう見てもヴァルキリーッスよね。ロザリンドちゃんのヴァルキリーッスよね?
「あれはヴァルキリーだと思うッスよ…肉の聖女ってなんスか?」
「ああ!ロザリンド様は魔物の大群からウルファネアの民を守り、肉祭りで民を飢えから救った功績を讃えられ、肉の聖女やら女神やらとして崇められているんだよ。ロザリンド様のお守りはどうだい?御利益は食うに困らないらしいよ」
おじさんは自分にお守りを渡した。ヴァルキリーが薔薇をくわえていたり、リボンつけて可愛くなってたり、やたらキラキラしてたり…ネタアイテムとしか言いようがないッス。
でも、御利益が食うに困らないってのはロザリンドちゃんぽいッス(笑)
「とりあえず、これ全部くださいッス」
面白いからロザリンドちゃんへのお土産にしよう。迷わず全種類購入したッス。
「まいどあり!」
「ところで、あれは本物のロザリンドちゃんではないと思うッス」
「お!お嬢さん事情通だね!ロザリンド様ブロマイドはどうだい?基本的に取引禁止になってるから、滅多に手に入らないよ」
「肖像権の侵害ッス!」
「しょーぞーけん?」
異世界には肖像権が無かったらしいッス。後でロザリンドちゃんに報告しよう。ブロマイドは最近のやつもあったッス。報告したらディルクさんへのお土産にしよう。迷わず全種類購入したッス。
「筋肉肉肉ロッザリンドォ!!」
「肉肉筋肉!ロッザリンドォ!!」
謎の白マント集団がロザリンドと叫びながら行進しているッス。そういやランクアップした時もいたッスね。しかし、人数があの時よりも多い。多すぎる。
まっさんが自分の前に出た。いやん…守ってくれてるッスか?まっさんマジイケメンッス。
「筋肉ムキムキ!ディルク様!!」
「ハッスルマッスル!ディルク様!!」
そして反対側からはディルクさんを叫ぶ黒マントハッスルマッスル…筋肉ムキムキ集団が来たッス。バートン夫妻はウルファネアでどういう扱いなんスかねぇ…自分もまっさんも遠い目ッスよ。
あれ?まっさん、白目むいてない?
「最強はロザリンド様だあああああ!!」
「いや、最強はディルク様だあああああ!!」
いや、どーでもいいッスよ。
「なんスか、あれ」
「ああ、なんか最近ロザリンド様とディルク様のファンがどっちが強いかでもめてんだよ。迷惑だよなぁ」
「…はぁ」
本当にバートン夫妻はウルファネアでどういう立ち位置なんスかね。ぼんやりと眺めていたら、言い合うオッサン達の近くにいた子供たちが巻き込まれそうになったッス。
「つーさん!」
「!!」
自分はつーさんで子供達に結界をはり、まっさんがオッサン達をぶっ飛ばした。
「ゴルアアアア!!小さい子が怪我したらどうするんスか!法外な治療費請求するッスよ!争って勝つッスよ!!」
「うるせえな、小娘が!」
「やんのかゴルァ!!」
「つーさん!言ってわかんないやつは武力行使ッスよ!!」
そして、そこからは一方的な暴力だったッス。つーさんをマシンガンにチェンジしたんスが、自分ガンシューティングが超得意だから面白いぐらい当たる上に魔力弾だから威力調節可能というチート仕様。またたく間にオッサン達は撃沈したッスよ。
「いいッスか?ロザリンドちゃんとディルクさんのどっちが強いかなんて瑣末なことッスよ!自分がいいと思うものを優位にするために他者を貶める根性や、そのために無関係な人間に怪我させそうになった自分を恥じるべきッス!むしろあんたらの迷惑な行いがロザリンドちゃんとディルクさんを貶めてるッス!!反省しろ!!」
オッサン達はしょんぼりしたッス。やめるッス。耳と尻尾をシュンとさせてキューンとか言うな。なんか悪いことした気になるじゃないッスか!とりあえずわかっていただけたようで何よりッス。
さて、自分はまっさんとデートの続きッスよ。さっさと立ち去ろうとしたら、引き止められたッス。
「…お待ちください!あなた様のお名前は?」
「名乗るほどのもので「ロザリンド=ローゼンベルク様の弟子!魔法勇者☆リリカルリンカー様!!そう、神に認められし勇者!リリカルリンカー様だ!!」」
「ほぎゃあああああ!?」
見知らぬオッサンがどや顔で自分の返事に被せてきやがったッス!何故その名を!?よく見たら、あの時酒場にいた冒険者ッスよ。!余計なことを!!
「リンカー様万歳!!」
「ロザリンド様のお弟子様万歳!!」
「リンカーさまぁぁぁ!!」
「はわわわわわわわ…」
やべぇッス!ハッスルなマッスルに囲まれてしまったッスよ!!悪気がないから攻撃もできず涙目でオロオロする自分を、誰かが引き寄せた。
「逃げるぞ」
「ふぇ?」
視界が黒のような複雑な色に包まれ…一瞬で別の場所に移動した。周囲に人はおらず、どこかの丘の上…大木が1本立っている。
「…まっさん?」
「困っているようだったから助けたつもりだが、戻るか?」
「いやいやいや、ありがとうございますッス!」
「そうか。あまり無茶はするなよ。驚いた」
そういや、まっさんの前でマシンガンぶっぱなすわ、オッサンどもを叱るわで、引かれたかな……仕方なかったとはいえ、シュンとしてしまう。
「はいッス」
「怒ったわけじゃない。お前が怪我をしたら悲しい」
「………は、はい……」
優しい瞳で苦笑するまっさん…キュン死ぬのでやめて欲しいッス。死因は心破裂ッスよ。キュンキュンし過ぎて!!しかも優しく頭をナデナデされて…ご褒美ありがとうございます!!
とりあえず、もう少し見て回りたいとお互い思ったのでここで休憩してからさっきとは離れた場所でまたショッピングを楽しむことにしたッス。
もうすぐ400話ですなぁ………作者多忙なんで、また記念SS選択肢式にするつもりです。詳細は活動報告をご覧ください。




