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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・氷王子と白兎と厳つい鰐編

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鰐さん達の受難

 今回もゲータ視点です。

 とりあえず、ラビーシャは平民のまま嫁ぐということで話はまとまった。婚約の御披露目はいつにするか、結婚のタイミングなど他人事としてなんとなく聞いていた。


「そうだわ!ついでだからゲータさんとアルディン様のお嫁さんを見つけたらどうかしら!」


「バフォ!?」

「えふ!?」


 側妃様による予想外の攻撃に、飲んでた紅茶を吹いた。侍従がサッと拭いてくれた。おいこら、お前笑ってただろ。いい紅茶だったのに、もったいな…流石は王族の侍従。素早く新しい紅茶を出してくれた。


「アルディン様はともかく、俺のように面が凶悪でゴツくてでかくて金も地位も無い男に嫁ぐ女がかわいそうですよ」


「あら?貴方、意外に人気あるのよ」


「…………は?」


 側妃様はニヤニヤしている。ラビーシャがそっと目をそらした。おい、お前何かしやがったな!?嫌な予感しかしねぇ!!


「とにかく、これは決定事項ですからね!」


「は、母上!」


「いいんじゃない?面白そう」


 涙目でアルディン様が正妃様に訴えたが、駄目だった。くそう、ラビーシャの御披露目も含めて厄介な気配しかしねぇ。


「ついでにルー様にも良さげな令嬢をお願いいたします」


 とりあえず、犠牲者を増やしてアルディン様の負担を分散させてやることにした。俺は大丈夫だろう。






 そして、御披露目&お見合いパーティ当日。


「「帰りたい…」」


 テンション最低の俺とルー様。ルー様は礼服を着こなし、アルディン様にも劣らぬ美形ぶりである。


「まあ、兄様もいい機会じゃない」


 他人事のロザリンドお嬢様。明らかに面白がっている。お嬢様も当然ラビーシャの御披露目に参加する予定だ。着飾ったお嬢様はそれはもう中身はともかく完璧に美しい。


「ロザリンドは令嬢の怖さを知らないんだよ!僕は行きたくない!ロザリンドはディルクがいるからいいよね!」


「うん。結婚いいですよ~、結婚。幸せですよ」


「ロザリンド…」


 ディルク様も礼服を着ている。とても似合っているので誉めたら、お嬢様がデザインした品だったらしく、とても喜ばれた。俺?俺も参加するので不本意ながら礼服を着ている。お嬢様にヤのつく自由業かまふぃあみたいだと言われた。なんとなくだが、カタギに見えねぇと言われている気がした。自分でもそう思う。前髪を上げたから、余計目つきが悪いのが目立つしなぁ……


 馬車の中には俺、ルー様、ロザリンドお嬢様、ディルク様。お嬢様はディルク様の膝にのりイチャイチャしている。実に通常運転である。本来なら俺は御者席だが、ルー様から、服が汚れたらどうするのという真っ当なご指摘により馬車の中にいることになった。


「…ルー様、そんな飢えたご令嬢の群れにアルディン様を単騎特攻させるんですか?」


 ラビーシャの話を俺に伝えなかった意趣返しではもちろんあるが、ルー様を巻き込んだのはアルディン様が哀れだったからもある。


「兄様~」


「ルー」


「………………わかったよ!仕方ない…でも疲れたら撤退するからね!」


 ルー様はお嬢様にもアルディン様にも、ついでに俺やディルク様なんかの身内に甘い。結局は折れてくれた。








 付き添いとしては何度も来た王城のパーティだが、参加者としては初めてだ。なんだか見慣れたはずのモノが新鮮に見えた。

 うちのお嬢様はさっさとミルフィリア様達を見つけてディルク様も混ざり談笑している。


 そしてルー様は、飢えたご令嬢を適当にさばいていた。スゲェなぁ。


「ルーベルト様、是非我が家にいらしてくださいね」


「申し訳ございません…研究が多忙でして、今日も大事な従者の妹君の晴れ舞台だからと無理矢理時間を作ったのです。心苦しいのですが……」


 ルー様、演技力スゲーわ。普段の素なルー様ばっかり見てるから、とてつもない違和感を感じる。


 そしてアルディン様………ああ…飢えたご令嬢をさばけてない。つーか、セクハラされてないか?


「ルー様…」


 目線でアルディン様をさす。頷いてくれた。


「行って」


「かしこまりました」


 ご令嬢の垣根をアッサリとかき分け、アルディン様の元へたどり着く。セールのオバチャン達に比べれば、ご令嬢なんてあいてにならない。むしろ転ばせない注意が必要だ。アルディン様をヒョイと抱き上げ肩車をする。


「すいませんね、お嬢様がた。我が主がアルディン様とお話ししたいそうなのです。お借りします」


 口調だけは丁寧に、しかしさっさと撤退した。


「きゃああああああ!!」

「見まして!?」

「やはりアルディン様が受けですわね!」


 何故かアルディン様を奪われたのに盛り上がるご令嬢達。そして、鳥肌がたったのは何故だろうか。


「うわぁ…高いな!」


 アルディン様は無邪気に肩車を楽しんでいる。よかったな。


「…楽しいか」


「ああ!ゲータは昔、俺にも肩車をしてくれたな!」


「あ?そんなこと…あったな。ジェンドのダチだっつーからその辺のガキかと思ったら、王子様だもんなぁ」


 ガハハ、と笑う。アルディン様はモジモジしていた。トイレか?


「ゲータは兄上の義理の兄上になるんだよな」


「そうだな」


「なら、俺の義兄上にもなるのか?」


「……さあ?まあ、いいじゃねーか。今も昔もお前は弟みてーなモンだ」


「そうか!」


 アルディン様は嬉しそうだ。まあ、身分があるからいつもというわけにはいかないが、公の場でなければいいだろう。


「あの……」


 声をかけられたので足を止めた。


「あ?」


 ふり向けば、大人しそうな令嬢達が数人いた。


「あ、あの…ちょっとでいいんです!お話ししていただけませんか!?」


「…どうする?」


「俺はかまわないが」


 アルディン様と話したいということだろう。とりあえずアルディン様を休憩用のソファに下ろした。


「あの…お好きな食べ物はなんですか?」


「以前に助けていただいたのです。覚えてらっしゃいますか?」


「すごい筋肉…ジュルリ」


 何かがおかしい。何故か令嬢達は俺にやたらと話しかけてくる。つーか、最後のやつはなんだか俺の腕を揉んでいるのだが、何がしたいんだ?


「やあ、ずいぶんモテモテだね」


 混乱していると、ニヤニヤしているルー様が現れた。


「いや、俺みたいなのが珍しいだけだろう」


「違いますわ!」


「そうですわ!私達は以前にゲータ様に助けていただいたり、ウサメガネ先生の小説のモデルであるゲータ様に憧れたのですわ」


『我々は、ゲータ様を愛でる会!!』









 なにそれ。










 とりあえず色々とツッコミたいが、頭が働かない。なにそれ。


「………ぶふへへへ…やば…面白い…」


 ルー様、美男子がしたらいけない笑い方になってんぞ。


「よかったな」


 いや、いいかはよくわかんねぇよ、アルディン様。とりあえず、気が遠くなった。意味がわからない。こんな凶悪面を愛でる会とか、何がしたいんだ………




 頭が痛くなってきた。なんとなくだが、ウサメガネはラビーシャじゃないかなと思った。あいつ、何してやがるんだ!?

 長くなりそうなので、今日はここまでです。案外隠れファンがいたゲータさんでした。

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