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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・氷王子と白兎と厳つい鰐編

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作戦を考えよう

 今回は私、凛花、ディルク、カーティス、アルフィージ様、ラビーシャちゃん、ミルフィ、シーダ君という編成です。戦うのは水の精霊王。


「ゲームだと気にならなかったッスけど、フィールドが問題ッスよね」


 正直私も水の精霊王がどうのより、四方を水で囲まれての戦闘の方が厄介だと思っている。


「だからこそ、この編成なんだけどねぇ。私のクーリンは水の精霊王と同等な魔力(ちから)があるし…」


「…!!なるほどッス!」


 凛花も作戦を理解したらしい。うむ、無駄に頭いいだけのことはあるね。






 深い水底の海底神殿、でかい美女と対峙する。


「待っていましたよ。では、試練を開始する!」


「クーリン、アルフィージ様、ミルフィ!渦を!!」


「へ!?」


 あれ?凛花は私が考えていたのとは違う作戦を考えていたようでビックリしていた。しかし、途中でやめるわけには行かない。渦により中心部…つまり海底神殿周囲の水が完全になくなった。


「えええええ…は、派手ッスね…と、とにかくやるッスよ!疾く、律令のごとく、せよ!!」


 凛花の札から地属性の術……これは………


「きゃあああああああ!?」


 水の精霊王は急激に隆起した地面により、見えなくなった。


「い、いやああああ!?怖い!く、崩れる!崩れるぅぅ!!せめて水を戻して!いや、降参するから許してぇぇ!!」


 あれは怖い。自分が立つギリギリしか地面がなく、見上げてもでっかい精霊王が見えないレベルの高さである。私たちのせいで周囲に水もないから、落ちたら大惨事になること間違いない。


「酷いわぁ」

「酷いね」

「酷いな」

「酷いですね」

「酷いですわ」

「酷ぇな」

「ギャハハハハハハ!あれ放置したら落ちるんじゃね?」


 私、ディルク、アルフィージ様、ラビーシャちゃん、ミルフィ、シーダ君、カーティスの順に発言しました。カーティス以外は酷いの一言である。


「…………やりすぎたッス」


 沈痛な表情の凛花さん。どうやら力みすぎたようです。魔力コントロールはまだまだ修練の必要があるようですね。

 五行相克に基づいて、土の術を使ったらしいが…攻撃として発動せず地面が隆起してしまったのは、本人が無意識に水上まで地面をもっていけば有利なのではないかと考えたためらしい。

 しかし、全く精霊王が見えないため憶測だが…水上どころか高過ぎる気がする。なんの罰ゲームかしら。しかも急ごしらえだから…微妙に崩れ始めてて超怖い。水の精霊王、かわいそう。


 話は変わるが、さりげなくアルフィージ様がラビーシャちゃんの腰を抱いている。私の視線に気がついて、慌てて離れようとしたラビーシャちゃん。しかし思い直したらしく、アルフィージ様にすり寄った。おお!頑張れ!ラビーシャちゃん!


「………ラビーシャ嬢?」


 アルフィージ様は嬉しそうだ。ラビーシャちゃんは嫌がって顔を見せたがらない。


「…ラビーシャ」


「ぴゅいっ!?」


 兎耳は敏感です。可愛い声に反応した周囲の視線に晒され、ラビーシャちゃんは羞恥でお耳がぴるぴるしています。可愛いな!

 シーダ君はミルフィに目隠ししています。可愛い婚約者(ミルフィ)には有害だと判断したらしいです。確かに……アルフィージ様フェロモンが半端ない…あれ?ラビーシャちゃん、もしかしたら……


「…ロザリンド嬢」


「はい」


「私は急用を思い出した」


「…はい」


「ラビーシャ嬢を借りてもいいだろうか」


「はい」


「!?お嬢様!?勝手に貸し出ししないでくださいよ!」


 慌てて口をはさむラビーシャちゃん。


「だって、今日は私のために1日空けてあるでしょ?」


「う」


 さらに私は、ラビーシャちゃんにコッソリ耳打ちした。


「しかも、アルフィージ様の匂いにやられてるんでしょ。アルフィージ様がラビーシャちゃんのつがいなんだね」


「ななななななななんでそれを!?いつ!?いつ気がついたんですか!?なんで気がついたんですか、お嬢様ぁぁ!?」


「気がついたのはさっき。なんでかは…実体験かなぁ。フェロモン酔いしてるディルクみたいだった」


「な、なら!私をアルフィージ様に差し出さないでくださいよぅ!」


「えー?対処法をアルフィージ様に教えとくから、せっかくだし話でもしてきなよ。明日からはまた留学先で過ごすんだし」


「う……」


「アルフィージ様」


「なんだい?」


「おめでとうございます。アルフィージ様はラビーシャちゃんのつがい「何をばらしてるんですかああ!?」」


「…つがい?」


「ああああああああ!」


 アルフィージ様は首をかしげる。ラビーシャちゃんはオロオロしている。アルフィージ様はオロオロするラビーシャちゃんを抱きしめてよしよしした。固まるラビーシャちゃん。


「うう……いい匂い……」


 うっとりするラビーシャちゃん。間違いなくフェロモン酔いだなぁ。


「…つまり、私はラビーシャ嬢に発情されて「きゃああああああ!?オブラート!オブラートを要求します!」」


 ラビーシャちゃんは全力でアルフィージ様の口を塞いだ。しかし、アルフィージ様はあっさりとその手を外す。


「…ふむ。そうか…私が強引に迫りすぎて嫌いになったわけではないんだね?」


「うっ…………あ、アルフィージ様を嫌いになんて…なってません。ただ、最近はその…匂いで酔ってしまうので避けてましたけど…」


 目をそらして恥じらいながら告げるラビーシャちゃん。なるほど。つがいだと認識したのは最近で、急に避けられたからアルフィージ様も相談してきたわけか。


「そうか」


「!?んー!んー!」


 アルフィージ様はいきなりラビーシャちゃんにディープなキスをやらかした。


「ふにゃああ……あれ?」


「…確かに効果があるようだな」


 ラビーシャちゃんの魔力が安定したのが私にもわかった。


「キスは魔力交換に効果的ですけどアルフィージ様なら触るだけでいけたのでは?むしろ、そういうのは二人きりでしてくださいよ」


「私はロザリンド嬢ほど魔力を与えるのに慣れてない。こんなに可愛いラビーシャ嬢に二人きりでキスなんてしたら、押し倒して襲う自信がある」


「そうですか…なら仕方ないですね!」


 私はアルフィージ様にグッと親指をたてた。


「ぴゅいっ!?お嬢様、諦めないでください」


「ラビーシャちゃんは嫌なの?」


「い………嫌だったら殴ってます」


「なら、いいんじゃない?」


「いや、恥じらいは持て。公衆の面前でなにしてんだよ」


 シーダ君から至極まともなツッコミが来ました。


「私だって普段ならしない。だが、この1ヶ月ひたすらに逃げられ続け…そのくせチラチラ様子をうかがっている可愛い兎。それが私に発情していたのだと知ったら…食うだろう。むしろ味見程度でよく自制できたと思う」


「アルフィージ様、肉食」


「むしろ清々しさを感じさせる肉食ッス」


「あ、あわわわわわわ」


 なんだか感心してしまった凛花と私。シーダ君は固まっている。ラビーシャちゃんがアワアワしている。ディルクは苦笑。カーティスは爆笑。そんな中、天使が降臨した。


「アルフィージ様、ラビーシャちゃんは私の大切なお友達なのです。食べないでくださいまし!」


『……………………』


 涙目でラビーシャちゃんを抱きしめ、必死に懇願する天使(ミルフィ)


「ミルフィ、可愛い!マジ天使!!」


「きゃあ!?」


 ミルフィに勢いよく抱きつく私。


「可憐ッス!純粋ッス!腐って穢れた我が身が浄化されるッス!」


「きゃああ!?胸はやめて!?シーダ君!助けてぇ!」


 抱きつき、ついでにミルフィの乳を触る凛花。セクハラです。シーダ君にしばかれてました。ざまぁ。


「俺のミルフィリアになにすんだよ!」


「すんませんッス。可愛かったし、立派だったのでつい……」


 土下座する凛花。確かにミルフィの胸は現在Cと思われ、成長途中である。ミルフィが許してあげてと必死に止めるので、シーダ君もしぶしぶ許してあげてました。


「ミルフィリア嬢、食べるというのは比喩だ。本当に食べたりはしない。ラビーシャ嬢と結婚したいという意味だ」


「まあ…」


 一応フォローを入れたアルフィージ様に明らかにホッとした様子のミルフィ。


「では、たまにシーダ君が食べてしまいたいとおっしゃっているのもそういう意味ですのね?」


「………概ねあっているのではないかな」


「うん…そういう意味だよ。よかったねぇ、ミルフィ」


「はい!」


 幸せそうなミルフィ、マジ天使。そして、シーダ君が丸まじろです。


「ああああああああ」


「…若い獣人にはよくあるよ。相談ならいつでものるからね。無邪気な可愛い婚約者(つがい)を持つと幸せだけど辛いよね」


 ディルクが慰めてました。


「いいかげん助けてぇぇ!!」


『あ』


 水の精霊王は、ようやく救助されました。拗ねてしまっていて、機嫌をなおしていただくために歌うはめになりました。


 と、とにかく!水の精霊王、ゲットだぜ!!


 追伸・ラビーシャちゃんはテイクアウトされました。今度その後について聞き出すつもりです。



 精霊王が不憫な今日この頃。どうしてこうなった……


 できれば今日中に活動報告にディルクのイメージイラストをのっけるかもしれません。

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