実話と小説
凛花とクリスティアに戻り、他メンバーと合流しました。
「お嬢様、なんで私なんですか?」
まあ、そうだろうね。ラビーシャちゃんは正直、どちらかといえば戦闘向きじゃない。
「…他の戦闘向きなメンバーには、手加減という単語がない輩も多くて…正直凛花の訓練にならないからです。凛花には最高難度の未踏破ダンジョン攻略を同行してもらわねばならないんです」
「あ、納得しました」
勿論アルフィージ様の恋愛へ協力という意図もあるが、ラビーシャちゃんは常に視野が広く支援型戦闘員としては非常に優秀である。凛花のサポートとして相性がいいだろうと考えての編成だ。
「おはよう、ラビーシャ嬢」
「おはようございます、アルフィージ様。今回も参加だなんて暇なんですか?」
「いんや?アルフィージ超頑張って時間もがっ!?」
「裏事情をばらしたらダメッスよ!カーたんハウス!」
「…カーティス、ばらすな!!」
カーティスは凛花に口を塞がれ、アルフィージ様にしばかれた。見事なコンビネーション。まぁ、カーティスもこの二人だからやられてあげたんだろうけどね。
「…冗談です。ずいぶん仲がよろしいんですね」
ブリザードが発生しました。ラビーシャちゃん…目が笑ってないよ!
「ウサメガネ先生!自分まっさんにプロポーズしたッス!」
「………はい?」
凛花はアホだが空気は読める。ラビーシャちゃんの嫉妬を感じて誤解だと必死に伝えた。そして、必死過ぎた結果……
「アルフィージ様はウサメガネ先生と違って恋愛的な意味で好きじゃないッス!友情的な意味でなら好きッス!」
「!?ちょっと、リンカちゃん、来て!!」
ラビーシャちゃんが凛花を抱えて走り去りました。正しく脱兎のごとく…私も慌てて追いかけます。
探すことしばし。
普段のラビーシャちゃんならばすぐ私に気がつくはずですが、必死だったためか気がつきませんでした。
「な、なんで私がアルフィージ様を……」
「え?ああ、小説ッスよ。あれ、モデルアルフィージ様とウサメガネ先生ッスよね」
「うきゃあああああ!?ななななななんでわかったの!?」
「いや、ウサメガネ先生が男になっただけッスし…なんとなーく、やたらリアルだからチラホラ実話なんじゃないかって気がして…」
「ううう……」
ラビーシャちゃんは真っ赤になって丸まった。
「小説って?」
「ひぃっ!?嫌ああぁ!まさかお嬢様…聞いて……」
「聞いてました。で、小説って?」
「ウサメガネ先生の新作で、恐らくこの世界初のBL小説ッスよ」
なんてこった
絶望し、私はその場で崩れ落ちた。いや、待て!まだ大丈夫か!?
「その小説って、まだ出回って…」
「あまりの傑作だったので、試作が社交界で回し読みされてるッス」
駄目だ!遅かった…!
「なんてこった!馬鹿!なんでよりによってBLをラビーシャちゃんに教えたのよ!」
「それは…自分、腐ってるッスから!」
「無い胸を張るな!知ってたよ!だからラビーシャちゃんに紹介しなかったのにぃぃ!」
「けどまあ、ウサメガネ先生のはライトBLだから、エロは少な目ッスよ。面白いからロザリンドちゃんも読むッスよ」
「くっ…」
「嫌ああぁ!読まないでください!」
凛花に渡された小説…これにラビーシャちゃんのアルフィージ様への想いが書かれている………読みたいが、抵抗がある。奪い取ろうとするラビーシャちゃんをかわし、とりあえず捕縛。色々考えた。葛藤した。
結局仕方なく読んだ。
「…これ、スゴいわ」
「でしょ?」
「普通に面白かった…」
何故だろう。敗北感はんぱないわぁ……
「でしょ?」
「本当に氷王子様が好きなんだね…白兎ちゃんは」
「そうっすね、愛に溢れたお話ッス」
「「………………」」
ちなみに、ラビーシャちゃんは死んでいる。死因は恥ずか死ですね、わかります。
「「で、どこまでが実話なの?」」
「嫌ああぁ!黙秘!黙秘します!!弁護士を呼んでぇぇ!!」
ラビーシャちゃんは混乱している。ちなみにアルフィージ様の前で臨場感たっぷりな朗読を私がするのとどこまでが実話か語るの、どちらにするか聞きました。
「喜んで教えます!!」
結局、9割実話でした。
アルフィージ様……攻めたんだね。壁ドンからの顎クイやら、耳元で囁きやら……やるなぁ!とりあえずアルフィージ様には、こうかはばつぐんだ!けしからん、もっとやれ!と伝えることにしました。
酔勢 倒録様からまたファンアートをいただきまして、活動報告に上げました。
ロザリンドが超可愛いです。興味のある方はぜひ見に来てください。




