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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・おいでませヒロインさん編

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お祝いと変化

 とりあえず冒険者ギルドにたどり着くと、既に皆さんお待ちかねというか……


「お嬢様…タスケテー」


 アークがすでに完成した酔っぱらい(ギルドマスター)と泣き上戸なシェリさんに盛大に絡まれていた。

 というか、ガタイのいいおっさん(ギルマス)と美女に抱きつかれてるとか、どうなの?


「あ~く~、俺のさけがのめねぇってのかぁ?」


「アーク…うわーん!どうして付き合ってくれないのぉぉ!?」


 カオスである。アークも悪気がないであろう酔っぱらい達を物理でどうにかしたくないらしく、困惑しているようだ。


「ギルマスはどうにかしてもいいけど…シェリさんは自力で頑張れ!」


「いや、シェリをどうにかしてくださいよ!!最悪こいつは殴りゃいいんだから!!」


「いや、私、シェリさん推しだから」


「は?」


「ロザリンドちゃん…私を応援してくれるの?」


 呆然とするアーク。

 目を輝かせるシェリさん。


「はい。シェリさんは容姿、中身、能力…どれをとっても私の兄のようなアークに申し分ない逸材です!応援します!もうアークをお持ち帰り「待て待て待て!!俺は酔った女をつまみ食いしたりしな…じゃなく!シェリにこんなおっさんつり合わないだろ!」」


「アークはかなりお買い得ですよ?」


「お買い得って…」


「公爵家に仕えてて高給取り」


「……まあ、そこは否定しない」


「酒もギャンブルも嗜む程度しかしない」


「…小心者だからな。特にギャンブルはそれで奴隷落ちまでして人生狂わせたやつ知ってるし」


「女癖も悪くない。惚れたら一途」


「…お嬢様、なんでそんなこと知ってんの!?」


「マーサとマーニャ情報」


「あいつら…とにかく年が離れすぎてるだろ!こんな美人で可愛くて人当たりよくていい娘、俺にはもったいない!!」


「なんで!?こんなに好きなのにぃぃ!新人時代からすきだったのにぃぃ!!うわぁぁぁん!!」


 ギルマスも泣き出すシェリさんに酔いがさめたらしく、ジト目でアークに呟いた。


「うちの職員泣かすなよ」


「す、好きで泣かせたわけじゃ…」


 アークもすがりつくシェリさんにきつく当たることはできないようだ。


「アーク」


「なんすか」


「愛があれば年の差なんて…うちのディルクはロリコンという言いがかりにも負けず私と結婚しましたよ!」


「うう………」


「アークさん!お願いします!付き合ってください!!」


「……………はぁ…俺、休みほとんどねぇし、面白い話とかできねぇぞ」


「いいんです!無理はしなくても!」


「……わかったよ」


 アークが折れた。


「やったあ!!」


「カップル成立!じゃあ二人は抜けていいから!」


「え!?お嬢様達のお祝いは!?俺なんで呼ばれたわけ!?」


「いいからいいから」


 後に凛花にオバさんオーラはんぱなかったッスと言われてショックを受け…ディルクに慰められてアッサリ復活しました。

 ちなみに私に追い出され、アークは結局しぶしぶ(と言いつつなんだかんだ嬉しそうだったが)酔ったシェリさんを送っていった。彼女は酔ってるんだから、他の男に抱きついたりしたらどーすんの?の一言であっさり陥落した。アーク、チョロい。


 ちなみに、シェリさんから誘惑されたため、おいしくいただいちゃったらしい。シェリさんから後でご報告いただきました。おめでとうございます。アーク、チョロい。



 アークが旅立った後、私は本気で調理に取りかかった。そう…千手モード(いや、千も無いけど気分だよ)発動である。


「キモイッス!なんかわさわさしてるッス!」


 凛花には不評だが、効率重視である。確かにわさわさしていて虫っぽ…………効率重視なのである!!


「きしょいッス!怖いッス!あだっ!?痛いッス!酷いッス!暴力反対ッス!」


 凛花があまりにうるさいので、叩きました。しかし、余計うるさいだけでした。


「ロザリンド、できたやつ運ぶね」


 そして、テキパキ働くディルク。あれ?祝われる側だよね?あ!またカーティスが鍋ごと…凛花も持っていった!仲いいな!!


「しかし、カーティスが他人に関わりたがるのは珍しいな」


 アルフィージ様も何故か芋の皮を剥いている。あれ?王子様??なぜナチュラルにお手伝いしてらっしゃるの?


「アルフィージ様、料理出来るんですか?」


「無理に決まっているだろう。しかし、手伝いぐらいならできる。討伐に行くときなんかはするようにしているからな。面白い話が聞けることもあるし、皆が何を考えているか…たまに同じ目線に立つのも悪くない」


「…そうですか」


 外見に変化はないけど、内面がアルフィージ様はとても変わった。ようやくお母様から愛されている実感を得て…………


「たまに散々私の悪口を言っていてな…査定が楽しみだなと騎士に告げるのも面白い」


「めっちゃ(タチ)が悪い!!」


 人間そう簡単には変わらないね!腹黒も健在でしたね!


「あはははは」


 でも作り笑いがなくなって、本当に楽しげなアルフィージ様を見るのは悪くない。性格が悪くても、本当の笑顔を見せられるとまぁいいかと許してしまう。


「…ええと、本当に減俸してるんですか?」


 おずおずとディルクが聞いてきた。心優しい彼は、元同僚を心配しているのだろう。


「いや?キチンと仕事をしていればしない。サボりの常習者にはしたことがあるな」


「……そうですか」


「近衛選考から外しはしたが」


「「…………」」


 気の毒だがそれはまぁ…仕方ないかなぁ…誰が聞いてるかわからないとこで主君の悪口を言うやつを花形で他国とも関わることもある近衛にしたくはないだろう。


「アルフィージ、丸くなったよなぁ。前ならもっといたぶって精神的に追いつめて遊んでたのに」


 鍋を空にしたカーティスがひょっこり会話に参加した。凛花が荷物みたくなってますよ?


「アルフィージ様、こわっ!」

「鬼畜ッス!!」


 ドン引きする私と凛花に、アルフィージ様は苦笑した。


「そんなこともあったかな?」


「アルフィージのっつーか、アルディンの悪口言ってたやつな」


「「それは仕方ないな」」


 私とアルフィージ様が声をハモらせた。


「ええ!?さっき自分とドン引きしてたじゃないッスか!?」


「あー、アルディン様じゃあ仕方ないか」


「ディルクさんまで!?」


「アルフィージ様はアルディン様を大好きで可愛くて仕方ないからね。私から見てもアルディン様は健気で真面目で可愛いもん」


「だろう?私の弟を悪し様に言うやつは滅ぼされても仕方ない」


「ですね!」


 意気投合する私たち。アルディン様は私たちが守ります!


「うっわ…ゲームの面影ゼロッスわ…けどまぁ、仲がいいのはいいことッスね」


 そういや、ゲームだとアルディン様は無能で高飛車なうえアルフィージ様にコンプレックスがあって、アルフィージ様ルートだとアルディン様は失脚させられる。そんな未来にならなくて良かったと改めて思うのでした。


 ちなみに、お祭り騒ぎしていた人たちにもお肉を配り、皆で楽しく過ごしました。



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