精霊王の試練
とりあえず、手始めに火の精霊王のとこに転移しました。
「ロザリンドちゃん」
「はい」
「いきなりボス戦は勘弁ッス!主に心の準備とか、心の準備とか、心の準備とかしたいッス!」
「いや、今日中に全部回ろうかと。心は今すぐ準備したら間に合うでしょ?」
「ハードスケジュールすぎるッスよ!!しかも無茶ぶりはんぱねぇッス!」
「あっはっはっは」
「では、試練を始めよう」
火の精霊王もさりげなく凛花をシカトしている。凛花はブチブチいいつつ身構えた。
ちなみにメンバーは私、ディルク、ジェラルディンさん、ジェンド、アルフィージ様、カーティスと凛花。
「くらえ!」
「甘い!サポートは任せろ!」
アルフィージ様が、精霊王の火炎魔法を無詠唱で無効化した。
「…あ、涼しいッス」
「アルシィア!」
「はぁい」
アルフィージ様の精霊・涼しげな美少女で水属性のアルシィアが、火の精霊王を一瞬で氷漬けにした。美少女強い!
「…………うわぁ」
精霊王、凍ったよ。これどーする…いや、まだだ!
凛花に結界をはり、全員に耐火障壁を展開した。
「ひいいいい……」
凛花はビビっている。精霊王が魔法生物をけしかけてきた。サラマンダーが多いが、このメンバーならば(凛花以外は)全く問題ない。
「ま、マジ怖いッス!死ぬッス!」
凛花は囲まれて涙目だ。結界があるとはいえ、いずれは壊れる。
『喚べ』
「い、いや、駄目ッスよ!危ないッス!」
『問題ない。喚べ』
「問題ありすぎ…な、なんかミリミリいってる…無茶は駄目ッス!わかった、喚ぶからやめるッスよ!」
凛花はナニかと話し、魔力を使い始めた。
「界を越え、我が声に応えよ!心優しき我が友、湊!!」
『グルアアアアアアア!!』
凛花のささやかな胸から龍が……出ました。あれです。蛇っぽい方。ドラゴンじゃないです。蛇っぽい龍は精霊王の魔法を全て封じ込めたあげくボコボコにしている。明らかなオーバーキルである。
「やり過ぎッス!みっさんストップ!ロープッス!やめるッス!!その人悪い人じゃないッス!」
うちの姪っ子は本当にやればできる子でした。鉛筆持った村人には、一瞬で勇者に変身してざっくり魔王…じゃなかった、精霊王を倒しちゃいました。しかも、龍はまだまだ殺る気です。
『しかし、凛花を怖がらせた。二度とせぬよう仕置きが必要だ』
「大丈夫!頼もしいみっさんのおかげでもう怖くないッス!あ、凛姉ちゃんッスよ!あっちに凛姉ちゃんがいるッス!会いたかったんでしょ!?」
『凛が?ふむ、確かに多少は変わったが…確かに凛だ。元気そうでなによりだ』
どうしよう。私、マジで龍の知り合いなんぞいないんだけど!?
「凛姉ちゃん、昔蛇助けたよね?」
「うん?」
「お隣の蛇飼ってる銀色美人がみっさんッスよ。ちなみに助けた蛇はあの辺りの土地神様なみっさんの眷属だったッス」
「………………………え?」
「あと、よく自分と遊んでた天ちゃんは天狗で、こまさんは狛犬ッスよ」
「…………………マジで!?私の身近に知らない世界が!?」
「みっさん、人間の姿になるッスよ。そしたら凛姉ちゃんもわかるはずッス」
『ふむ』
龍はあっという間に銀髪美人になり…その銀髪美人には確かに見覚えがあった。というか、死ぬまで住んでた部屋の隣人だった。
「ま、まさか稲荷さんも!?」
稲荷さんとは昔住んでた家の湊さんとは反対の隣人だった人である。凛花はコンちゃんとアダ名をつけていた。稲荷だからかと思っていたが、まさか……
「コンちゃんもッスよ。狐さんなんスよ」
「どうりで油揚げ好きなはずだわ…ま、まあ凛花も戦力になるみたいね」
「いや、自分はあんまし皆を喚びたくないッス。今回はみっさんが界の壁を壊してでも通ろうとしたから仕方なく喚んだッスけど、友達を危険なめにあわせたくないッス」
『凛花は弱い。心配だ』
「まあ、弱いッスけど…」
『お前が案じてくれるのは嬉しいが、我らもお前が心配だ。危なければ喚べ。無茶はしない。これでも神の端くれだ。そう簡単には死なぬ』
「…絶対に無茶はしない、いざとなったら見捨てると約束するなら」
『……………………善処する』
「それ、遠まわしに無理っていってるッスよね!?」
『凛花を見捨てるなどできない。なるべく無茶はしないと約束する』
「…………わかったッス。約束したッスよ」
凛花と湊さんは大分仲良しなようです。凛花に湊さんが龍だっていつから知ってたのかと聞いたら、かなり小さい頃からだったらしい。知らなかった。
「勇者リンカよ、貴女の力は見せてもらった。加護を授けよう」
「自分はなんもしてないッスよ!?」
やはり凛花の抗議をシカトして、火の精霊王は凛花に加護を与えた。
色々予定外だったけど、火の精霊王の加護、ゲットだぜ!!




