事件が私にもたらしたもの
とりあえず、ローゼンベルク邸で優姫とユーロさんを歓迎しようとしました。
「…………ロザリンド」
「なんでしょうか」
「…お屋敷が……でかすぎないか?」
「そうですか?(公爵邸宅としては)普通ですよ」
「……そうか」
そして、我が家自慢のお庭を案内中。
「…何故、魔物が走っているんだ?」
「遊びに来てるんです」
「…そうか」
サボテンが走るのどかな我が家のお庭です。うむ、今日もいい走りである。
「…何故野菜が走っているんだ!?」
「野菜は兄の研究成果……と、私の精霊、マンドラゴラのゴラちゃんです」
「……………そうか」
サボテンと野菜と野菜っぽいが多分毒なゴラちゃん。ゴラちゃん達はなんで走ってるんだろう。美味しい野菜にも運動が必要なのかしら(混乱中)
「ロザリンド、ドラゴンとバハムートだ!!」
「私の精霊だから大丈夫です。可愛いんですよ。おいで~」
コウとクーリンを呼んだら、魔獣さん達まで来ました。見覚えがある並び方ですね。
「ロザリンド、これは……」
「…私に撫でられたいという行列です」
「「………………」」
とりあえず、撫でました。もふもふに興味を示した優姫ですが、これまで何やら白目をむいてたユーロさんにすがられていました。
「ユーキ!尻尾好きにしていいから、他のやつを触んないで!」
あ、これ…うちでも似たようなことあったなぁ。今でも続いてるけど。
「…ユーロ、男に二言はないな?」
「わ、わん!無いよ!耐える!耐えてみせるよ!!」
優姫は上機嫌で話しかけてきた。
「案内途中ですまないが、どこか部屋を借りられるか?」
「それはかまわないけど…」
優姫は獣人にとって、尻尾が性感帯だと知っているのだろうか。なんというか…もふりたいだけで色気は感じられない。一応軽く教えるべきかな?
「何か問題が?」
「獣人の尻尾って性感帯だよ?昼間からいじる発言は大胆かな…」
二人がビシリと固まった。
「ユーロ」
「わ、わん」
「つまり俺はユーロの尻辺りを…いやむしろ尻を撫で回し…ユーロが途中でもぞもぞして逃げるのは………「き、キャイン!ダメ!ユーキは女の子なんだから!その、確かにその…反応したから処理してました!好きな子に触られたら仕方ないと思います!」」
「…で、どーする?」
「それ聞いちゃうの!?ロザリンドちゃんどS!?」
「いや、確認?それに、こういうのは教えてあげないと後で優姫が恥ずかしいよ?知らないで他人の尻尾を触っちゃう可能性もあるし。話し合った方がいいかなって思ったんだけど」
「うう……」
「ロザリンド、また明日来る。今日は宿に泊まる。ユーロ、話がある」
「きゅーん…わかった」
叱られると思っているのか、ユーロさんは耳も尻尾もしんなりしている。
翌日。昼前に優姫から『体調不良で今日は行けない。すまない』と日本語で書かれた手紙が届いた。手紙を届けに来たユーロさんはツヤッツヤで上機嫌でした。
「……昨夜はお楽しみだったようですね?」
「ぶほっ!?げほっ、げふっ!な、な……なんでわかる!?あんた人間だよな!?」
「…いや、女の勘です。あまり無理はさせないように。3日過ぎても『体調不良』なら、強制終了させますからね。優姫を害するものには容赦しないですよ」
「わ、わかった」
「とりあえず、ポーションと差し入れです。3日後にお待ちしています」
差し入れのおにぎり弁当
喜んでくれるといいなぁ。
「ところで、この屋敷貴族にしたってでかいよな?」
「まあ、公爵邸宅としては普通ですよ」
「こーしゃく…………公爵!?マジで!?俺不敬罪!?ハラキリ!?」
「別に公の場じゃないから大丈夫ですよ。ハラキリって…」
「たまにユーキが言ってる。ニホンの残酷な処刑方法?」
「……まあ、否定はしない。とにかく、ユーロさん達はあくまでも友人として招待されたわけですし、気にしないでください」
しかし、ハラキリについて否定はしないが正しくはない。というか、どうしたらそんな言葉が出てくるんだろうか。
「な、ならい……いのか?あと、庭にドラゴンやらサボテンやらが居るのは明らかに普通じゃないと思う」
「………うん」
知ってた。でも仕方ないんだよ!追い出す気もないし!
3日後に、優姫は来ましたが…ユーロさんに抱っこされてました。
「………立てないの?」
「…………………(こくり)」
「無理はさせるなって言っただろうがああ!!」
「キャイン!だ、だってユーキがあんな…むぐ!?」
優姫は真っ赤になって慌てて口を塞いだ。嫌がってはないようだ。仕方ない、お仕置はかんべんして…いや待てよ?まさか……
「………………まさか声もでないの?」
「…………………(こくり)」
「…馬鹿犬うう!」
「キャインキャイン!!」
とりあえず、ユーロさんはしばかれました。優姫は魔法で回復させて、久しぶりの炊きたてご飯を堪能していました。
「そういえば、他の贈り人にも送れば喜ぶんじゃないか?」
「ああ…」
そうかもしれない。それから優姫は魔力が高いし『これからやる事』への協力をお願いしました。
「かまわん。助けてもらった借りもあるしな」
優姫はあっさりと承諾した。さらに、なら他の魔力が高い贈り人にも米を対価に協力要請してはどうかと言われ、ものは試しとやってみました。
結果。
本気を出した日本の贈り人達はスゴかった。各国の王様を口説き落とし、異常なスピードで集まる情報とこと姉ちゃんの遺産。
予定日ギリギリかと思われた準備も、一ヶ月前に終わってしまった。
米…いや、米を欲する贈り人、すげぇ。
ちなみにどうでもいいですが、ユーロは狼の獣人ハーフ。獣性は薄いので、興奮すると耳がもふもふ狼耳になり、尻尾も出ます。
ロザリンド、思わぬ所で贈り人達と接点を持てました。皆様色々と優秀です。




