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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・勇者と宗教大国編

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教皇と神官達

 大半の神官を無力化した所で、ディルクと知らない男性と3人の教皇達が来ました。


「ロザリンド、何してるの!?」


「神の力を使った報復!」


「「………………」」


 ディルクは固まり、私はニッコリ笑って親指を立てた。


「ユーキ!ユーキユーキユーキ!!怪我はないか!?辛くないか!?寂しかったか!?大丈夫か!?」


「やかましい!」


 優姫の周りをぐるぐる回るワンコ……ではなく青年がユーロさんなのだろう。うるさくしすぎて即優姫にしばかれてしまった。獣人ハーフなのか、耳が変化しフサフサの尻尾が出てぱたぱたしている。


「よかった、ユーキは元気だ。…少し痩せたか?ユーキ、ユーキ…会いたかった……ユーキ…」


 優姫に甘えるユーロさん。体格差があるので、ユーロさんは優姫をすっぽり抱き締めてすりすりと頬ずりをする。


「……俺だって、会いたかった!バカ犬!さっさと助けに来いよ!ばかばかばか!ずっとずっと、待ってたんだからな!ぶじでよかった…!」


 優姫は安心したのか、ユーロさんを抱き返して泣き出した。ユーロさんは優姫の涙をペロペロと舐めた。


「ユーキ、ユーキごめんよ。ユーキ、大好きだ。………もう絶対に離れない」


 優姫は安心したのか、そのまま寝てしまった。ちょっとだけ和んだ。


 優姫は大丈夫だと判断して3人の教皇を見た。


「「「大変申し訳ありません!!」」」


 目があった途端に3人の教皇から見習いたいぐらい綺麗な土下座をいただきました。


「それは何に対しての謝罪ですか?私が貴殿方に要求するのは見届ける事です。どうすれば今回の事が防げたか、罰せられる者達を見ながら考えなさい」


 彼らは無言で罰せられる者達を眺めていた。助けを求める者、泣き叫ぶ者、教皇達に従ったまでだと他人のせいにする者、神に奉仕しているのだから何が悪いと開き直るもの…様々な者が居た。


 そんな中、走ってきたヒョロイ男。


「貴様…勇者とは名ばかりの悪魔め!私が成敗してくれる!」


 知の教皇は怒りに身を震わせる。目は血走り、憎悪を感じさせた。その手にあるモノは、私が探していたこと姉ちゃんの遺産だろう。強力な魔具にして刀。私の予測を肯定し、私がやりたいことに必要なモノだ。禍々しい魔力を纏い、教皇が私に斬りかかった。


 クラリンとサボ☆天使には目線で来ちゃダメと伝える。まあ、武器には警戒する必要があるが、この男程度の技量なら問題ないだろう。


 あと1歩で射程に入るという所で、知の教皇が私の視界から消えた。まさか転移!?私は体術がからきしだと思わせておいたから、正面から来ると思ってたのにと焦った。緊張し、気配を探る。





 知の教皇は地に伏していた。ちだけに。






 しかも足蹴にされていた。尻尾をビッタンビッタンさせたマイダーリンに。



 知の教皇は、私の射程手前でディルクに瞬殺されたらしい。なんだよ、緊張して損した。


「うちの妻にナニをしようとしたんですかねぇぇ?」


 マイダーリンが激怒しています。ディルクの怒りと殺気にあてられて呼吸困難な神官が居たので、ソッと避難させました。

 生尻ペンペンなうな神官も硬直または失神する威力です。


「お嬢様ぁぁ!!ディルク様を止めてください!」


 ラビーシャちゃんにガクガクされる。いや、うん。私も怖いから心の準備をさせてくれ。普段温厚な人ほどキレると怖いのだよ。


「…黙ってたらわからないだろうが!俺のロザリンドにナニをしようとしたかって聞いてんだよ!!」


「ぐふっ!」


 焦れたのか、ディルクは知の教皇を踏みつけた。あー、肋骨折れたな。殺さなかった辺り加減をする冷静さはあるようだ。

 しかしこの状況であんたの嫁を殺そうとしましたとは言えないだろうよ。言えたら強者かバカのどっちかだ。心をバッキバキに折られたらしく、知の教皇は怯えている。


 いや、こっわいわ。こんなガチギレしたディルク様初めて見たわ。しかし、頑張れロザリンド!今荒ぶる大魔獣人(ディルク)を止められるのは私だけだ!勇気を出せ!ガラスの仮面を被るのよ!そう!女優になるの!


「はい、遺産ゲットー」


 なるべく軽ーい口調で刀を拾った。さっさと刀を隠し持ってたポーチにしまい、ディルクに抱きつく。


「ディルク、ディルク!助けてくれてありがとう!やっぱりディルクはいつだって私を助けてくれるんだね!」


 チュッとキスをすると、ディルクが真っ赤になった。


「ちょっと、人前で…」


「はい、ディルクからもして?」


「……………ん」


 人前でとかなんとか言いつつも、乞われればキスをくれるディルクが大好きです!そしてすっかり怒りはおさまったようだ。よかった、よかった。


 さて、この人が首謀者で間違いないだろう。私は彼に真実を突きつけることにした。そして、さらに広範囲に浄化をかけ洗脳を解除し、拡声で全ての人間に声が届くようにした。


「…私は4柱の神より依頼を受けてこちらに参りました。貴殿方を断罪する為に」


「何故だ…げほっ……何故だ!?私は幼い頃からずっと誰よりも努力し、祈りも欠かしたことはない!ずっとずっと神官として生き、神の教えを広めてきた。私は何も間違ってなどいない!私は神からの贈り物を正しく使おうとしただけだ!!」


「…本当に?」


「は?」


「本当に、間違ってないですか?」


「私は、間違ってなどいない!ぐっ…」


 大声を出すと肋骨に響いて痛いんだな。治す気にならないから治さないけど。


「贈り人は贈り物じゃない。人間です。しかも、その意思を奪い、利用した。神に仕える神官よりも、悪魔みたいですね」


「しかもお布施やら荒稼ぎしたお金、美術品とかに使ってますよねー」


 ラビーシャちゃんの指摘に、他の神官達がざわついた。3人の教皇達も真っ青である。


「でたらめだ!」


「ちゃんと貴方の部屋から帳簿を持ってきましたよ。セインティア内部にはなかなか入れなかったので、先に商人達から情報を仕入れてあります。間違いありません」


「う、嘘をつくな!悪魔め!」


 周囲は冷たい視線を知の教皇に向けていた。どちらが正しいかは明白だろう。


「とりあえず、貴方には贈り人の精神的・肉体的な苦痛をダイジェストで体感していただきましょうか」


「や、やめろおお!!」


 知の教皇は眠りについた。3人の教皇は操られていたが、特に魔術の教皇は暗示が薄く多少意思があったらしい。


「私は、どこかで知の教皇に賛同していたように思います。金銭があれば子供達も食べさせられる…だから多少の犠牲は仕方ないのだと…勇者様、私を罰してください!」


「わ、私も!」


「私もです!」


「私も、おかしいと思いながら従っていました」


 罰してくれというまともな神官達に囲まれ、むしろ私がアワアワするはめになりました。真面目な人って面倒くさい!

 作者、2日連続で寝落ちしました。今頃更新です。



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