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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・勇者と宗教大国編

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囚われ?の勇者とその特典

 今回ちょっと長めです。ロザリンド、大暴れです。

 丁重に別室へと担ぎ込まれ、魔力封じの手枷と足枷をはめられた。なんかやたら豪華な部屋だなぁ。聖職者ならもっと倹約すべきじゃないの?

 魔力封じの枷に触れる。まあ、このぐらい簡単に壊せるかな。寝たふりしつつ念のため強度を確認しておいたが……問題ない。


「麗しの姫勇者様」


 うっとりとした知の教皇が私に触れようとした。まずい、完全に起きるタイミング外した!と思っていたら、知の教皇はポッポちゃんに弾かれた。ナイス!ポッポちゃん!!


「神の選定した勇者にこのような無体を……それでも聖職者か!」


 ポッポちゃんは私を庇い、威嚇した。


「聖職者ですよ。私は神に尽くしてきた。だから、私こそ贈り人の恩恵を受けるべきだ!何故無能な愚民どもが恩恵を受ける!?この美しい勇者も私のものになるべきだ!」


 つまらない男だ。こんな男にユウキは拐われたのか。


「そこをどけ、神の鳥よ!その勇者は私のものだ!」


 ポッポちゃんに戦闘能力はあまりない。守護などサポートに特化していると聞いた。しかし、ポッポちゃんは知の教皇を威嚇し、必死で私を守ろうとしていた。


「ポッポちゃん、もういいわ」


 身体をおこして知の教皇を睨みつけた。


「お引き取りください」


「……いいでしょう。どうせ貴女は籠の鳥だ。必ずや私にすがりつく。貴女の愛するものも私の手の内だからな」


 高笑いして去る知の教皇が居なくなったのを見計らい、枕をぼふぼふした。腹立つ!!






「ぐっ」


「ぎゃあ!」


 見張りの男達が次々に倒され、私の枷も壊された。


「遅くなったな、ロザリンド嬢ちゃん」


「蔵之助さん!」


 凛々しいイケお爺侍様が颯爽と登場しました。


「ここはどこです?」


「誘拐した贈り人の宿泊施設だ。変わらずいけすかぬ場所だな」


「…クラリンから大体は聞きましたが、蔵之助さんも拐われたことがあるんですよね」


「ああ。わしが逃げるだけで手いっぱいであったし…わしがまともでいられる時間はあまりにも短い。しかし、ここに拐われている贈り人はそこそこ人数がおるぞ?どうする気だ?」


「一応考えがあります。それよりユウキを確保しなきゃ。シヴァからかなりまずい状態だと聞いてますし」


 シヴァに頼まれたのは拐われた贈り人の救出。先ほど知の教皇が話したが、贈り人は神の慈悲であり加護。だからこそ信心深い神官が得るべきだと暴走し、贈り人を拐ったのだろう。

シヴァ達は神託を通して説得を試みたが、そもそも神託は個人宛にできるものではなくうまくいかなかった。


 そして拐われた贈り人の中に、私の友人がいると…友人を助けてほしいとシヴァに頼まれた。言われなくても助けます!というわけで今に至るわけです。


「ふむ、ならば懲罰室のどれかであろうな。反抗的な贈り人はそこで『清められ』てから他の者達と暮らすことになる」


「ふっふっふ。頑張りましたよ、お嬢様!」


「ラビーシャちゃん!」


 今日は私の魔法で人間姿のラビーシャちゃん。服装は神官ですね。何故天井から出てきたのか。忍者にますます磨きがかかっています。


「お嬢様が注目を集めてくれたおかげで、情報はバッチリですよ。とりあえず、ユーキ様は誰にもどうにもできないので、お嬢様を呼びに来ました」


「わかったわ!案内して!」






 ユウキらしき人物は、部屋で籠城していた。必死で結界を維持し続けているようだ。


「こっちに来るな!」


 特殊結界だったらしく、ユウキの意思に呼応して結界が攻撃魔法に転化した。


「ユウキ、私です。リンですよ。クランもふもふ至上主義のリンです」


「…………なら、合言葉は?」


「もふもふ最高!!もっふるもっふる!!」


 電車的な動きを見せたら、ユウキが吹き出した。ちなみに、この合言葉はクランもふもふ至上主義で使用されていたものである。名前でわかるように、もふもふを愛する集団である。


「…ぶふっ」


 すぐに結界が解除された。ユウキはかなりやつれている。とりあえずかなり危険なレベルまで魔力を使っていたようなので魔力ポーションを飲ませ、回復させてあげた。


「今さらですが、ユウキって女の子だったんだねぇ。あ、彼方さんからもよろしくって頼まれたよ」


 ユウキはゴスロリ美少女でした。リアルでの面識はないけどユウキなんだと解る。ゲーム内では奥方様的なイケメン男性キャラを使ってました。よくパーティー組んで遊んでた、ネトゲ仲間だったのです。


「まあな。リンは……派手だな。彼方も来てるのか」


 ちなみにリンはリンに似た地味系キャラをゲーム内ではよく使ってました。それに比べたらロザリンドは派手ですよね。


「私の方は魂だけだからね。身体はロザリアって女の子のもの。ロザリンドって呼んでね」


「…わかった。元の体ではないということか。改めて…佐原優姫だ。礼を言う。ロザリンド…頼む!俺の相棒を助けてくれ!」


「相棒?」


「ずっと二人で旅をしていた。言うことをきかなければ相棒の指を切り落とすと脅されて…頼む!俺はいいからユーロを助けてくれ!」


 優姫は必死だ。私に泣きながらすがりついた。気丈な友人をここまで追いつめるなんて……


「ふ………ふふふ」


 私の友人を誘拐しただけでなく、相棒さんも害すると脅した、と。しかも相棒さんもひどい目にあっている可能性が高い。


「ふははははははは!」


「ロザリンド!?」


「うわあ……この世で1番キレさせたらいけない人をプッツンさせましたねー。しーらない」


 沸き上がる怒りのままに、私は指輪で魔力を増幅して魔法を展開した。


「ちょっと!?ユーロがまだ居るんだぞ!?」


「ユーロさんとやらは地下牢にいると確認しました。私の夫といますから大丈夫。それに、この魔法は破壊や人間を害する類ではありません」


「ならいい」


「いいんですか!?流石はお嬢様のご友人!」


 いや、君も友人だからね?ラビーシャちゃんや。ちなみにユーロさんらしき人の情報は、教皇の洗脳を解きにいくついでにロージィが通信魔法で連絡をくれました。あの子、本当にデキル子ですよ。


「わー、おっきいのー」


 クラリンはキャッキャしている。


 あれ?魔法展開中に妙に魔力を引っ張られる気がした。探ってみるとどうやらこの城?教会?は贈り人の魔力を少しずつ集めて結晶化していたようだ。

 妙に料理やら装飾品・美術品が高価そうだと思ったら、こういったもので稼いでいたのかもしれない。





 どうせなら、ごっそりいただいちゃおう。





「シヴァヴァヴァヴァー!!」


 そして、巨大なシヴァゴーレムが完成した。何故シヴァにしたかって?この建物、壁が白かったからだよ。


「ポッポちゃん、神の力を使います。使用許可を!」


「かしこまりました!誰の力をお望みですか?」


「シヴァとミスティア!」


「くるっぽー!」


 ポッポさんから神の力が流れ込む。これぞ勇者特典『神の加護』である。そして、私はその神の力を……



 クラリンの魔女っ子ステッキに送り込んだ。


「クラリン、パワーアップ!ゴッド変身よ!」


「オッケー、ロザリン!魔法少女蔵之助!緊急出動(スクランブル)!!」


 クラリンの魔女っ子ステッキが普段よりも輝いた。もはやギラギラしている。


「ピュアピュア☆ハピネス☆ミラクルクラリン☆魔法少女蔵之助!天使形態(エンジェルフォーム)!!」


 クラリンは純白の羽を生やし、白いドレスに身を包んで現れた。神々しき魔法少女(マジックジイチャン)…いや、魔法天使(マジックジイチャン)である。私は惜しみ無い拍手をした。


「ブラボー!ブラボー、クラリン!」


「サンキュー、ロザリン!」


「クラリン、クラリンを虐めた奴らに天罰よ!私が許可します!」


「オッケー、ロザリン!魔法少女蔵之助!神にかわって殲滅よ!」


 そして、クラリンは杖を振りかざした。


「マスコット、召喚(カモン)!!」


 クラリンは、何故かホラーゴーレムさん達を召喚…いや、よく見たらこれはゴーレムを作ってる!シヴァとミスティアの力を使った複合魔法か!


 そして、クラリンはホラーゴーレムと行進を始めた。


「悪いおっさんはいねーがー」


 魔法少女というか、ナマハゲである。しかも、大変ホラーなゴーレム軍団に囲まれた、天使なじい様。なんという混沌(カオス)


「なっ!?なぜこの聖堂にゾンビが!?悪しき魂よ、去れ!ホーリーライト!」


 神官が魔法を使うが、そもそもゴーレムに効くわけがない。神官達は次々とホラーゴーレムに縛られていく。なんかたまにマニアックな縛りかたしてる奴がいるな……


「なぜ効かないんだ!?」


「神様に見捨てられちゃったんじゃないの?」


「なっ!?」


「酷いことばっかりするから、神様に嫌われちゃったんじゃないの?」


「わ、我々は日夜修練に励んでいる。祈りも欠かしていない!」


 クラリンは無表情だった。


「クラリン、おじさんに鞭で打たれたよ。そこのおじさんは蹴ったよね。たくさん酷いこと、してたよね。だから、クラリンも酷いことしていいよね?」


 神官達は悲鳴をあげた。


「うわあ、えっぐ」


「いい気味だな」


「クラリン…素晴らしいわ!心を抉り、更に肉体的精神的にも恥辱を与えるなんて!」


 クラリンがナニをしたかって?神官のお尻等が大変な事に…とだけお伝えしておきます。


 え?違いますよ。お尻ペンペンです。下着まで下ろされて、超屈辱でしょうね。あ、神官が泣いた。エリート様には耐え難いだろうね。ちなみにクラリン…きっちり自分に害を与えた輩をチョイスしている。行儀見習いや関係ない神官は無視である。




「まだまだいきますよ!」


「まだやるんですか!?明らかにクラリンさんだけで大丈夫ですよね!?」


「よっしゃ、もっとやれ!!」


「ええええ…そこ煽っちゃいます!?」


 アワアワしていたラビーシャちゃんだが、諦めたらしい。傍観のかまえになりました。


「ポッポちゃん!神の力を!」


「かしこまりました!」





 それでは皆様、BGMは残酷な天使の○ーゼでお願いします。


「サボンヌさん!サボノビッチさん!」


 4体いたレジェンディアキングシャボテン。サボさんはミルフィの護衛。サボノバさんは最近シーダ君の護衛である。

 サボンヌさんとサボノビッチさんは神化したサボさんを羨んでいたからうってつけだ。


 サボンヌさんにインジェンスの力を。

 サボノビッチさんにスレングスの力を。



 神々しき、(セイント)☆サボ☆天使(エンジェル)の誕生である!



 サボンヌさんはなんか眼鏡かけてた。インジェンス=眼鏡なの?今度本人に本体は眼鏡なのか聞いてみようと思います。


 サボノビッチさんは白く輝くムキムキになっていた。マッチョ再び!


「さあ、神の力を得たサボテンさん達!やっておしまい!」


「ウム!テンバツ!!」


「チクチクシテヤル!!」


 2体のサボ☆天使が飛び立ち、攻撃を開始した。もはや神官は逃げまどうしかない。


 白いシヴァの像は踏み潰したりすると危ないから、とりあえず電車の動きをさせている。意味はないが、いい動きである。目立ちまくっている。ちなみに表情は憤怒なので、知らない人が見たらこの像が神の化身でお怒りだと思うかもしれない。


 クラリンは着実に神官を捕獲して生尻お尻ペンペンを実行しまくっている。プライドの高い神官の心をバッキバキに折ってからの実行である。まあ…仕方ないね!


 そして、サボ☆天使達もいい仕事をしている。どうやっているのかは不明だが関わっていないまともな神官達は避難させ、関与した神官をクラリンのとこに送るかサボノビッチさんの熱いトゲ包容の刑に処している。神官は応戦するが、サボ☆天使もまた神ランク。効果はない。



「まさに混沌(カオス)


「いや、他人事みたく言ってるけど、全部お嬢様が元凶ですからね!?」


「ふはははははは!泣け!喚け!己の罪を悔いるがいいわ!」


「悪役みたいですよ、お嬢様!!」


 私はあくまで、正義の味方じゃなく自分の味方です。悪役上等!

 あ、でも今なら悪役令嬢じゃなく、悪役侯爵夫人になるのかしら(笑)

 ちなみにサボ☆天使はロザリンドが勝手に命名しただけで、実際はサボ☆天の亜種になると思います。


 少年(サボテン)よ、神話になれ。

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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
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