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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・勇者と宗教大国編

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囚われの身

 ディルク視点になります。

 武の教皇様との試合中に、ロザリンドの気配が遠のくのを感じた。彼女が俺の試合中にいなくなるとは考えにくい。相手がしかけてきたのだろう。


 しばし打ち合う。武の教皇様はなかなかの腕だが、せいぜい昔のフィズぐらいのレベルだ。正直、かなり加減している。適当なところで剣を弾き飛ばした。


「侵入者を捕縛せよ!」


「…これはどういうことですか?」


 俺を囲む武装神官達はどこか瞳がうつろだった。俺の捕縛を命じたのは、知の教皇様だ。技と魔術の教皇様も瞳がうつろだ。いや、魔術の教皇はまだ意識があるように見える。


「この不審者め!神を恐れぬ不心得者!」


「…私はきちんと手順を踏んで来たはずです。妻と共に。不審者ではありません。ですよね?武の教皇様。私の妻…勇者とも手合わせしたいと話してましたよね」


「手合わせ………ゆ、うしゃさま…………ぐうう………」


「武の教皇よ、耳を貸してはならぬ!この者は我らの敵だ!」


「武の教皇様、我らは剣を合わせました。私の心に曇りは無かったはずです。貴方ならわかるでしょう?」


「あ…ああ……ゆうしゃ……でぃ、るく殿………」


 苦しみつつ武の教皇様は反応している。


『ご主人、アレさあ魔力をくれれば解除できるよ。せんのー魔法解除、する?』


 俺の指輪…ロージィが聞いてきた。


『今はいい。後でこっそり解除できる?』


 口には出さず、心のなかで問いかけた。


『できる……と思う』


『ならお願いするよ』


『うん!任せて!』


 ロージィは役に立てる事が嬉しいのか楽しげだ。こんな場面だけど和んでしまった。


 知の教皇以外は皆目が虚ろで、だいぶ怖かった。とりあえずロザリンドがどう出るつもりかわからないので大人しく捕まることにした。






 地下牢に入れられ、どこも血やらカビやらの匂いがするもんだなぁと思いつつ…少し寝ていたらしい。向かいの牢から聞こえる青年の必死な声で目が覚めた。


「出せ!ここから出せよ!ユーキ!ユーキ!ユーキを返せ!!」


「やかましい!」


「ぐっ!?げほっ!ユーキ!ユーキぃぃ!!」


 声が枯れかけながらも、青年は必死でユーキとやらを呼ぶ。聞いているこちらが切なくなるほど悲痛な叫びだ。殴られて血が出たのか、血の匂いがする。


「叫ぶんじゃねえよ!うるせえな!」


 さらに牢番が青年に暴力を振るっている。血の匂いが濃くなった。俺は指輪に魔力を注いだ。


『ロージィ、牢番の気を逸らして』


『らじゃ!』


 ロージィは少年の姿に変わり、牢の外でガチャガチャと鍵を鳴らした。


「貴様、何者だ!?」


 ロージィはにんまり笑うと、


「恨めしい………よくも……恨んでやる…」


 と憎々しげに言って消えた…というか指輪になった。俺の指輪は黒いから、薄暗い牢では消えたように見えただろう。


「消えた?」


「…何がですか?」


「……………ひっひあああああ!?」


 どうやら幽霊が不得手な牢番だったらしい。一目散に逃げ出した。ちょっと悪いことをしたかな?まあいいか。暴力を一方的に振るってたし。しかし、逸らすどころか退散させるとは…えらいねと指輪を撫でた。


 青年もロージィを見ていたらしく、呆然としている。青年に通信魔具の予備を投げ渡し、耳に当てるようジェスチャーをした。青年は素直に耳に当てた。


 俺はロージィに教皇達の洗脳解除を頼み、青年と会話することにした。


「はじめまして。ユーキさんとは、ユーキ=サハラさんですか?」


「ユーキを知っているのか!?」


「小さな声でお願いします。また牢番が来たら厄介です。それはそのためにお渡ししました」


「………すまない」


「先ほどの質問ですが、直接の面識はありません。ただ、私の妻の友人だそうで救出するために捕まりました」


「本当か!?」


「はい。妻は必ずやユーキさんを助け出しますよ、それこそどんな非常識かつ無茶苦茶な手段を使ってでも…ね。だからむしろ、敵に同情してしまうぐらいです」


「…………どんな嫁なんだよ」


「可愛いし綺麗だし頭がよくて料理上手で気が利いて強くて寂しがりで「惚れこんでるのはわかった!」


 ついロザリンドについて語ってしまった。しかし、本気を出したら徹夜は免れない。言い足りないが仕方がない。


「で、貴方は「ディルク殿!」


 武の教皇様が走ってきた。いや、よく見たら他2人の教皇達も居た。


「「「申し訳ありません!!」」」


 3人から綺麗な土下座をいただきました。


「えーと…」


 とりあえず詳細を聞こうとしたら、破壊的な音が聞こえてきた。そして、ロージィが指に戻ると共鳴しているのかロザリンドのすさまじい怒りを感じた。これ、止められるかなぁ……何かをやらかしたからここまでロザリンドが怒ってるんだろう。


「よいしょ」


 とりあえず檻を曲げて通り抜けられるようにした。身体強化すれば、普通の檻ぐらいは簡単に破壊できる。


「「「「は?」」」」


 皆してポカーンとしている。青年の檻も破壊した。青年は怪我も臭いも酷かったのでロザリンドに貰っていた高級ポーションをぶっかけ、ロージィに浄化してもらった。まだ俺単体では魔法を使えないが、ロージィはロザリンドとも繋がりがあり、魔力さえあればロージィは魔法を使える。


「ユーキさんを助けにいきましょう。急がないと、俺の妻がセインティアを壊滅させてしまいます」


「お前の嫁、どーなってんの!?」


「ディルク殿!セインティア殲滅とは一体!?」


「勇者様は何をなさるおつもりで!?」


「とりあえず、早く行かないと色々と手遅れになりますよ。行きますよ」


「ぎゃああああああ!?」


 青年をかつぎ上げ、全力で走り出した。


「お待ちください!」


「勇者様は何を!?」


 教皇達も追いかけるが、追いつけるはずもな………………


「「………………………」」


 地下から外に出たら、大変見晴らしがよくなってました。あれ?屋根はどこいった?


「…………なんじゃこりゃああ!?」


「…遅かったみたいだね」


 俺の可愛いお嫁さん、仕事がすっごく早いんだよね…と若干現実逃避した俺がいました。しかし、何をどうしたら短時間でこうなったのか、俺にもまったくわかりません。


 空に輝く神々しきモノを見上げ、とりあえずロザリンドを探すことにしました。

 次回、ロザリンドが大暴れ!!

 ロザリンドの目的やいかに!!

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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
― 新着の感想 ―
流石のロッザリンドパワァ〜……ディルクが「どうしてこうなった…」ってしみじみ思ってもしょうがないよねぇ(^_^;) でもそれがロザリンドちゃんの良い♪と♪こ♪ろ♪だもんね(^ω^)
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