マダム達の考察結果と心友
こんばんは、ロザリンドです。正直、ある意味人生最大のピンチを迎えております。念入りに入浴して、服を着たいのですが……
下着が卑猥すぎます。
勝負下着は通りすぎてもう、決着下着といってもいい気がします。着たら勝てる気がしますが、両刃の刃です。処女にはキッツイんですよ!装備するにはレベルが高すぎる…初心者には無理!羞恥心大事!
私は必死で考えて考えて考えた結果、装着いたしました。羞恥心よりディルクを選んだのです。お、落ち着かない…!!しかし、これでディルクが襲ってくれるなら………仕方なし!
ソワソワしながらベッドで待っていました。お風呂から出てきたディルクはまだ髪が濡れています。はぅ…ヘソチラ……パジャマタイプの夜着から見事な腹筋とおへそがチラリ…眼福です。
「ロザリンド、寝よ…ぐふっ!!」
ディルクが入るなりうずくまり…いや、倒れました。
「それ…なん…」
多分それ、なんでと言いたいのでしょう。私が着ているのは夜着ではなく、シャツです。そう、彼シャツなのですよ!
よくわかんないけど男性は燃えるらしいです。誘惑の定番ですよね。何事もスタンダードが一番だとマダム達は結論しました。ボタンは胸もとが見えるように二つ開けてあります。
「ディルクのを借りました。どうですか?勝手に借りたら駄目だった?ディルクの匂いがするから落ち着くし……抱きしめられてるみたいで…駄目なら脱ぐけど」
「待ってください。いやもう……ごちそうさまです…じゃなくて…太ももがおいしそう………でもなくて!誘惑しない!本気度が上がってない!?」
「マダム達の指導の賜物です」
「……何を話しちゃったの!?」
青褪めるディルク。母怖いしね。離婚勧められたからね。
「…私の魅力がディルクの理性を突破できないと愚痴りました」
ディルクが再び床に倒れました。何やら大丈夫、俺は多分…多分恐らくなんとか大丈夫と呟いてます。自己暗示なのでしょうか。大丈夫ではないことだけはひしひしと伝わってきました。
「ロザリンドの魅力は確実に俺の理性を上回ってます。本来ならこんな中途半端に手を出すつもりじゃなかったし、まだここまでいやらしいことする予定じゃなかったんだ」
「…なら…もっと…して?」
あざとくコテンと首をかしげました。ちょっと恥ずかしくて顔が赤い気がします。
「…凶悪すぎる…!可愛いし色っぽいし…ううう…本当にどうしたら………」
「…ディルク、して欲しいの。だめ?」
「喜んで!」
そして、うまいことディルクさんのやる気スイッチを連打できたようなのですが……彼シャツの内部にもディルクさんは大変反応してましたが…………あんなに頑張ったのに、やはり最後までは至りませんでした。
いやもう本当になんでなんだ!?これ以上は私にも無理だよ!
朝、ディルクに抱きしめられて目が覚めた。幸せなはずなのに、ディルクが好きなのに、ちゃんとディルクのお嫁さんになりたいのに……
ディルクにキスをして私の魔力を吸いだした。するとディルクの体が反応しだした。やはりか。つがいとは、魔力を高めあうことができる相手。互いの魔力を性行為で混ぜ、高めることができるのだ。体液には多量に魔力が含まれていた。獣人は本能的にそれをかぎ分け…欲するのだろう。私の魔力を戻すと落ち着いたようだ。フェロモン酔いしたディルクと行為に及ぶのはたやすいが、それは私の望みではない。あくまでも欲しいのは体ではなく彼の意思だ。
ベッドから抜け出した。
悲しいやら苦しいやらで、気がついたら身支度して彼が目覚める前に家を飛び出していた。
気がついたら森の中で…迷子の迷子のロザリンドでした。いや、もう本当に学習しないな、私!!
やっべ、どうしよう。武器もポーチもあるからどうにでもなるけど、帰り道がわかんないし…それ以前になんとなく帰りにくい。
「ロザリィ?」
「ミルフィ…とシーダ君」
こんな森の中で会うとか…もはや運命的です。
「うわあああああん!ミルフィ!ミルフィー!!」
「ロザリィ!?」
「…仕方ないな。ロザリンド、隠れ家を出せ。そこでミルフィと話したらいい」
シーダ君はますますイケメンになりました。栄養状態改善の結果、身長も伸びました。18になったら正式におうちを継いで、その後仕事に慣れたらミルフィと結婚するおつもりらしいです。
ちなみにミルフィは飛び級で中等部を卒業。シーダ君の奥様修業をしたり、冒険者として討伐したりしています。疾風の魔弓姫なんて二つ名がついてます。二人はたまたまデート兼討伐に来ていたそうです。
シーダ君の言葉に頷き、隠れ家を出して入った。ナビィ君は無言でお茶を出してくれた。
シーダ君は気をきかせてミルフィと二人きりにしてくれようとしたが、聞いてほしいと残ってもらった。
「…もう少しオブラートに包め!赤裸々すぎる!破廉恥だ!!」
シーダ君に叱られました。いや、仕方ないじゃないか。シーダ君だって、もうじき直面する問題だよ?ミルフィに初潮がくればディルクと同じになるよ。
「シーダ君のつがいはミルフィだから、シーダ君も無関係じゃないでしょ。フェロモン酔いを防止する方法教えてあげようと思ったのにー」
「!?なんでわかった!?」
魔力の流れをよく見ればわかる。つがいの魔力は側にいると互いを活性化させるんだよね。そのせいか魔力感知能力が格段にはねあがった。 わざと下ネタ方面で体液交換したらいいと教えたら、キレた。
「そんなことできるかぁぁぁ!!」
「…私はかまいませんわよ?」
「かまってくれ!頼むから!」
「シーダ君の側にいられない方が嫌ですわ」
「…………………なんでこう可愛いんだ…」
「天使だから」
「………そうだな」
「まあ、体液も有効だけど、単純に魔力を口移しした方が効率的かな。コントロールにコツがいるけど」
「……ロザリンド」
「へい」
「先にそっちを話せぇぇ!!」
「いいじゃないですか!ちょっとした意地悪したんですー!傷心中なのに見せつけるかのようにシーダ君達がラブラブだから意地悪したんですー!」
シーダ君にしばかれましたが、からかったおかげで少し調子が戻ってきたようです。
「あの」
先程から何かを考えていたらしく最低限しか発言してなかったミルフィが口を開いた。
「ロザリィはどうしたいんですの?」
「へ?」
「なんでディルク様に最後までされたいんですの?」
「なんで…?不本意な形だったけど結婚して、でも早まっただけで…嬉しくて」
「はい」
「だから、本当にちゃんとディルクのお嫁さんになりたかった」
「はい」
「ディルクにずっと、ずっと我慢させてたから、もうしないでほしくて…私を全部彼のものにしてほしかったの」
「それをディルク様に話しましたか?」
「…話してない。そうか、魅力がどうとかじゃなかったんだね。ちゃんと話し合わなかったんだ」
「そうですわね。ロザリィなら大丈夫ですわ。もう大丈夫ですわね?後でまた、どうなったか教えてくださいましね」
天使からウインクいただきました!なんか、勇気もらったかも!
「あ、それから…」
「ふが」
鼻をつままれた。拗ねた表情も可愛いなぁ、ミルフィ。
「こういう時は真っ先に頼ってくださいまし!私はロザリィのなんですの!?」
「親友………いや、最高の心友です!!」
「よろしい。では、健闘を祈りますわ」
「頑張ってきます!」
最高の心友に励まされて、単純な私は勇気りんりんですよ!ロザリンド、いっきまぁす!!




