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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・ラブラブ新婚編

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買い出しとマダム達との珈琲タイム

 新婚生活、4日目。そろそろ食糧が底をつきそうです。ディルク、よく食べたもんなぁ。結婚式でポーチさんの食材も使いきってます。

 というわけで、買い出しです。他にも掃除用具とか細々したものを買いたいし、手を繋いでデートがてら町に向かいます。





「おう、ロザリンドちゃん!結婚おめでとう!!」


「ありがとう」


「これ持ってけ!結婚祝いだ!」


「わ、立派なお肉だね」


「ロザリンドちゃん、おめでとう!」


「あ、ディルク様!」


「お嬢様、おめでとうございます」


「坊ちゃん、可愛い嫁さんつれて買い物かい?」






 30分後。


「……食材はいらないね」


 王都の商店街の皆様&ローゼンベルクとバートン領民からのプレゼント攻撃により、あっという間に食糧が少なく見積もっても1ヶ月は籠れそうな量になりました。復帰したらお返ししなきゃなぁ。何がいいかしら…領民には水車小屋とかどうかなぁ…あれは便利だと思うんだよね。


「ロザリンド、後は何を買うの?」


 つい頭が仕事モードになりかかったが、今はデートでした!


「後は雑貨と調味料かな」


「服は?」


「………多いぐらいだと思う。後は必要じゃあないけど、お揃い…欲しいな」


「お揃い?」


「うん。色違いのカトラリーとか、マグカップとか…あ、ディルクが嫌ならいいけど」


「いいね。お互い気に入ったのを探そうか」


 ディルクはにっこり笑って了承してくれた。つられて私も笑顔になった。


「うん!」


 お揃いは何にしよう。カトラリー、いいのないかな…毎日使うやつをお揃いにしたい。週末だけじゃなく、余分に買えば家でもお揃いだ。うん、いいな。


 行きつけの雑貨屋を探すことしばし。いいやつを見つけた。可愛い黒猫モチーフのカトラリーだ。黒は嫌がられるから珍しいなぁ。ディルクみたいにしなやかで愛らしい。片方は女性向けなのか一回り小さく、並べると向かい合っているかのようだ。女性用らしき方は僅かに青みがかった小さな黒猫で、私みたい。


「それ、気に入ったの?」


 熱心に見ていたのがバレたらしい。ディルクが私の手元を覗きこんだ。


「…なんか、俺達みたいだね」


 同じように思ってくれたのが嬉しくて、ディルクと笑いあった。


「ああ、それな。ディルクさんがモデルなんだよ。小さい方はロザリンドちゃんな。君ら仲良いから、カップルに人気だよ。他にも皿とかマグカップやら、一式あるよ。シリーズモノなんだ」


「「え?」」


 会計しようとしたら、店主からの爆弾発言が来ちゃいました。店主がお皿を一式持ってきました。どれもかなり凝っていて可愛い。特にマグカップは持ち手が黒猫で、尻尾をくっつけるとハートになる。ベタなカップル向けアイテムだ。


「全部買います」


 マイダーリンは太っ腹でした。


「待って!ディルク!」


 さっさと支払いするディルクを止めた。


「…気に入らない?ロザリンド、すごく欲しそうにしてたと思ったんだけど」


「違う。超気に入った。マグカップとカトラリーは二組ずつで!」


「予備?」


「しばらく平日はまだお互いの家だから、家で使う分!」


「なるほど。では、そういうことでお願いします」


「本っ当に仲がいいなぁ。これじゃあすぐ子供できちまうんじゃねぇか?子供用も作っとくから、ひいきにしてくれよ」


「………こど………は、はい」


 店主さんの冷やかしに真っ赤になりつつディルクがお支払いしました。そして、私は家でもディルクとお揃いがいいの発言に若干自爆していた。ディルクはつっこまなかったが、乙女思考が恥ずかしい。


 手を繋いで帰る途中で、快活な声がした。


「ロザリンドちゃん!」


「奥方様!」


 7年経とうと爽やかイケメン…いや間違えた爽やか美女の奥方様と…


「あら、奇遇ねぇ」


「いやん、お嬢様…いや今は奥様ねん」


「ロザリンドちゃん!?体は大丈夫なの!?」


 1名、魔物(モンスター)が混ざっているが…母、ミス・バタフライ、ルーミアさんが馬車から降りてきた。ルーミアさんはガチで心配しているようだ。

 でも、最後までには至らずだから大丈夫とは言いにくい。少ししょげたのに気がつかれたのかもしれない。


「私達、これからミス・バタフライのお店でアフタヌーンティーをするのよ。二人もいらっしゃいな」


「え…」


「いいわよね、ディルク様?」


 母の有無を言わさぬ様子に気圧され、否とは言えませんでした。

 ミス・バタフライの店につくと、横暴な母から白々しく言われました。


「あ、今日は女子会だったんだわ。フーク君、ディルク様の相手をしてくださらない?今日はお店も貸し切りだし、チップは弾むわよ」


「お任せください、奥様!よし、ディルク様行くぞ!」


「あ、待って!私がなんかデザート作る!フーク君達の分もサービスするよ!」


「マジか!やった!」


 ガッツポーズするフーク君。


「ショコラ食べたいわ、お嬢様!材料あるからショコラのケーキ!あれは絶品だったわ!」


 かなり必死なミス・バタフライ。


「あれはお茶より珈琲なんですよね。あります?」


「あるわ!」


「ふむ…かしこまりました。後は適当に焼き菓子かな」


 ショコラケーキ、クッキー、マドレーヌを作って皆に持っていった。ディルクの分はフーク君が別室に運ぶとのことで渡したが…


「つまみ食いはダメだよ」


「チッ」


 舌打ちされた。後でディルクに大丈夫だったか聞こうと思いました。



 さて、マダム達の茶会にお邪魔したわけですが…お茶というか、珈琲会?クリスティアでは珈琲はまだ珍しいものでそれなりに高価です。


「まあ…珈琲って苦いのね」


 ルーミアさんは珈琲が苦手みたいです。わかります。私もストレートはいまだに飲めません。


「そう?いい香りね。美味しいわ」


「ええ、結構クセになるのよね」


「ああ、私も好きな味だな。特に香りがいい」


 母とミス・バタフライ、奥方様は平気みたいです。


「ミルクと砂糖を入れると飲みやすくなりますよ」


 ルーミアさんの珈琲にミルクと砂糖をひとつ。自分のにも入れてかき混ぜた。


「美味しいわ!」


 喜ぶルーミアさんに微笑んだ。そして、笑ってられるのはここまででした。


「さて、ディルク様との蜜月はいかが?ロザリンドちゃん?」


「私からの贈り物はどうだった?」


「体は大丈夫?無理したら駄目よ?獣人との閨は大変ですものね」


「…お嬢様?」


 ルーミアさんの優しい気遣いに、ため息と共にぽろりと本音がこぼれた。


「…私……魅力ないんですかねぇ」





 迂闊な発言だったと後悔しても後の祭り。気がつけば洗いざらい閨での話をしていたわけです。


「…ロザリンドちゃん、いつでもうちに帰ってきていいのよ?」


「まさかの離縁!?いや、離婚はしたくない!ディルクが大好きです!」


 母よ、一刀両断もいいとこだな!ビックリしたわ!思いきりが良すぎるわ!!


「うーん、ディルク君すごいわ…」


 ルーミアさんはもはや感心している。ジェラルディンさんに我慢という言葉はないらしく、それはもうスゴいらしい。大変なんだそうだ。主に体力的に。


「…まさか、あの最終兵器(リーサルウエポン)に耐える勇者がいるとは……ディルク君は不能じゃないのか!?しかもこれほどの美女のだぞ!?私と違い、まるで芸術品のような美貌と、女性なら誰もが羨むプロポーションの持ち主だぞ!?ありえない………」


 奥方様は信じられない!と言いたげです。いや誉めすぎだよ、奥方様。しかも、さりげなくディルクの評価が酷すぎる。


「違います!不能じゃないです!あと一歩なんですよ!あと、過大評価すぎます!」


 とりあえず不能疑惑は否定しておいた。不能ではないよ。


「ふ、ふふ………」


 そして、ミス・バタフライは燃えていた。


「燃えてきたぁぁ!!このアタシのコーデに抗うですって!?お嬢様の魅力を最高に引き出したはずよ!お嬢様!必ずやディルク様をメロメロにする最高のコーデを考えるわ!リベンジさせてちょうだい!」


「え?」


「あら、面白そうね」


「そうね、旦那様との熱い夜を迎えたいわよね…辛いけど、確かに幸せだもの。微力ながら協力するわ」


「うむ、バタフライ殿!協力しよう!リベンジだ!!」


「え、ええええええ!?」


 本気になったマダムとオッサンに抗えるはずもなく…何故か私は魅力を最大限に引き出す格好を探求するはめになってしまった。


 正直、終わる頃にはヘロヘロでした。試着も……あんなのは下着じゃないよ!紐だよ!とか…未知との遭遇すぎました。ディルクに本気で心配されましたが、もはや大丈夫と言う気力もありませんでした。

 情報補足・母達はマダムの茶会という女子会(一部オッサン)をする予定で、たまたま遭遇しました。ちなみに母達の中でミス・バタフライは男でも女でもなくミス・バタフライというカテゴリです。

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ミス・バタフライは魂が女の子だからね。
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