お嫁さんは寂しかったんだよ
前話のロザリンド視点になります。
前日に色々散々やらかしたし、日中はずっとイチャイチャしてたから今晩は大人しく寝るつもりだった。
でも、幸せだったから欲張りになっちゃったのか、やっぱりディルクと寝たかった。どうしたらいいだろう。でも、行って嫌がられたら?ディルクがここに来ないのは、彼も普通に眠りたいからじゃないか…不安になってきて、気づいたら涙がこぼれていた。
彼の浮気疑惑は誤解だとわかっているけど、それでもやっぱりダメージは大きかったみたいだ。動けず涙をこぼしていたら、控えめなノックが聞こえた。
幻聴?ノックする人なんて一人しかいない。
「ロザリンド?」
心配そうな優しい声に、願望が口から出た。
「…ディルク?」
すぐ部屋にディルクが入ってきた。幻聴ではなかったらしい。
「あ…」
驚いた表情のディルクに泣いていた事を思い出し、慌てて何もないように装った。へらり、と笑って見せたら…気がつけば抱きしめられていた。
「ディルク!?」
そういえば…最近ディルクから抱きしめてられていなかった。最後がいつだか思い出せないぐらい。ディルクの腕は気持ちいい。
「…寂しかった?ごめんね」
優しい声に、きゅんとした。
「わ、私も…ごめん…ずっとはうざいだろうし、我慢…しようと、思ったけど……できない……一緒にいて」
情けないけど、これが私の本心で…優しい夫にすがってしまった。
「うん」
ディルクは優しく微笑んで、キスして髪を撫でてくれた。
布団に入って抱き合ったあたりで、ディルクの息子さんが固くなってるのに気がついた。チラチラ胸を見て………そういやノーブラでしたよ。 寝るつもりだったから。でもまぁいっか。今誘惑したら襲ってくれるかもしんないけど…今日は誘惑しなくてもいいや。
「ディルク……大好き。来てくれて嬉しい」
側にいてくれるだけで幸せだから。へらっと笑ったら、ディルクからキスをたくさんしてくれた。髪、額、瞼、首……しかし耳を甘噛みされて、慌てて耳を隠した。くすぐったいし、変な感じがする。涙目で睨む私に、ディルクはうっとりしていた。
「…可愛い」
「ひああ!?みみみ、耳ダメ!エロボイスやめて!」
耳元への低音エロボイスにゾクゾクした。旦那様、かっこよすぎるよ!?
「…可愛いロザリンド、俺にかまわれたかったんでしょ?」
図星だったので肯定した。
「……うん。かまって、ほしいの」
「たくさん可愛いがってあげる」
「……うん。ディルク…すき」
可愛いがって欲しいです。嬉しすぎてちょっと震えてしまったのはご愛嬌。誤魔化すようにディルクにぴったりくっついた。ディルクが撫でてくれるから、手にスリスリする。幸せだなぁ。
「あのね、ロザリンド」
「うん」
「俺ね、ロザリンドが可愛いの」
「………うん?」
いきなりディルクがわけのわからない事を言い出した。
「ロザリンドが可愛くて可愛くて可愛くて仕方ないの」
「……私は可愛くないと思うよ」
私ほど可愛いげのない女もなかなか居ないだろう。魔物はザクザク倒すし、旦那様をにゃんにゃん言わせたしな。
「いや、ロザリンドはわかってない!普段凛としてバリバリ仕事できるロザリンドが甘えてくる時なんて……世界中に叫びたいぐらい可愛くて可愛くて可愛いの!」
「………ええ?」
申し訳ないが、そこは私にはよくわからないですよ、旦那様。
「今日のちょっとしゅんとしながらのおねだりなんて……死ぬほど可愛かった!ロザリンドとイチャイチャできて、今日死ぬかと思うぐらい幸せだった」
「…………うん」
よかった。ディルクもイチャイチャが嫌じゃなかったんだね。
「可愛い俺のお嫁さん」
「…はい」
「君に出会えて、こうして結婚できて、怖いぐらい幸せだよ。愛しているよ、ロザリンド」
「うー、卑怯…ディルク、ずるい」
真っ直ぐな瞳と言葉に、自分の不安を見透かされたようで悔しいけど…嬉しい。その言葉が本当に嬉しい。止まった涙がまた溢れてきた。
「わ、私も…ディルクをあ、あ、あ、愛してます。今、しあわせです。ディルクに会えて…よかった」
頑張ってディルクに私の気持ちを伝えた。そして、私は意図せず愛の言葉でディルクのある意味やる気スイッチを押してしまったらしい。
今度は私があんあん言わされるはめになりました。
しかも、最後は……………多分…………意識なかった。
そして、朝はモーニングコーヒーならぬモーニング土下座となるのでした。
別に気持ちよかったし…………いいのに。しかもちゃっかり次も約束しちゃいました。今夜が楽しみです。




