結婚式と指輪さん
ディルクはドレスが長いので、私をお姫様だっこしました。え?待って!このまま行くの!?
ディルクは軽い足取りで私をお姫様だっこしたまま歩き出す。
「あれ?ロザリンドちゃん、ついに結婚するのかい!」
「こりゃあめでたいな!後でお祝いもってくよ!こうしちゃいらんねぇ!皆にも教えてやらなきゃな!」
な、なんか注目されてる上に、知り合いのおじさんやおばさんから次々と祝福の言葉が贈られる。化粧がぐちゃぐちゃになったから、今はすっぴんで微妙なんでディルクにひっついた。
「し、幸せ…」
ディルクは私にひっつかれて嬉しそうだ。私も幸せだと思える。たくさんの祝福の声と笑顔は、やはり嬉しいものだ。
「あ、お幸せに~」
あの浮気疑惑の女性が嬉しげに手を振っていた。
「あ、あの…そういえば広場の女性は友人なんですか?」
「いや?店員さんだよ。大量に買ったから見送りにでて来たとこを見たんじゃないかな?広場に店があるんだよ。今度は一緒に行こう。ロザリンドが好きそうなお店だから」
「わかりました」
浮気は完全に誤解でした。友人ですらなかったというオチでした。
そして教会に到着。素早くラビーシャちゃんと母、マーサ、ルーミアさんが私に化粧を施した。ディルクは定位置に移動。父のエスコートからやり直しとなりました。
ゆっくりと父にエスコートされて歩く。
「ロザリンド、幸せになりなさい。いつでも家に帰っていいからな」
「ふふ、ありがとうございます」
父はちょっと涙目だ。私ももらい泣きしそう
「いくぞ、皆!」
『おう!!』
アルディン様の号令で元クラスメート達が複合魔法で虹色の花を降らせた。
「綺麗…皆、ありがとう!」
「まだまだ!いくよ!」
私の精霊さんたちも複合魔法を使い虹の花をシャボン玉に変えた。
「うわぁ…」
夢みたいな光景にため息が出た。
「ロザリンド」
優しい笑顔のディルクが待っている。父からディルクにエスコート役が変わる。
「……まだ俺は未熟で、今回もロザリンドを悲しませてしまいました。ですが、必ず彼女を幸せにします!娘さんを私にください!」
ディルクは頭を下げた。えええ!?あ!娘さんを僕にくださいのやり直しか!自分で言っといて、すっかり忘れてたよ!
「父様…」
「…顔を上げなさい。ロザリンドは生涯の伴侶に君を選んだ。君の努力も知っているよ。夢よりこの子を選んだこともね。私の娘を、よろしく頼む」
父が静かに頭を下げた。
「はい!」
「父様、大好き!」
「ああ。寂しいものだが…嬉しくもあるな」
とても珍しい、満面の笑みを見せた父に見送られ、今度こそ祭壇に立った。
神父様が、誓いの言葉を告げる。
「新郎、ディルク=バートン。汝は病める時も、健やかなる時も、この者を妻とし生涯愛し、慈しむことを誓いますか?」
「誓います」
「新婦、ロザリンド=ローゼンベルク。汝は病める時もこの者を夫とし生涯愛し、慈しむことを誓いますか?」
「誓います」
「では、誓いの口づけを」
ディルクがそっと私のヴェールを外してキスをした。歓声がおこる。
「よろしい。結婚証明書にそれぞれサインを」
ディルク、私の順で証明書に署名する。
「最後に、指輪の交換を」
もともとこの世界に指輪の交換は無かったが、ミス・バタフライが宣言通り流行らせ、今では結婚式でポピュラーなイベントになっている。
指輪はディルクが用意したのだろう。白金かな?銀色に薔薇の刻印が美しくシンプルなものだ。
「ロザリンド、手を」
ディルクが私に結婚指輪を嵌めようとした。
すると、戦乙女の指輪と婚約指輪達、さらにディルクの指輪が浮かび上がって混ざりあい………え?混ざって…………る?
結婚指輪も混入された。
「「「………………」」」
私もディルクも神父様も見上げてポカーンである。多分この中で耐性があった私が一番最初に復活した。
「指輪さん達、何やらかしてんの!?」
『我々ハ決メマシタ』
『主ノ役ニ立ツタメニ』
『主ノ側ニアルタメニ』
「だから、指輪にお役立ちは求めてないからぁぁぁ!!」
私の叫びは残念ながら聞き入れていただけませんでした。賢者が仕方ないよね、非常識弟子だから。とか呟いたのが聞こえた気がしました。
「その結婚、待ったぁぁ!!」
「今度は何!?」
派手なインコ…ではなくバーディアの王太子でした。いや、遅いよ。
「ロッザリンドォォ!!」
「おりゃあああ!!」
「「………え?」」
小さな影達が見事なシャイニングウィザードをきめた。片方はヴァルキリー(小型で子供ぐらい)だとわかるが……もう片方は……誰かに似てる気がする。
「ロザリンド、隠し子?ロザリンドとディルク足して割った感じじゃね?」
カーティスの言葉に、子供をよく見ると、確かにディルクの耳と尻尾をつけた黒髪金目の私…7歳ぐらい?に見える。
「オレはロージィ!ご主人様、敵やっつけたよ!褒めて!」
「………え?うん。えらいね?」
「えへへ」
多分男の子……なのかな。ディルクに褒められて得意げである。
「ええと、君は?」
「あ、お母さん」
お母さんて、私ですか?
しん、と場が静まった。
「……………浮気?」
「いやいやいや、してないしてない!処女だから!産んでない!!そもそも妊娠してない!」
まさかの私に浮気疑惑である。しかし、他人にしてはそっくり過ぎる。いや、待て!もしや……
「ディルクの指輪さーん」
「はーい」
「「…………」」
手を上げるロージィ。
「ディルク、指輪の名前は…?」
「その…銘は無かったけど、だったら好きな女の名前とかにすればって団長にいわれて…………そのままじゃなんか恥ずかしいからちょっとかえてロージィにした……」
つまり、この子はディルクの指輪なわけか。
「あのね、オレら皆で決めたんだ。大好きなご主人様達のために役に立ちたたいし、側にずっといたいから。これからもよろしくな!」
ロージィは指輪にとけて私の手に指輪が落ちてきた。
「主ヲ、ヨロシクオ願イシマス」
ヴァルキリーも指輪に戻り、ディルクの手に落ちてきた。
「ええと…………嵌めてくれる?」
「あ、うん」
互いの指に互いの指輪をはめた。指輪はリッカの花と薔薇の意匠で、シンプルだが精霊達の小さな石がはまっている。中央には青い魔石。私のは銀色、ディルクは黒銀のリングだ。
「ロザリンド!結婚してくれ!」
あ、インコが復活した。
「ごめんなさい。私は…私、ディルクと結婚したいの。本当はまだ結婚するつもりではなかったけど…いいきっかけだったわ」
「だ、第2でもいい!結婚してくれ!」
バーディアは女性が少なく、一妻多夫という珍しい国である。
「「「クリスティアは一夫一妻ですから」」」
神父様までツッコミ、王太子は撃沈した。
ディルクは私を抱き上げて進んでいく。何かがふりまかれる。ライスシャワーかな?
「行くよ、いい?」
「「おう」」
「はい!」
一瞬でステンドグラスに光が灯る…あれは、光の薔薇?さらに水が光を反射して虹を作る。ミルフィ、兄、シーダ君とミチェルさんによる合作魔法のようだ。チタが楽しげに空を舞う。
「綺麗…」
花びらも輝く光の薔薇は美しい。
「薔薇の聖女に幸あれ!」
高らかに、シュシュさんが叫ぶ。負けじと怒号のように祝福の言葉が贈られる。
「おめでとさん!幸せになれよ!」
「ありがとう!」
「ロザリンド、あの魔法は俺が頼んだんじゃないんだ。幸せだね。君が助けた人達が、みんな祝福してくれている」
「……私だけじゃないよ。ディルクだっていつも手伝ってくれたじゃない」
「…そうかな」
「そうなの!一緒に行こう!」
「…うん!」
「皆、ありがとう!」
「ありがとう!」
ディルクと共に扉をくぐるまで、何度も皆にお礼を言った。
きりがいいのでここまでとなります。指輪さん達…特に婚約指輪さん達が用済みになるんでは!?と不安だったみたいです(笑)




