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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・奇人変人変身魔法院編

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罠と正体

 第3研究室室長・スタウト視点になります。

 仕事が忙しいのに、クソ院長に呼び出された。第3の人間、数人のみが会議室に待機している。


 呼び出しておいて時間に来ない院長にイライラしていたら、ナニかが足首に触れた。また院長の悪戯だろうとたかをくくって掴んだら軽かった。


「室長!それっ…!?」


 第3で唯一呪いにかかっていない研究員、ステフが叫んだ。



 手だった。



 私は、手を…手だけを持ち上げていた!


「うわあああああ!?」


 危うく変身が解けかかったがどうにか持ちこたえた。手を遠くに投げ飛ばす。しかし、手は他にもおり、うぞうぞと這い寄ってくる。

 呪いにかかった研究員達はそれでも気にせず研究している。もはや羨ましいぐらいだ。ステフは必死に他の研究員達を逃がそうとしている。彼は妻子を大切にしている、善良な男だ。人間でなかったら…私が潜入員じゃなかったら…友人になりたかった。


「キヒャヒャ…」


「う、うわあああああ!?」


 ステフが気絶した。無理もない。彼は普通の一般人なのだから。私はステフが見た方を確認した。上半身だけで髪を振り乱したおぞましいもの達がいた。2体か。まぁ、なんとかなるだろう。


「…大丈夫だよ、ステフ」


 せめて、君達を守ろう。恐らく君達は私に巻き込まれただけだ。変身したままでは満足に戦えないから、変身を解除した。


「うわあああああ!?し、室長!?」


 ステフは一瞬気が遠くなって倒れただけで、気絶したわけではなかったようだ。ああ、バレてしまった。ステフが怯えた瞳で私を見る。すまない…私の真の姿は人間にはおぞましいものだとよく知っている。


「…騙していてすまない。だが、君達は必ず助けよう」


 呪いにかかった研究員達にも罪はない。すいません、我が君…そう遠きウルファネアにいる主を思い、私は戦おうとした。






「マジカル☆クラリンばきゅーむ☆」






 私は、戦おうとした。



 しかし、戦うことはなかった。ええと……フリフリメイド服を着た爺さんが、不思議な形状の魔具…確かソージキ?第1で試作してたやつ…で手やら化けものやらを全部吸いとってしまった。


「キラッと解決☆」


 爺さんはポーズを決めて去っていった。呆然と見送る私達。


「…後で、頼んだらあの魔具見せてくれますかね?」


「さぁ……?」


 どうだろう。あの爺さんボケてるからなぁ…しかし、お前も爺さんとか手より魔具が気になるってどうなんだ?


「やあやあ、お待たせしたね!スタウト君以外は帰っていいよ~」


 遅れてきた院長は、俺に動じることなくステフ達を部屋から追い出そうとする。覚悟は決めた。逃げられない。


「…院長、院長はスタウトさんのこと、知ってたんですか?」


「いいや?今知ったよ」


 へらっと笑う院長はいつも通り何を考えているか読めない。


「スタウトさんは…俺達を助けてくれようとしてました!」


「…そーだね。悪いようにはしないよ。なんなら、最高傑作魔具をかけてもいい」


「…わかりました」


 院長が最高傑作魔具をかけるとは、必ず約束を守るという意味だ。ステフは納得いかない表情をしながらも、引き下がった。お前は本当にいいやつだな、ステフ。醜い…騙していた私でも…庇おうとするなんて。

 ステフは心配そうにしつつ、退室していった。


 院長に向き直るが、私に用があるのは彼ではないだろう。だが、情報を与えるわけにはいかない。下手すればウルファネアとクリスティアの戦争の引き金になりかねないのだ。


 私は院長の隙をついて隠していたナイフを躊躇なく自らに降り下ろした。院長が魔法を行使するが、間に合わない。我が君の役に立てずに死ぬことだけが心残りだった。

 ロザリンドが不在でも、クラリンがシリアスを微妙に追い払う…何故だ?


 次回はロザリンド視点になります。

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