お昼と賢者と奥方様
雷魔法でのびた研究員さん達を治してあげて、昼食になりました。
「奢ってあげるよ!」
「美少女と昼食!」
「…えっと…兄や友人達と約束が…お弁当もありますし…」
臭いしあまり寄られると困る。悪気がないから蹴散らすわけにもいかないし…ハンスさんが制止するが誰も聞いてない。かわいそうだな!とか考えていたら、聞きおぼえのある声がした。
「ロザリンドちゃん、迎えに来たよ!さあ、昼食に行こうじゃないか!」
「奥方様!」
なんと奥方様がお迎えに来てくれました!奥方様は普段以上に爽やかに輝いています。ありがとう、ありがとう奥方様!このお礼は…賢者の魔具に新しいコスチューム追加でどうかな!
「馬鹿弟子、僕もいるんだけど」
「すいません、小さくて見えませんでした」
本当は気がついていたが、テヘペロ☆と茶目っ気を出してみた。
「この馬鹿弟子!僕より君の方が小さいだろうが!」
「奥方様の影に隠れて死角だったんだもーん」
「あっはっは。どっちも可愛いなぁ。まあまあ、喧嘩はやめなさい。とりあえずこの子は連れていくよ」
『は………はい』
軽々と私と賢者を抱き上げるイケメンな奥方様に気圧されていた研究員さん達。後でめっちゃ愚痴っていたそうです。この世界でも、リア充爆発しろって言うんですね。初めて知りました。
あと、賢者が真っ赤になって涙目でした。じじいなのに可愛いと不覚にも思ってしまいました。
さて、奥方様はあらかじめミルフィも武から連れ出していて、兄も合流。皆で裏庭に移動しランチタイムです。裏庭は人気もなく、木陰で適度に涼しいです。
「ロザリンド、魔法院はどうだい?」
「そうですわ、感想をお聞きしたいですわ」
私はにっこり笑うと防音結界をはり、爆弾を投下した。
「呪われてました」
「は?」
「え?」
「な?」
「やはりか」
違和感を感じていた奥方様は納得したご様子でした。
「ロザリンド、説明」
「はい、喜んで!」
かくかくしかじか…とりあえず、現状解っていることを説明しました。
「ロザリンドはどうしてこう次から次へと…」
「今回は違いますよ!私をトラブルメーカーみたく言わないでください!」
もとから魔法院でなんか起こってるのは解っていたんだから!
「ロザリィ、何か手伝えることはありまして?」
「今は様子見だからないかな…あ、賢者様には解析して欲しいな。魔術式書くからよろしくお願いします」
「師匠を顎で使うなよ、破天荒弟子!」
「えー?仕方ないなぁ。なら指輪にとんでもない衣装いれちゃ「喜んで働かせて頂きます!!」」
言わせねえよ?と言わんばかりに賢者が被せてきた。対称的に奥方様はキラキラしている。
「ちなみにどんな衣装なんだい?」
「こんな感じ?」
私は魔術式の下にサラサラとバニーガール…いや、下は短パンだからヘソチラバニーボーイかな?
「いいな…素晴らしい!ダーリン、着てくれ!」
「やだ」
「…ダーリン、お願い」
奥方様が珍しくおねだりしています。奥方様、普段の凛々しさはなく、あざと可愛いです。
「………………ちょっとなら」
効果は抜群でした。賢者が折れた。
「ダーリン!大好き!愛してる!」
大喜びで賢者を抱きしめる奥方様。賢者は苦笑している。
「ちょっ、こら!仕方ないなぁ。サフィアは可愛いんだから」
賢者が愛おしそうに奥方様を撫でている。あや?奥方様は照れているようです。拗ねたように賢者にすり寄る奥方様は猫のように可愛らしい。
「ご、ごほん」
兄の咳ばらいで奥方様が素早く賢者から離れた。舌打ちする色ぼ賢者。いや、仕方ないじゃんお家でやってくれ。
「じゃ、解析よろしくね。衣装はすでにあるから入れとくわ。指輪ある?」
「この悪魔弟子!なんであらかじめ用意してんだよ!」
「切札は常に用意しとくもんですよ」
「かっこよさげに言ってもかっこよくないからな!この破廉恥弟子!」
「………むしろこんなんを着て嫁を性的に喜ばす師匠が破廉恥じゃない?」
「………………お、覚えてろよ!!」
「…………………忘れた!」
「う、うわあああん!馬鹿弟子ぃぃ!!」
賢者は泣きながら去っていきました。
「色々ありがとう!ではまたな!」
爽やかな笑顔で去り行く奥方様。衣装はちゃんと指輪に入れました。今晩はお楽しみですね。仕事頼んだのでほどほどでお願いいたします。
「今さらだけど、どういう師弟関係なの?」
「え?毎度こんな感じで……賢者が汚部屋をつくって私が荒ぶっていじめる感じです」
「………それは師弟関係なの?」
「…………………たまに魔法を教わります」
「「…………………………」」
兄と私が沈黙した。
「つまり変わった師弟関係なんですのね」
ミルフィにそう結論を出され…否定できませんでした。
書いてて楽しい賢者夫妻。シリアス先輩が仕事しないんだけど、どうしよう。
結構緊迫した場面なはずなんだけどね。敵がわかんないし。ロザリンドが主人公だとシリアスが活躍できない不思議。




