ヒーローのきまり
帰宅した私は、ジェンド達に集合をかけました。緊急会議開催です。議題はヒーローとロザリンジャーについて。
「まず、ヒーローは正体がばれてはいけません。ジェンド、心当たりは?」
「あ………アルディンに教えちゃった」
「以後気をつけるように」
「はーい」
正体を知られれば、逆恨みした悪人が大切な人を人質にとるかもしれない。だからヒーローは正体を隠すのだと教えた。全員神妙になって聞いていた。
「というわけで、名前も変えます。ロザリンジャーは却下!」
『えー!!』
いや、えーじゃない!
「そこは譲れません!一発ネタのつもりだったから許しましたが、既にクラスメートから私が関わってるんでしょと指摘されちゃいました!逆らうなら変身魔具没収です!」
「おーぼーだ!」
「…お嬢様、今さら改名しても無意味だと思いますよ?もはや王都で知らない人の方が少ないですし、既にお嬢様関連だと思われてますし」
「う」
ジャッシュが正論で攻めてきた。
「お姉ちゃん…どうしてもだめ?」
「うう…」
コウが悲しげに首をかしげ、お願いしてきた。
「きゅーん…」
「くーん…」
銀狼親子が耳と尻尾をしんなりさせて悲しげに鳴いている。やめろ…そんな…あたかも雨のなか悲しげに鳴く捨て犬みたいな目で見るな!ジャッシュ、参加しなくていいからオロオロしない!無理すんな!オルドとコウも鳴き真似しなくていいから!わけわかんないから!
「……その、大切なご主人様のお名前をいただいております。決して恥じるような行為はいたしません。お願いします!ロザリンジャーのままにしてください!」
ついにジャッシュが土下座した。
「は!?」
「主、俺からも頼む!!」
ジェラルディンさんまで土下座した。
「あれは何だ?」
「えっとー、どげざっていってごめんなさいとー、どうしてもお願いしたいときとー、ふみつけてお仕置きしてほしいときにするってマーニャが言ってた」
「待て!最後は明らかに違う!!」
ジェンドがオルドに説明し、コウもふんふん聞いていたが、最後は明らかに違います!マーニャには後で指導する必要があるようです。よーくシメ……指導しておかねばなりません。マーサにもチクろう。
「お姉ちゃん、お願いします!」
「お願いします」
「頼む」
子供達にまで土下座でお願いされて…………断れませんでした。結局ロザリンジャーは存続になってしまいました。
「そういえば、アルディンもロザリンジャーになるの?」
「危険もゼロじゃないのでアルフィージ様の許可をとってからと言いました」
「アルディンも早くロザリンジャーになれるといいな」
にこにこ笑うジェンド。
「…………あー、うん」
はたしてヒーロースーツであの輝きが隠せるのか……微妙な気がしました。アルフィージ様、私の心の平穏と弟さんの安全のため、頑張ってください!
神様!アルディン様の気をかえてくれ!!
珍しく神頼みまでしましたが…輝ける白様は初志貫徹の男だった…とだけ報告しておきます。
短めですが、キリがいいのでここまで。次回から魔法院編になります。




