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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド7歳・ツンデレと日常編

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事件発生

 二次会は我が家の庭で立食パーティー。なかなか料理の評判もいいみたい……ん?


「んだと、ゴルァ!もっぺん言ってみやがれ!!」


「何度だって言ってやる!いくら冒険者として高ランクだろうと、平民に団長は勿体無い!」


「ああ!?マーサに比べりゃ騎士団長なんざ糞だっつーの!!女だてらに成り上がるのを知らねーガキは黙ってろ!!」


 ケンカか!?と思ったときには遅かった。もはや、冒険者VS騎士となりつつある。一触即発ムードである。


「やめんか!」

「やめろ!」


 酒が入っているのもあってヒートアップしている。冒険者ギルドマスターとルドルフさんの制止も、怒号にかきけされ届かない。


「ディルク」


「嫌だ」


「……マーサを止めます。準備できたら耳飾りで通信よろしく」


「嫌だって言ってるのに!?」


 私は素早く移動し、全員倒すつもりであろうマーサのドレスを控えめに引っ張った。


「マーサ、よく似合ってる。綺麗だよ」


 赤いカクテルドレスは、マーサにお世辞抜きで似合っている。


「お嬢様……」


「私と母様で頑張ったんだよ。だから汚さないでね」


「う…」


「大丈夫、手は打った。ディルク、今どこ?準備OK?」


「…ロザリンドからみて右手の植え込み。準備はいいけど、やりたくない」


「ド派手に合図しますから、出てくださいね」


「は?ちょ…」


 言うが早いか、私は魔法を起動させた。閃光と爆発音が鳴り響く。そして、もうもうとたちこめる煙をバックにご登場である。


「さあ…断罪の時間だ。神の加護を受けし戦士、ナイト・ヴァルキリー降臨!!」


 もちろん土煙が料理に入らないよう、料理には結界がはってあります。


「あ!?イカれた鎧野郎が!てめえは関係ねぇだろ!すっこんでろ!!」


 つかみかかろうとした冒険者を、一瞬で反転させて関節を極めた。冒険者達は愕然とする。


「う、嘘だろ!?うちのギルドのAランク冒険者だぞ!?」


「…全員相手をしてもいいが、お前達は何をしに来た。旧知の仲間を、上司を祝いに来たのではないのか?」


 ナイト・ヴァルキリーは静かに語る。冒険者と騎士はハッとした表情だ。


「マーサ、すまなかった」


「台無しにしちまうとこだった」


「団長、申し訳ありません!」


「団長、すいませんでした!」


 とりあえず冒険者も騎士も冷静になったようだ。


「それにしても、流石はナイト・ヴァルキリー様!」


 騎士の一人が、それはもうキラッキラな視線をナイト・ヴァルキリーに向けた。


「あ?あいつのこと知ってんのか?」


「ああ、先日レイデ火山で初めてお会いしたのだが…凄かったぞ。魔物の群れをほぼお一人で殲滅なさったのだ」


「嘘だろ!?レイデ火山は高レベルな魔物が多いとこじゃねえか!」


「だが、ナイト・ヴァルキリー様は成し遂げたのだ」


 なんかどや顔な騎士さん。信じられない様子の冒険者。


「いや、だからあんなにアッサリAランク冒険者を倒したのか」


 冒険者も納得したらしく、羨望の眼差しを向ける。ナイト・ヴァルキリーが明らかに、周囲のキラキラビームに困っていた。


「……マーサさん、ルドルフさん、結婚おめでとう。私はこれで失礼する!」


 魔法で小規模な爆発をおこし、ナイト・ヴァルキリーはそれに乗じて消えた。


「ナイト・ヴァルキリー様万歳!」

「ナイト・ヴァルキリー様最高!!」


 騎士達によるナイト・ヴァルキリーコールはしばらくの間続いた。冒険者も便乗していた。特に貴族騎士は冒険者と相性が悪いことが多いが、ちょっと仲良くなったかもしれない。ありがとう、ナイト・ヴァルキリー。私は君の尊い犠牲を忘れない。


「ところでマーサは結婚後、どこに住むの?」


「このままローゼンベルク邸に住みますよ?」

「新居だ」


 おい。そこは決めとこうよ。お互い硬直しているマーサとルドルフさん。


「…仕事はどうするの?」


「続けますわ」

「辞めてもらう」


「……………続けますわ」


「………………辞めてくれ」


 今度は新郎新婦が一触即発である。殺気がガチだ。周囲もマーサ達が強すぎて止められない。下手に仲裁すれば、大怪我をしかねない。こらこら、武器は出すなよ?

 しかし、そこはちゃんとあらかじめ話し合っといてよ!とはいえ、マーサが辞めたら困る。私はマーサに味方した。


「ルドルフさん、マーサと結婚できるのは、私のおかげと言っても過言ではないと思うんです」


「…ああ」


「騎士団の書類関連も貸しだと思うんです」


「…ああ」


「というわけで、貸しをまとめて返済してください。マーサはこのまま働き、新居に住むでいかがです?」


「む…」

「お嬢様…しかし、私は…」


「ローゼンベルク邸にルドルフさんが住むの?」


「かしこまりました。私は異論はございません」


「…わかった」


 とりあえず折衷案で納得していただけました。結婚式で新郎新婦が初夫婦喧嘩するところでした。危なかった。





「…うまくいった?」


「ええ、ナイト・ヴァルキリー様のおかげで」


「絶対、2度とナイト・ヴァルキリーにはならない」


 ディルクは静かに宣言しました。勿体無い。


 こうして、ナイト・ヴァルキリーの活躍により結婚式は無事終了した。ありがとう、ナイト・ヴァルキリー!

 事件は冒険者VS騎士のガチバトルがおきかけた…でした。ナイト・ヴァルキリー様が居なければ、確実に大乱闘になったと思います。ありがとう、ナイト・ヴァルキリー!

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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
― 新着の感想 ―
団長結婚したらモラハラ野郎になるタイプやんけ
[一言] ロザリンドがキレなくて良かったね… 双方ろくな事にならなかっただろうし。(苦笑) 尊い犠牲に感謝
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