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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド3歳・必然の出会い編
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料理と牽制

 さて、マーサに散々お説教されて足がしびれて涙目の私です。


 ドラゴン君はサイズ変更可能なようで、今は大型犬サイズで私を乗っけてトテトテ歩いてます。

 ディルク様が不機嫌な気がしますが、さすがの私も抱っこで移動は…人前でモフりまくった前科があるので自重しました。


 丘の上には心配げな兄と両親。


「ロザリンド!怪我はない!?」


 兄様は泣いておりました。


「ドラゴンと戦ってる所に行くなんて、馬鹿!」


「ごめんね、兄様。泣かないで」


 兄の涙を拭う私。兄は私の足元をみて…私そういやドラゴン君に乗ってたよ。


「ロザリンド、何に乗ってるの」


「ドラゴン君です」


「見れば解る。説明しなさい」


 ですよね!また叱られコースの予感…と思ったら、んごごご~とどっかで聞いた男らしい腹の虫が鳴り響いた。


「兄様」


「何」


「私もお腹すきました」


「……僕も」


 兄は折れてくれました。騎士さん達も昼食を摂ってから帰るそうです。

 なんか、硬いパンと干し肉食べてる人達の横で豪華ランチとか、気まずい。


「ルドルフさん、私スープかなんか皆様の分作ってもいいですか?」


「嬢ちゃん、小さいのに料理出来るのか?」


「はい、多少」


「団長、ロザリンドのご飯は有り得ないくらい美味しいです」


 やめて下さい、ハードル上げない!干し肉とパンよりはマシなぐらいだよ!


「よし、ならお願いするかな」


「お、お嬢様なんか作るの?」


 アークは鞄から鍋、包丁、まな板、調味料一式、ハーブ、野菜、干し魚…


「なんでこんなに入ってるの」


「ダンがなんかあった時にその場で作れるようにって。一応魔物が出るから、万が一弁当だめにしてお嬢様の料理が食えないと、ガッカリするからってさ」


「ダン…」


 まさに今、非常事態ですよ…貴方の気遣いに感謝します!


 お腹を空かせた騎士様達のために、簡単にバーベキューとスープを作ることに。 さすがに子供姿での調理は不便なのでロザリア(16歳)の姿で調理します。


「やべ、可愛い」


「胸でけー」


 おい。前者はともかく、後者。あ、ディルク様に容赦なくしばかれた。珍しく怒ってるな、あれ。


「うちの娘が、何か?」


 父!魔力が漏れてる!火が消えそう!


「ふー」


 あ、ドラゴン君ナイス!ファイヤーブレスで火は消えずにすみました。


「ありがとう」


 ナデナデすると、また手の平サイズになり、私の頭に乗った。


「えへへ、どういたしまして、お姉ちゃん」


 くっ!可愛いなー、ドラゴン君。私の頭が気に入ったのか、彼は私の頭から動かない。


「可愛いなー、でも周りのガードがハンパないな」


「美人だけど、周りがな。赤い悪魔が溺愛してるらしいし」


「マジで!?死亡フラグじゃん!」


 マーサ、騎士団でも有名人ですか?本当に何やらかしてるんですか?チラッとみると、ルドルフさんに食ってかかってた。


「あの2人、昔冒険者で同じパーティー組んでたんだけど仲がいいやら悪いやら。姉ちゃんも諦めりゃいいのに、つい突っかかっちまうんだよなー」


「わ、冒険者の話聞きたい!」


「んー。そのうちな?今日はお嬢様の背後が怖いからやめとく」


「は?」


 背後には兄とディルク様。


「ロザリンドに冒険者の話なんて、冒険者になるとか言い出したらどう責任とるつもりだ!アーク!」


 いや、7歳になれば誰でも登録出来るから、登録はしますよ?多分。今は無理だししません。


「そうですよ!ロザリンドは家出しかねませんよ!」


 ディルク様の中で私はどんだけ自由な奴なの?家族とディルク様を捨ててまで行きませんよ、さすがに。


「いや、さすがにありません。家族大好きだし、ディルクはいるし、聖獣様とも仲良しで生活に不満なんて微塵もないです。皆を捨ててまで得る自由に興味もわきませんし」


 私が言い切ると2人はあからさまにホッとしていた。だからどこにも行きませんてば。


 さて、スープが出来ましたよ。バーベキューは既に焼けたやつを食べ始めてますね。

 お皿とスプーンは野営用を騎士様達が持参してたので、並んでもらってよそっていく。


「あ、あの…ああ握手して貰えますか?」



 アイドルか。


「え、あ、はい?」


 別に手ぐらい…と思ったのがまずかった。俺も俺もになってしまい、ルドルフさんの一喝でどうにか沈静した。

 どうにか全員に配ったが、私は疲労困憊だった。



 配り終るとふらふらしながらもディルク様(癒し)のお膝に乗る。


「うー、疲れたよ。ディルクー、癒してー」


 首にしがみついて、いつもみたいに撫でてもらおうと甘えた所で気がついた。位置が違ったからだ。私、今3歳児じゃないや!


「ろろろろ、ロザリンド」


 ディルク様噛みすぎ。あちゃー、やってしまった。めちゃくちゃ動揺してますな。

 まさかの羞恥プレイですよ。首まで赤いですよ。


「あー、ごめん。つい」


 どこうとしたら、後ろから伸びた手が私を捕まえる。


「や、いい。獣化する?」


「はい?別にどっちのディルクも好きだからどっちでもいいけど、撫でて欲しいな」


 ずいぶんサービスいいなぁ。普段聞いてこないのに。

 あー幸せ。ディルク様のナデナデは優しくて大好き。


「はうー、幸せ」


 ディルクの首にスリスリと擦り寄る。優しく撫でる手は一瞬とまったけど、また私を撫でてくれる。いや、至福!


「こら、くすぐったいよ」


 へにゃりと笑うディルク様…いやー胸がキュンキュンします。しかしどうしたのかな?普段ここまでしないのに。

 うひゃ、ディルク様にもスリスリされた。


「ちょっと、くすぐったいよ」


「だあああぁ!!」


「はわっ?」


 近くにいた騎士様が雄叫びをあげた。


「うおお、ディルク!羨ま妬ましいぃ!!おま、いちゃつくなら2人きりでやれよ!!」


 頷く騎士様達。

 あやや、申し訳ありません。ディルク様が甘やかしてくれるから、つい私も周囲の状況忘れてディルク様に集中してたよ。


「牽制なんだから、今ここでじゃなきゃ意味ないだろ」


「え」


 牽制でしたか。普段よりベタベタしまくったのはそのせいか。私はディルク様のだって言いたかったのか。

 やばい、動悸息切れが!さすがの私も真っ赤になってるのが解る!


「照れてるの?可愛い」

 いつもなら、逆なのに…甘くて男らしい表情に、本気で息ができない。


「ディルクってろりこんなの?」


 甘い空気を消し飛ばす爆弾発言に、周囲が固まった。


 この超天然キャラは、カーティス=ブラン。ロザリア返り討ちエンドの攻略対象である。あだ名はアホ犬。なつくと犬である。そしてアホ…というか脳筋である。


「いや、こんな美女ならロリコンじゃなくね?」


 他の騎士の言葉にディルク様は首を振った。


「俺はロザリンドなら別に子供でも大人でも好きだから、幼児性愛者ではないと思う。他の子供を見てもどうとも思わないし」


 ガチな返答きました。あ、うん。嬉しいですよ。


「そっかー。アデイルとヒューに教えてくるわ」


 あいつ、頼まれたんだなってことは解った。というか、ロリコンの意味解ってるのかな?規格外のアホだからなー、とアホ犬を見送っていたため、私は大魔神・兄の接近に気がつかなかった。


「ロザリンド?いい加減ご飯食べようか」


「は、はいぃぃ!兄様ごめんなさいぃぃ!」


 兄のド迫力に涙目な私。怯えるあまり術も解け、3歳児姿で引きずられるのであった。

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ユハズ先生も絵が綺麗なので必見ですよ!!悪なりコミカライズ、スタート!! 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!コミカライズのリンクはこちら!」 小説二巻、発売中です。書き下ろしもありますよー 「悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!二巻のリンクはこちら!」
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赤い悪魔www 白い彗星とかもいたりしてw
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