予想外の再会と抱っこ
コウがいるせいか、たいした魔物も出てこない。ひたすら歩き続ける。空気は変な感じだが………正直暇だ。
「キャンプしたかったなぁ」
「きゃんぷ?」
「うん。せっかく山に来たんだからさ…テントはって、バーベキューとかしたり、皆で寝袋で寝たりするの」
「…夜営?」
「夜営だな」
「ちーがーうー!!」
ディルクとジェラルディンさんは首をかしげた。しかし、魔物がいるこの世界でテントをはって寝ようと思ったら見張りか護衛が必須である。私がしたいキャンプは、帰宅したら自宅でやろうと心に決めた。
「ははは、照れるな主。子供はテントが好きだからなぁ」
「そうですね、秘密基地みたいで楽しいんですよね」
微笑ましい、と穏やかな表情のディルク。ジャッシュも頷く。
「僕、テントで寝たい!」
「…そうか?テントは寝にくいぞ」
オルドは多分夜営の経験があるんだな。ジェンドが明らかにしょんぼりした。
「まあ、魔物が出るから今度うちのお庭でキャンプしようね」
「うん!」
そんな会話をしていたら、強烈な魔力を感じた。この魔力は…………
「ディルク!」
「うん!」
ディルクは私を担ぐと猛烈なスピードで駆け出した。視界がひらける。ドーム状の氷結結界を中心に木が消炭となっていた。
空には巨大なドラゴン。あれのブレス攻撃を受けたらしい。
「ロケットパーンチ!!」
またブレスを吐くつもりみたいだから、ヴァルキリーの腕だけ出して飛ばしてやった。見事命中し、ロケットパンチはアッパーカットを決めた。ドラゴンはふらふらと山頂に逃げていった。
「お姉ちゃん!」
皆が追いついてきた。
「助かったよ、ロザリンド嬢」
結界を解除したアルフィージ様、カーティス、騎士の皆様が現れました。
「何故アルフィージ様がここに?」
「最近山からこの付近に魔物が大量出没してね。大量の書類をさばくのにも飽きたし、火属性の魔物なら私と相性もいい。氷雨の訓練にもちょうどいいかと来たんだが…とんでもない大物に遭遇してしまったな」
「……おかーさんがごめんなさい」
コウがしくしくと泣き出した。やはりあの巨大なドラゴンはコウの母親でしたか。
「…幸い怪我人も死者もいない。お前が悪いわけではないさ」
「………アルフィージ様ってわりと優しいですよね」
「えふ!?」
そして、誉められ慣れてないよね。優しいですよねとか言われたぐらいで盛大にむせないでほしい。
「賢くて、美人で、努力家で、優しいですよね。弟さんにもなつかれてますし」
ラビーシャちゃんが追撃した。
「ととととととにかく!」
アルフィージ様がしきり直した。顔が真っ赤です。
「わ、私は今回の魔物が大量に出没し出した件はあのドラゴンに追われたか怯えて人里に出ざるをえなかったのだと考えている」
「多分そうでしょうね」
「ロザリンド嬢はどうするつもりだ?」
「ん?このまま山頂に行きますよ。コウのママに何かあったのは間違いないですから、放置はできません」
「…危険だろう」
「……大海嘯よりは大丈夫かと」
「比較対象が悪すぎるだろう!!はぁ…強力な水属性魔法使いの助けがいるだろう。君だけではドラゴン相手に攻守は無理だ」
「あー、確かにありがたいけど…アルフィージ様を危ない目にあわすのは…」
確かに氷雨は最高峰の魔具だし、ゲームのアルフィージ様は攻撃魔法はもちろん、結界やサポートに特化している。この場において最強の助っ人になるだろう。私だけでは彼の言うとおり全員を守りながらの戦闘は難しい。またリンとロザリアに別れたおかげでできなくはないが…かなり難しいだろう。だが、さすがの私も王子様を巻き込むのは避けたい。
「言い方を変えよう。先ほど助けてくれた礼だ。それで貸し借りなし」
「…………………優しいですよね」
「なんでそうなる!?これは純然たる取り引きで……」
「騎士を貸すでも良かったはずですよ。優しいですよねー」
「ねー」
私に同調するラビーシャちゃん。こういうからかいをするとき、私たちは息がピッタリです。しかも私がお願いしやすいようにしてくれた。気遣いができるアルフィージ様です。
「だ、だから…!」
「ぎゃはははははははは!すげーな、アルフィージめっちゃ困ってるし!」
「か、カーティス!」
「お?八つ当たりか?痛くねーし」
ポカポカとカーティスを殴るアルフィージ様は可愛かったです。言うと怒るからいわないけど。
結局、アルフィージ様とカーティスが同行して騎士達はいざというときのために近隣の村を守ることになりました。騎士達はアルフィージ様の護衛だからと渋ったのですが……
「大海嘯をほぼ一人でどうにかしたロザリンド嬢、騎士で実力はほぼナンバーワンだったディルク殿、英雄ジェラルディン殿…彼ら一人にでも、勝る護衛がいるか?」
なんという説得力。
束になっても勝てないだろうね!騎士さん達は反論できませんでした。でも、私を筆頭にしないでほしい。一応乙女なんだから!
というわけで、アルフィージ様とおまけでカーティスの参加が決定したのです。ジャッシュは念のため騎士達との連絡役として騎士に同行してもらうことにしました。
歩くことしばし。
「…担ぐか?」
珍しくジェラルディンさんが気遣いをした。アルフィージ様は辛そうです。山道はきついよね。
「僕担いで!」
「はっはっは。そーら」
「きゃはははは!」
軽々とジェンドを抱き上げるジェラルディンさん。心暖まる仲良し親子ですね。和みつつ、限界そうなアルフィージ様に声をかけました。
「…おんぶします?」
「いらない…というか…はぁっ…なんで…ロザリンド嬢は平気…はぁっはぁ…」
「鍛え方が違うからだろ。ロザリンドは結構冒険者としても鍛えてるからな。よっこらせ」
軽々とアルフィージ様を担ぐカーティス。
「!?おろせ、カーティス!」
「やなこった。足手まといになりたかないだろ?担がれとけって」
「ぐっ………すまない」
「いいって。歩き慣れてないんだからしょーがないだろ。別にアルフィージぐらいなら3人はいけるから気にすんな」
「…………そうか」
本当に仲良しになったよね、アルフィージ様とカーティス。
「よいしょ」
「きゃあ!?」
ディルクに持ち上げられた私。お姫様抱っこですね。乙女の夢、叶っちゃったもんねー(混乱)
「ディルク!?な、何!?なんで抱っこ!?」
アワアワする私の耳もとでディルクが囁いた。耳はやめ……………
「…かまってほしくて…」
それは、かすかな呟きだったけどはっきりときこえた。
正直、も え た 。
叫ばなかった私を誉めてください。この衝動をどうしたら…!
「そんなディルクが好きです」
「カッコ悪い…」
「いいえ、私にかまわれなくても全然平気と言われたらへこみます。私もディルクにかまわれたいです」
「…うん。えへへ」
へにゃりと嬉しそうに笑うディルク。天国はここにあった!!ディルクに甘えつつ、目指すは山頂です。相変わらずきれいな空気ではないですが、和やかな雰囲気でひたすら進んで行きます。
情報追記。
火属性は水に弱い。レイデ火山の魔物は火属性がほとんどなので、アルフィージ様にとても有利です。
さて、次の次あたりで私がやりたかったのを書けますかね…基本行き当たりばったりなんですが、このシーンが書きたい!!という奴がたまにあるんですよ。
例は、ヴァルキリーとか、サボ☆天とか。シリアスだとカーティス視点とかですね。更新頑張ります。




